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日本女子がHに?“セルフプレジャー”という言葉から考える、現代女子の性意識

きのくに ちく美

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きのくに ちく美

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女性の“性”が変わりつつある!そんな予感がする。
最近“セルフプレジャー”という言葉を耳にした。なんと、自分で行う気持ちいいアノ行為のことをそう呼ぶのだという。

この言葉に対し「なんか、健康によさそうな感じ」と私の友人が感想を述べていたが、たしかに、セルフエステとかセルフケア的な響きではある。この“セルフプレジャー”、2014年3月に文芸春秋社より発売された『セックスペディア 平成女子性欲事典』に掲載されているキーワードのひとつだ。

なんとも大胆なネーミングのこの書籍、なぜこの時期にこのテーマで出版されたのだろうか。その背景には、現代女性の“性”の変化がひっそりと存在しているように思える。

昨年3月3日に大注目を浴びながらデビューしたのが『iroha』。知る人ぞ知るTENGAから開発・発売された女性用セルフプレジャーグッズだ。あのTENGAから発売!ということで世間の注目と期待を集めまくり、発売後数週間で完売という異例の大ヒットとなった。同年12月には第2弾として『iroha mini』も発売されている。

他にも、女子の間でめちゃくちゃ話題になったのが“an-an”のSEX特集。綴じ込み付録に女性用AVがついていたことがインターネットで騒がれた。表紙がKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔くんだったこともあり、私の友人も「ふじがや~♡」と2冊購入。その翌日に「AVやばい興奮した」とつやつやしていた。このan-anを買ってこっそりHなドラマを楽しんだのは私の友人だけではないはずだ。

それを裏付けるように、この時期からAV女子人口は急増、しかも現在進行でヒートアップしている。
AV男優のサイン会には女性ファンが押し寄せ、『エロメン』と呼ばれるなど、もはや女性にとってHは恥ずかしいものではなく、ひとつの楽しみにすらなっている様子。
なんでも「女性にとって理想であり憧れであるHの様子がたまらなくイイ!」らしく、男性物AVには見られない、2者間の心と心のつながりが丁寧に描写されている。

このように最近顕著になってきた女性用アダルト産業の動き。日本の女子はいつからこんなにHになったのだろう?

アダルトビデオに絞って日本のエロ産業を遡ると、その始まりは家庭用ビデオテープレコーダ、VHSが普及した1980年代。というよりも、このVHSの普及自体を下支えしていたのが、まさにAVなのだ。

この頃AVは“裏ビデオ”と呼ばれ、その代表格である 『洗濯屋ケンちゃん』は洗濯屋のお客さんとイイことしちゃうという単純な内容ではありながらも大人気を博し、累計30万本も出回った(※)という逸話がある。
※『週刊実話』49巻45号, 2006年11月9日号, 87 ページより

これが皮切りかどうかは知らないが、以降、成人男性向けアダルトビデオがいよいよ本格的に普及。ビデオの中では淫乱な女性像が描かれる一方で、現実の女性には「私、初めてなの…」というような処女性が求められる。
極端な例かもしれないが、エロDVDは大好きなのに、アイドルの熱愛報道に敏感に反応し“汚れた”と言う人はまだまだいるのではないだろうか。

これまでの男ウケはまさしく“処女性”であり、女子にとってのカワイイは「きゃ~私下ネタだめなんです~」系女子。
そんな文化も一因となり、自分のHを表向きにしないことが女子の間で当然だった中、「私はエロいことばかり考えてしまって、変態なのかもしれない」と自己否定感を抱いていた人も少なくともいただろう。

その独特の罪悪感は、小学生のころに味わった、道端に落ちている濡れたエロ雑誌をこっそり覗いたときのそれに近いかもしれない。
世間的にはイケナイこと、しかし自分の中にはっきりと欲求のあること。
女子の中でモヤモヤと渦巻いていた隠れたニーズに、ふっと光を当てたのが“女性向け”のアダルト商品だった。

『iroha』や『an-an』の影響だけではなく、女性の社会的自立などほかの要因も関わっているかもしれないが、どちらにせよ言えることはひとつ。

女子がHになったのではない、Hな自分にOKと言えるようになった。そんな変化が今起きているのではないだろうか。

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