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映画界の才能の宝庫・日活ロマンポルノが復活 高校生でも鑑賞可能に

小峰克彦

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小峰克彦

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近年『劇場版 テレクラキャノンボール2013』のヒットなど、一部の映像ファンの間で“映画館でアダルトビデオを観る”ことが流行しました。
小島みなみさんなどAVにも出演されている女優さんが大作映画にキャスティングされるなど、成人向けの映像コンテンツが文化として注目されるようになってきています。

しかし話題のカルチャーとは言っても、高校生はR18指定で見られないものも多く、興味のある若者はもどかしさを抱えていそう……。

そこで再注目されているのが、2016年に生誕45周年を迎える、元祖“性の映像文化”日活ロマンポルノ。
その日活から、映画ファンには嬉しいニュースが発表されたのです!

R18指定だった神代辰巳監督の2作品『恋人たちは濡れた』『四畳半襖の裏張り』が映倫による再審査を受けR15+と指定されました。
この2作品は、表面上の“エロ”を描くのではなく、若者が持つ心の暗部をすくい取り、映し出した神代監督の名作。
まさに思春期特有の行き場のないドロドロとした気持ちに寄り添ってくれるような作品です。この2作がR15+に引き下げられたことは日本の映像文化にとって大きな一歩と言って間違いないでしょう。

他にも、映画ファンにうれしいニュースが2つ飛び込んできました……!

来年生誕45周年で新作製作決定!日活ロマンポルノが再び熱い!

「日活ロマンポルノ」再評価の機運にのり、第一線の映画監督たちへ、現代の性と男と女のドラマを描く表現の場を提供することにも日活は注力するそう。

それが今回発表された“ロマンポルノリブートプロジェクト”です。
内容としてはロマンポルノ作品を演出していない、第一線の監督たちによる完全オリジナルの新作ポルノが、BSスカパー!と共同で製作される企画とのこと。
2015年初夏より製作開始、2016年に一般劇場での公開を目指して開始されることが発表されました。

1971年当時の製作条件(一部現在のフォーマットに置き換え)を適用し撮影するというロマンポルノの特質を引き継ぎます。
同じ条件を課された監督たちが、どのような性愛の表現に挑戦するのでしょうか。
そこからどんな女優・俳優たちが生まれてくるのか……そのラインナップも気になるところ。見逃せない企画です……!

また併せて旧作ロマンポルノのマスターピース作品群の上映も行うとのこと。
ロマンポルノの“早すぎた映像表現”を鑑賞する土壌を世代、地域ともに広げていく狙いだそうです。

日活ロマンポルノは数多くの監督を輩出した映画界になくてはならない存在

そもそも日活ロマンポルノの復活、リニューアルがなぜここまで大きなニュースになっているのでしょうか。
そこには現在の日本映画界の母ともいうべき『日活ロマンポルノ』に対する敬意があるのではないかと考えられます。

海外ポルノが、実行為である本番・無修正が基本であるのに対して、日活ロマンポルノは、すべて演技であり、実行為・本番ではありません。
数々の作品に出演した俳優たちには、よりリアルな演技や表現力が求められるのです。

監督も「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」などの一定のルールと、製作条件を守れば比較的自由に映画を作ることができました。
チャンスを与えられた若手監督たちは、その条件の中で新しい映画作りを模索したのです。
その環境から察するに、ロマンポルノから現在の日本映画界を代表する監督・俳優が多く輩出されたことも納得がいきます。

そんなロマンポルノ出身の映画人の中から、国民的女優に上りつめた美保純さんがヒロインの作品を、最後に紹介したいと思います。

(もしかしたら高校生でも観られるようになるかも!?)オススメ・ロマンポルノはこれ!

現在のアダルトビデオでも、映画でもなかなかお目にかかれないトンデモ作品を紹介します。それは1982年公開、黒沢直輔監督『看護婦日記 獣じみた午後』
ヒロインは『あまちゃん』にも出演した美保純さんです。

とある病院の院長が、夢を再生できる機械“ドリームリング”を開発したところから物語が始まります。
発明の完成を知った院長の妻と彼女の不倫相手の悪徳医師が“ドリームリング”の研究を悪用しようと企みます。
その最凶コンビ(院長夫人と不倫相手の悪徳医師)が、完成直後の院長と院長の愛人にクロロフォルムという薬品をかがせます。そこで院長は狂人になり、院長の愛人は死亡。
そこに入院してきたのが美保純演じる玲子です。彼女はそこで“ドリームリング”の実験体として監禁されてしまいます。

あらすじだけ観ても十分なインパクトですが、アダルトビデオにはない、カルトでホラーなセット。そして摩訶不思議な絡みの画やカメラワーク。サイケデリックでレトロな色彩の夢の中の映像など、サブカルチャー好きな人には堪らない要素が詰まっています。
ぜひ死ぬ前に一度はご覧になっていただきたい作品です。

現在の映像に慣れた人たちにとっては珍しい日活ロマンポルノの世界。
昭和の性の世界を覗くことで、感じたことのない刺激に出会えるかもしれません。

(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)

 

再審査でR15+指定となった作品:
『恋人たちは濡れた』 (1973)
神代辰巳監督©日活

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