フェチ。
この言葉をご存知だろうか。
そう、フェチシズムの略だ。一般的には『匂いフェチ』や『足フェチ』などと使われるが、平たく言うと「どこにドキドキするか」、はっきり申し上げると「どこにムラムラするか」のことである。
そんなフェチの深さと奇異性を極めに極めた祭典『フェチフェス 3.5』に女子大生記者が突撃取材!
何だかよくわからないままにレポートしてきたぞ!
フェチフェス関係者の女性によると、
「フェチフェスって、フェチとエロの融合みたいなイベントなんですよ、アートとエロの狭間といいますか・・」
アートとエロの狭間・・?何か分からんが強烈におもしろそう・・!
その言葉への期待と不安で胸を鳴らしつつ、4月13日 新宿にて、おそるおそるイベント会場の扉をくぐった。
まず出迎えてくれたのはコスプレの女の子たち。アニメか何かのコスプレもいれば、包帯で下半身を覆っただけの女子もおり、中には特殊メイクで動物になりきった人も。全体的に露出度がかなり高く、パンツ丸見えだったり、ちょっとここには載せられないんじゃないかという衣装もわんさか。
そうかと思えば頭から足先まで全身タイツで覆った『ゼンタイ』がいたり、公開で緊縛実演を行っていたり、血糊でべったりな女の子のDVDが販売されていたり・・とにかく様々なハードコアフェチが同空間に集結し、何がなんだか分からない状態だった。
知らない人の前でパンツ丸見え、亀甲縛りの状態でいて恥ずかしくはないのだろうか?
ここに集まっている人は何者なのか?
疑問に思ったので、隣にいるカンナムスタイル似の男性に聞いてみた。
「普段はレジャー施設で働いているんですよ、このイベントに初めてきたのは友人の誘いで。ここにいる人は、みんな自分の思うように自分を表現している。そこが良いなあと思ったので続けて来ているんです。今回通って3回目ですね。」
またある人は、普段整骨院で整体師として働いているという。
「エロというとちょっと隠しがちなところあるじゃないですか、なんとなくオドロオドロしいイメージだったりとか。でも僕たちは変態をもっとポップに楽しめたらいいと思って、公開緊縛の場を提供しているんです。」
変態をポップに、とはどういうことなのか・・?
「戻ってこれる範囲で踏み外すんです。日頃我慢して抑えているものを、ここで開放してあげる。そういう自分を認めてあげるんですよ。ここに来る人の中には、普段対人関係が苦手で働くのも一苦労という人もいます。でも、ここに来ると縛られながらニコニコして人と話しています。そういう自分が出せるのは、ここだけなんです。」
確かに、“認める”はキーワードかもしれない。イベント会場内にいるのは、種々様々なフェチをもつ人々だが、誰がどこでどんな行動をしていても「キモい」だとか「無理」といった否定的な言葉は一度も耳にしなかった。
まじめに仕事をしている姿も自分でありながら、フェチをもつ一面もまた自分であり、日頃抱く願望や欲求をこういった場で実現し表現することによって、“自分のすべて”を認めているのかもしれない。
そんなことをしみじみと考える私の横では、馬のお面が床に寝転んだ少女を抱きかかえ、パンツ1丁の男性が天使のコスプレで座り込み、その奥では体にホチキスを打ち付ける男性が唸っていた。
・・・いや、自分を認めるどうこうの話ではなく、単に異文化なんじゃ・・。
たてつづけの衝撃にフリーズしかけつつ、今回個人的に興味があった『かたぐるまー。』に挑戦。180センチ以上はあるだろうかという長身男性の肩にまたがり、巨人視点が体験出来るという体験型サービス。自分の体重の10の位の数字×100円というお手頃プライスで、料金を渡すと、バニー姿の男性がやさしくエスコートしながら肩に担いでくれる。
男性の肩に全身をゆだねているところで、「大丈夫ですか?怖くないですか?」と甘く問いかけられると、不思議なことに「もうこの人にだったら身を預けても大丈夫、何でも捧げます・・!」という気持ちに。自分でもよく分からないが、まさにドキドキしてムラムラなのだ。
約30秒ほどの巨人気分を楽しんだ後、ゆっくりと地面に下ろされた。バニー姿の男性がこの世で一番かっこよく見えた瞬間だった。
これがフェチの世界・・・?「新しい自分にこんにちは」である。
日常とかけ離れた体験ができる『フェチフェス』は、毎年何回かに分けて開催されているらしい。思い切って踏み入れることで、自分の隠れたフェチが目覚めるかもしれない。
そして肩車がまさかのフェチだった私は、次のフェチフェスまでにもうすこし痩せておこうと思う。