ビジネスはもちろん、ショッピングや娯楽、友人とのコミュニケーションまで、今やインターネットは生活に欠かせない存在だ。そのインターネットが、出会いの主流となる時代が来るかもしれない。
米科学アカデミー紀要(PNAS)掲載の米調査によると、米国ではカップルの1/3がインターネットでの出会いをきっかけとしており、しかも結婚後の幸福度が高いらしい。
調査対象は2005年から2012年の間に結婚した1万9131人。
そのうち、オンラインつまりインターネット上で結婚相手と出会った人は、30歳から49歳の高所得者層である傾向が強い。さらに、その割合はオフラインで出会った場合と比べて高いらしい。
ちなみにオンライン以外での出会いは、22%が職場、19%が友人、9%がバーまたはナイトクラブ、4%が教会だったそうだ。
さらに驚くべきは、オンラインで出会ったカップルの方が、より幸福度が高いという調査結果が出たことだ。
結婚しているカップルの結婚生活に対する満足度は、オンラインで出会ったカップルが平均5.64、オフラインのカップル が平均5.48。わずかながらオンラインで出会ったカップルの方が上回っている。
加えて、家族、職場、バーまたはナイトクラブ、お見合いで知り合った人たちの結婚満足度は最も低かったと報告されている。
カップルの離婚率をみると、オンラインで出会ったカップルは5.96%、オフラインで知り合ったカップルは7.67%。リアルな出会いよりもオンラインの出会いのほうが離婚率が低いなんて、正直誰も予想しなかったのではなかろうか。
一方、日本では“出会い系”と言うとあまり良い印象は持たれていないようす。20代前半~半ばの男女に対しヒアリングを行ったところ、全ての人がインターネットの出会いに対してネガティブなイメージを持っていた。
日本人が出会い系に前向きではない理由→
「どこの誰だか分からない人とやり取りをして、ストーカーになられたら怖い」(21歳 女性 大学生)
「どうしてインターネットを使おうと思うのか分からない。現実で恋人は作るべきだし、これまでだってそうだったんだから出会い系をわざわざ使うなんて、よっぽどモテない人なんだろうと思う」(25歳 女性 フリーター)
「テレビを観てると、出会い系を使って事件に巻き込まれたとか、違う人になりすましたりとか、そんなニュースばかりだから怖いイメージがある」(21歳 女性 大学生)
「絶対に男性は下心があるに決まっている。むしろ下心が無い人は出会い系なんて使わないと思う。自分だったら下心無しに使えない」(20歳 男性 大学生)
やはりマスコミによる報道の影響が大きいようで、ヒアリング対象者全員が「事件に巻き込まれたら怖い」という意見を持っていた。
しかし、必ずしも全員がネガティブイメージのみを持っているわけではない。インターネットでの出会いに対して肯定的な見方をする人も約半数いた。
「インターネットでなければ会わなかったであろう、現実では全く接点の無かった人と出会ってカップルになるのは運命的だと思う」(21歳 女性 大学生)
「理系は大学生ですら出会いが少ないし、研究職についたらもっと出会いはなくなると思っている。普段異性と出会うことが難しい人にとっては便利なツール」(23歳 男性 大学院生)
「普通に生活していたら会えないような人と繋がることが出来るのは、インターネットの良いところ」(21歳 男性 大学生)
インターネットを通した見知らぬ人との出会いに関しての“コワイ”“危険”という警戒心はまだまだ根深い。その一方で、現代の日本人のライフスタイルやインターネットの利点も踏まえて、「アリなんじゃない??」と思い始める人も少しずつ出てきているようだ。
すでに米国では出会いのツールのひとつとして、その立場を確立しつつあるインターネット。離婚率・満足度などの調査結果からみて有用性は高そうだが、日本での普及にはイメージの払拭が一番のハードルだと言えそうだ。
参考:米科学アカデミー紀要