6月7日に迫った“選抜総選挙”。ランクインするのは可愛い女の子だけ!というわけではありません。実は対人行動における“自己プロデュース能力”が飛び抜けているメンバーが上位を占めているのです。指原莉乃さんの「マーケティング力」・峯岸みなみさんの「インタビュー力」・柏木由紀さんの「リアクション力」・渡辺美優紀さんの「バリアフリー力」など……アイドルたちが厳しい世界で培った“好かれる秘訣”を、その行動から探ってみようと思います。
AKB48の選抜総選挙。約300人が在籍する48グループ(秋元康氏がプロデュースする女性アイドル群)から次のシングル曲を歌うメンバーに選ばれるのは、たったの16人。その少ない枠を狙い、今年も熾烈な闘いを繰り広げています。このイベントで目立つのは、やはり可愛い女の子たち。しかし、こじはる(小嶋陽菜さん)やぱるる(島崎遥香さん)のような“立っているだけで可愛いタイプ”ばかりではありません。そうではない女の子たちはどうやって得票を集めるのか、というと……
答えは、自己プロデュース力です。少ないチャンスの中で“自分だけの魅力”を発信できるメンバーは、大所帯の中にいても埋もれずにファンを増やすことができます。自分で自分を輝かせなければスポットライトは当たらないわけですから、その言葉・表情・仕草にはすべて、意味があります。そんな彼女たちの行動を探ってみれば、学校生活や職場など、日常生活の中で応用できるような工夫もありそうです。
今回は指原莉乃さん(HKT48)、峯岸みなみさん(AKB48)の行動から、彼女たちの対人処世術を探っていこうと思います。主観ですがこの2人の対人行動における自己プロデュース力は群を抜いています。それでは、早速一人ずつ見ていきましょう!
『飲み会に誘えば、必ず盛り上がる』峯岸みなみのインタビュー力
最初は峯岸みなみさん。昨年の選抜総選挙順位は14位。彼女は2013年に研究生となりましたが、その後も根強い人気を誇っています。そんな彼女の強みは抜群のトーク!峯岸さんがMC(劇場公演やコンサートでのトーク部分)に入れば、どんな話題も面白い方向へ広がっていきます。周りのメンバーやファンを巻き込んで笑いを作っていく彼女を見て、なんだかこの光景見たことあるなーと思っていたのですが、最近やっと気がつきました。飲み会の席で活躍する「呼べば必ず盛り上がる女の子」です。その子さえいれば沈黙の心配がいらないような、盛り上げ上手な子っていますよね。彼女はそのタイプだと思います。
そんな峯岸さんの会話をよく聞いていると、あることに気づきます。それは自分の話よりも、周りの話をする方が断然多いことです。常に会話の中にいるように見えて、基本的には相手の話を聞いている。会話のパスが非常にうまいのです。
例えば研究生として活動していた昨年、彼女は劇場公演のMCやテレビ番組で後輩にあたるAKB48の研究生たちに次々と話を振っていました。研究生の誰かに関係がある話題が出ると「○○は~なんだよね?」と話題の中心にしてあげたり、それをいじってみたり、とにかく周りのメンバーに会話の主役を譲る彼女。後輩の話が止まりかけると「例えば?」と話しを広げ、面白いコメントがあればきちんと拾います。メンバーの良さを引き出していく姿がとっても頼もしく、印象的でした。
彼女がパスする質問はいつも的確。相手のことをよく見ているからか、その人の面白いエピソードを引き出す質問を投げかけることができます。おかげで質問された側もいきいきと話すことができ、会話の循環もよくなっていきます。まさにグループに欠かすことのできないインタビュアー。あれだけの人数の話をまとめ、盛り上げていくことは彼女にしかできません。峯岸みなみさんは今、そのトーク力で唯一無二のポジションに立っています。
峯岸みなみの「インタビュー力」
・自分の話 < 相手の話で、周囲を巻き込む
・「○○(名前)は?」「例えば?」で話を膨らます
『あの子はいじっても大丈夫』指原莉乃のマーケティング力
今や48グループ内で最も高い人気を誇る指原莉乃さん。彼女の魅力は、その会話を見ているとよくわかります。前述した峯岸さんが“コメントを拾う達人”であれば、指原さんは“コメントを返す達人”。彼女が返す言葉はいつでも笑いを巻き起こします。どうしてあんなにも速く、キレのあるコメントを返すことができるのでしょうか。
その答えの一つに、彼女の“客観的な視点”があると思います。指原さんはいつも自分の姿を少し遠くから見ていて、周りにいじられるのがオイシイことだとわかっているし、自分のポジションも理解しています。周囲が求めるキャラクターに徹することで、迷いなく返事が返せるのです。
彼女の客観性によって作られたキャラクターは多くの人から愛されます。人気に火が点き出した2011年頃から親しみのある「へたれキャラ」として自虐コメントを披露していました。だから周りも「この子はイジっていいんだ」と安心。そうすれば峯岸さんのような話の回し手から、どんどん会話のパスが飛んできます。あとはヘラヘラ笑いながら、明るく返す。この展開はお決まりのように笑いが起きます。
たまに、この人はどう扱ったらいいんだろう?というような方がいますよね。私も初対面の人と打ち解けるのに時間がかかる方なのですが、それでは仲良くなるまでの時間がもったいない。一方で指原さんのようなキャラクターがわかりやすい人は、最初から会話の中心になることが多いです。周りからいじられながらも、みんなの人気者となっていきます。
彼女はもともとアイドルが好きだったこともあり、自分がどう見られているか、自覚を持って行動しています。どう接すれば相手を喜ばすことができるか、会話の相手や観客のニーズを把握した上で言葉や行動を選ぶ。自分が相手に受け入れられるための“マーケティング”のような作業を自然に行っています。タモリさんや中居正広さんのような、多くの有名人からいじられて可愛がられている今の指原さんは、長年キャラクターを徹してきた努力の賜物だと思います。
指原莉乃の「マーケティング力」
・求められていることを客観的に察知
・キャラクターを徹していじられ上手に
さて、「アイドルに学ぶ対人行動学・前編」では48グループの中でも特にトークに定評のある2人を紹介してきました。彼女たちは現在バラエティ番組で活躍しているので、テレビ越しに学ぶことが出来ます。2人がそれぞれの力を発揮している場面を見つけたら、ぜひ注目してみてほしいと思います。
でも、峯岸みなみさんのようなトークや指原莉乃さんのようなキャラづくりは今スグ実践できない、とも感じますよね? 彼女たちから学ぶ話術は、少しずつ取り入れていくのが正解だと思います。
次回紹介する柏木由紀さん(AKB48兼NMB48)と渡辺美優紀さん(NMB48兼SKE48)から学ぶのは、小さな心がけですぐに身につけられる『リアクション力』と『バリアフリー力』。「アイドルに学ぶ対人行動学・後編」にて、振る舞い上手な2人の行動を探っていきます。
後編はこちら→柏木由紀のリアクション力と渡辺美優紀のバリアフリー力を学んであなたも人気者!【アイドルに学ぶ対人行動学・後編】