一定数の男女たちが、幸せに過ごしていく一方、“そうではない人たち”が、どう過ごすかに頭を悩ませるのも、毎年の話。
今年は“クリぼっち”(クリスマスにひとりぼっち、の意)という言葉も浸透し始め、
「クリスマスに恋人といないのは別に恥ずかしいことじゃない!」という空気も醸成されつつあったものの、
やはり自分が当事者となると、その過ごし方は悩ましいもの。
と、記者自身が本気で頭を悩ませていたところ、“恋人がいない人限定”で参加できる、映画『ジャッジ!』のクリスマス特別試写会がおこなわれるという情報が。悲しくも参加条件に当てはまってしまったので、行ってみることに。
“クリぼっち”には残酷な街・六本木にたむろする、サンタコスプレの男女たちの群れを抜け、会場のシネマート六本木にたどり着くと、意外にもそこは明るい雰囲気。映画を楽しもうとする人たちに溢れていた。
広告業界の中を描いている『ジャッジ!』だが、その中身は、もちろん業界・年齢関係なしに、広く笑えるもの。前半でのフリが、中盤以降に笑いとして効いてくるという見事な構成で、上映中は笑いがたえなかった。
上映後は、監督の永井聡さんと、セクシー秘書役を演じた玄里さん、劇中に登場するCMでのキーアイテムとなった、ちくわに関連して、ちくわ笛演奏の第一人 者・住宅正人さんが登場。本作の挿入歌・サカナクションの『アイデンティティ』を住宅さんがちくわ笛で見事に演奏し、さらに、3人でも『赤鼻のトナカイ』 を合奏するなど、会場を盛り上げた。
永井監督は「メッセージ性のある映画、違う世界を見せてくれる映画など、映画には様々な役割があるが、こんな、元気がない時に見る映画があってもいいんじゃないか」とコメント。
確かに、本作には、笑い以外にも元気になれるポイントが満載。妻夫木聡さん演じる、仕事への希望を捨てない、弱気な落ちこぼれ広告マンと、北川景子さん演 じる広告業界によくいそうな、強気な優秀クリエイターの恋模様はスリリングで、デートムービーとしても楽しめる内容になっている。
ちなみに劇中には「ちくわをのぞくと未来が見える」というセリフが。この日、『ジャッジ!』をスクリーンで見た人たちがのぞいた、ちくわの先には、見る前よりも、ちょっと元気になった未来が見えていたのかもしれない。
(文・霜田明寛)