ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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「配給した会社がすごい」リリー・フランキーが橋口亮輔監督最新作『恋人たち』を絶賛

公開中の映画『恋人たち』の大ヒットを記念して、監督である橋口亮輔と、本作にも出演しているリリー・フランキーによるトークイベントが、テアトル新宿にて行われた。
「この映画は、メールで感想を伝えられるようなものではないので、直接会って話さなきゃいけないと思っていた」というリリーと監督によるトークの模様を、紹介する。

天才の撮影現場を見てみたかった

7年前に公開された橋口亮輔監督作品『ぐるりのこと。』で主演のオファーを受け、そこから俳優としての活動が活発化したリリー・フランキー。その出演を決めた時の心情を振り返り「それまでは映画の原稿を書く側だったので……。こういう天才の人がどうやって映画を作っているのかそばで見たい、という気持ちが強かったですね」と語った。

ちなみに『ぐるりのこと。』では、撮影の前に入念なリハーサルが行われたという。しかし、リハーサルでは、台本の稽古をしたわけではなく、映画のストーリーの前の部分、すなわち主人公2人がつきあってから結婚するまでの10年間の部分をひたすら稽古したのだとか。
「撮影が始まる時には、既に10年つきあっていたっていうウソの記憶を刷り込まれていたのでだいぶラクでしたね」とリリーは笑って振り返った。

この作品を商業映画として出してえらい

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『恋人たち』に関しては、作品はもちろん、配給会社の気概を褒めるほど感銘を受けた様子のリリー。
「橋口さんも出ている役者さんも全部素晴らしいですよね。これを商業映画として配給した松竹ブロードキャスティングもえらいと思いますね。気概がありますよ。(※)今の映画は血が出たらダメだとか、タバコを吸ったらダメだとか、乳首が出たらR指定がつくって言われている中で、この映画は、乳首・シャブ・皇室問題……避けたいもののオンパレードじゃないですか」

橋口監督が「とんがったものを作ってくださいって言われたんですよね」と笑って返すと、リリーは
「ここまでとは思ってないでしょうね(笑)。でも、特異なことがあるみたいに映るかもしれないけど、僕らが毎日広げる新聞の中に全部ある点描なんですよね。そして橋口さんはやっぱり人を信じてる人なんだな、と思いました」と語った。

(※編集部注 配給会社は松竹系列の会社である松竹ブロードキャスティング。本作のプロデューサーである、深田誠剛は、松竹本体から松竹ブロードキャスティングに出向し、新しい部署を作ってまでこの作品の配給を実現させた)

家の匂いがプンプンする美術

また、リリーは、劇中の美術にも触れ「家の匂いがプンプンする」と評した。
これは、美術の安宅紀史氏によるもので、押し入れや引き出しの中にもすべて荷物が入っていたという力の入れよう。劇中の主要登場人物である瞳子の部屋に至っては、演じる成嶋瞳子本人が学生の頃読んでいた漫画と同じものが置かれていて、彼女も驚くほどだったという。

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この日は、TBS系『王様のブランチ』のミニシアターランキングで1位と放送された直後だったこともあってか、客席は超満員で、35名の立ち見のお客さんが出たほど。
監督によると「面白かった!」といったタイプのものよりも「救われた」という感想が多いというこの映画。本作のヒットは、いきづまった日本に、飲み込めない想いを抱えた人が多いということと、うつしかがみのような現象なのかもしれない。

映画『恋人たち』はテアトル新宿ほかで大ヒット上映中。
(取材・文:霜田明寛)

■関連リンク
映画『恋人たち』公式サイト
テアトル新宿ほか全国にて公開中

・ソーシャルトレンドニュース特設ページ 11月 愛を感じる2作品『恋人たち』✕『愛を語れば変態ですか』

・「死ぬ想いをした人が見る青空が映っていた」橋口亮輔✕川島小鳥対談【『恋人たち』公開記念】

(C)松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ

(C)松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ

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