“台流”って言葉、知ってますか?
マンゴーがごろごろ入ったかき氷に、鼎泰豊(ディンタイフォン)の小籠包、タピオカミルクティー……。最近では、日本でも様々な台湾グルメを食べられるようになりました。皆さんの中にも台湾グルメのファンは多いのではないでしょうか?
しかし、今回記事でご紹介するのはグルメではございません!
“台流”という言葉を知っていますか? 実は近頃、台湾の映画やドラマなども日本で密かな注目を集めているのです。今回、この記事ではポップで爽やか、それでいてちょっと新鮮な台湾映画2作品をご紹介しちゃいます!
悪役までもがポップでキュート!?どこまでも可愛い空気感が味わえる映画『台北の朝、僕は恋をする』
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映像だけでなく、劇中に流れる音楽も可愛い『台北の朝、僕は恋をする』。
ゆっくりと時間が進む夜から朝までの台北を舞台に、一人の青年と少女の逃避行をコミカルに描いたのがこの作品。
台北に暮らす主人公カイ(ジャック・ヤオ)の恋人がパリに留学してしまい、彼が落ち込むシーンからこの映画は始まります。その日以降、彼は本屋にフランス語の本を読みに通いました。ヒロインは、本屋で働く可愛くてどこか陰のある少女スージー(アンバー・クォ)。彼女は、毎日やって来るカイが気になって仕方がなかったんですが、パリに行きたいカイは地元のボスからお金を借り、その条件に怪しい仕事を引き受けてしまった……! そこからカイとスージーは事件に巻き込まれ、2人の運命が変わっていくというストーリーです。
主人公、そのバイトの友達、恋愛相談を真面目に受けちゃうヤクザのボスまで……ちょっと間抜けで「大丈夫か!?」とツッコミたくなるような愛されキャラクター。夜市のシーンや公園で太極拳のようなダンス(!?)を踊るシーンも、いい感じにエキゾチックで異国情緒が感じられます。
また、一夜の逃避行で距離が縮まるのか縮まらないのか、恋が生まれるのか生まれないのかよく分からない二人の関係性も不思議で可愛らしい。ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』を思い出す雰囲気です。二人が駆け回る夜の台北の街並みがとっても魅惑的です!
誰にでもある二度と戻れない“あの頃”。そのキラキラを突きつけてくる『あの頃、君を追いかけた』
(C) Sony Music Entertainment Taiwan Ltd.
台湾の人気作家ギデンズ・コーの自伝的小説を、自身が監督を務め映画化した作品『あの頃、君を追いかけた』。
1990年代、主人公のコートン(クー・チェンドン)が高校生から大人になる途中で、同じ学校の親友たちとふざけあったり、ヒロインであるクラスのマドンナ・チアイー(ミシェル・チェン)に恋をする青春時代が鮮やかに描かれています。『台北の朝、僕は恋をする』とは一味違って、爽やかな疾走感があります。
この映画はまさに「可愛すぎてツライ」を体現したような映画なのですが、何が可愛くて何がツライのかをここでご説明します!
まずは何と言ってもヒロインを演じるミシェル・チェンがとても可愛いのです! 髪型をポニーテールにしただけでクラスの男子に注目されるなんて、彼女は一体何者なんだ……。あんな女子になれたら無敵だろうな……。なりたくてもなれない永遠のヒロイン像を演じるミシェル・チェン、当時の年齢でも20代後半らしいので驚きです……!
そして、何がツライのかと言うと、「人生に青春は一度しか来ない」ということをはっきりと教えてくれる映画だからです。学校で友達とバカ騒ぎしたり、クラスのマドンナに夢中になったり。そんな、当時は“普通”と思えた日常は、過ぎてしまえば二度と戻って来ないのです。
そして、この作品には少し意外な結末が待っているのですが、その結末は「好きな人の幸せを願う」ということの本当の意味を教えてくれます。見た後に幸せな余韻に浸れる作品となっています!
二度と味わえないドキドキ感、不思議で可愛い空気感……。私達に足りていなかったものが、もしかしたら台湾映画に詰まってるかも!?
(文:小林雅実)
■関連リンク
・映画『台北の朝、僕は恋をする』公式サイト