去年はファッション界でもデザイナーが交代劇があり、スタイルがぐっとコンサバになった原点回帰の年。それに伴い、ヘアスタイルも重めでシンプルな髪型が流行。スタイリングはパウダーワックスが人気になるなど、ドライな質感が支持された。では今夏はどうなる?!
雑誌や広告で活躍しモデルやタレントの顧客が多い、中目黒・「CINNAMON」のオーナヘアスタイリスト・酒井吉之氏に話を聞いた。氏はトレンドヘアを常に発信し、全国のヘアスタイリストにも多くの講習をするなど第一線で活躍している。
―今年のトレンドを教えて下さい
酒井氏(以下敬称略) 今年は、とにかくラフでヘルシーなイメージのヘアが支持されます。カットはレイヤーをいれて軽さを出し、パーマは縦ラインが強めのラフなカールになります。スリッポン、ミラーサングラスなどリラックス感のあるビーチスタイルが春からトレンドを牽引しており、そんなスタイルに似合う中村アンさん、長谷川潤さんみたいな感じのヘアが人気ですね。
―確かに可愛いですね。確かに森戸海岸のCABANに行ったら、こういうヘアのおしゃれな方いっぱいいました! ヘアの色はどうなりますか。
酒井 カラーはマット系やライム系がトレンドで、髪が柔らかく、外国人風に見えます。個性をカラーで出すのがいまっぽく、グラデーションや、襟足だけ別の色を入れるなど、去年の冬から続行しています。
―パーマヘアが来るということですが、どうやってスタイリングしますか。
酒井 スタイリングは手ぐしでざっくり、が気分です。ややウエットな質感が流行るので、ミルクやオイルなどを使います。寝癖を濡らして出てくるような縦のカールがイメージです。
―ウェットな質感? 濡れた感じがいいんですか。
酒井 そうです。濡れててパーマのカールがくるんと出たような、まさに「風呂あがり」のような感じです。
―風呂あがり・・・。そ、それは東京だけの流行ですか。
酒井 それが、世界的なトレンドです。メンズでは、ツーブロックをジェルやクールグリースでウエットに仕上げるスタイルがしばらく流行っていましたが、レディスでも質感は同じ流れです。2014春夏のコレクションでは、3.1フィリップ・リムやマルベリーなど多くのブランドが濡れたようなカールヘアのルックで登場しました。
―ではスタイリングは風呂あがり風ということで。
酒井 はい(笑)。でも、質感を変えるだけで俄然今年っぽくなりますよ。
―ショートの人はどうすれば。
酒井 ショートも傾向は同様です。レイヤーで軽さを出し、うねるようなカールをつけます。短くてもフェミニン、でも媚びた感じでもない、今どきの女っぽいスタイルになります。
―軽いスタイルということですが、パーマのかかりにくい直毛で、あまり切りたくないロングの黒髪の場合はどうすればいいですか。(筆者のような子育て世代は育児環境のために明るくできない場合がある)
酒井 どれも、一聴すると今年のスタイルに反しているような条件ですね(笑)。でも大丈夫ですよ。コスメパーマという傷みにくいパーマを、カールの定着具合を見ながら時間を調節してかければ直毛でも柔らかい質感になります。レイヤーを適切な位置に入れれば、段が入りすぎずまとまりにくくなることもありません。黒髪でも、このレイヤーとカールで、だいぶ軽い印象になります。もっと軽くしたければ、ハイライトを少し入れるというのも手です。
ー湿気の多い季節に、スタイルのモチをよくするスタイリングのコツはありますか。
酒井 下からドライヤーをあて、毛先を揉み込むようにして乾かしたら、髪の表面を持ち上げ、髪の内側にハードスプレーをします。これでだいぶボリュームがアップします。そして、スプレーの後に、オイルをカールの表面にもみこめば、トレンドのウエットな質感でありながら、ふんわりしたシルエットが維持できるでしょう。これは梅雨時期でも対策として使えます。大体の人は、オイル→スプレーと逆の順序でつけてぺったりしてしまうようなので、ぜひ提案した順番でスタイリングしてみてください!
(文:吉田瑞穂)