小説を読んで台本に書き込み…島崎遥香が明かした女優としての努力

――今回の映画は累計70万部突破の人気小説が原作になっています。

「原作のファンの方を悲しませたくないというのが、やっぱり一番にあったので、髪型なども、なるべく近づけるように外見から入っていきました」

――原作にはルックスなどの細かい描写もありますもんね。

「原作を読むと、登場人物がどういうルックスをしていて、どういう性格をしていて、どんなことを感じて……といったことが、台本より詳しく書いてあるんですよね。それを細かく台本に書き写していきました」

――そんなアプローチで役作りをされていったんですね！　島崎さんが演じた、灘こよみという女のコに関してはどんな印象を抱かれましたか？

「なんだろう……世の中の男性に夢を与えるコですよね。大学生にして、こんな心を持った女の子が、現実に存在するのだろうか、というくらいピュアで。そういう女のコが存在してほしいな、って思わせるようなコでした」

――ちなみに、島崎さんご自身よりピュアの濃度は高い感じでしょうか？

「はい……そうですね（笑）」

――そんなピュアなこよみが、中山優馬さん演じる八神森司に壁ドンされるシーンがありますよね（笑）。

「ありがちではないパターンの壁ドンだったので、台本を読んだ時は笑ってしまいました。撮影中はもちろん、笑えない状況ですけどね。その時点で既に壁ドンが流行っていたので、この映画が上映されるときに流行っているだろうか……と、ちょっと不安になったりしました（笑）」

――あの壁ドンシーンは特別としても、中山優馬さん演じる八神森司は、なかなか気持ちを伝える勇気のない奥手な男性ですよね。島崎さん自身はああいう男性はいかがでしょう？

「ちょっともどかしいですよね。やっぱり男らしさが欲しいな、と思ってしまいます」

――最近の男性は……男らしさが足りないですかね？

「最近、性別がひと目でわからないような方が増えてるじゃないですか（笑）。どっちかわからない人が増えてるので、ちゃんとひと目でわかるような男性がいいです」

――では、今回の登場人物である、中山優馬さん演じる八神森司、大野拓朗さん演じる黒沼泉水、安井謙太郎さん演じる黒沼麟太郎の3人で言うと、どの方が島崎さんはタイプですか？

「大野くんの泉水ですよね。やっぱり一番男らしいキャラクターじゃないですか」

――そうですよね……。実は僕らは、男らしくガツガツいけない、どちらかというと中山優馬さん演じる森司のような男たちのための媒体なんです……。森司も、こよみちゃんに対して遠回しの優しさを持ち続けてましたよね！

「あの遠回しの優しさには……気づけなそうです。だから、私はストレートで、わかりやすい人のほうがいいのかもしれないです。遠回しの優しさはいらない、って思っちゃいます。遠回しの優しさで、傷つくこともあるんじゃないかと思いますしね」

――おっしゃるとおりです……。では、遠回しではないストレートな優しさというと……例えば大野拓朗さんの出演されていたドラマ『LOVE理論』の原作にあったような、“エスカレーターでは男は女より下にまわって支える”といったようなことでしょうか？

「ええっ、それは気持ち悪くないですか？（笑）　そういう『やってます！』感が出ちゃいそうなものより、ナチュラルなほうがいいですよね。そう思うとストレートすぎるのもよくないのかな……」

――例えが悪すぎたせいで、困惑させてしまってすみません……。

「私はあまり口がうまいほうではないので、心を読み取ってくれるような人がいいんです。何も言わなくても私の変化に気づいてくれるような人だと嬉しいです。落ち込んでたら、私が何も発さなくても『大丈夫？』って聞いてくれるような人ですね」

――さて、他のキャストの方の話も聞いていければと思います。若いキャストの多い現場ですが、どんな雰囲気だったんでしょう？

「最初、私は全然喋れなかったんですけど、中山優馬くんがみんなが喋れるような空気を作ってくれたので、やりやすかったです」

――さすが中山優馬さんですね！

「キャストのみんなにも、スタッフさんにも気を配られていて、“主演の人”なんだなあ、と感じました。私はそんなに配慮をできたりはしないので……。
すごくしっかりされている……というと上からになってしまうかもしれませんが、そんな印象でした。とても私と同い年とは思えないくらいです」

――では、先ほど、キャラクターとしては一番タイプだと挙げられていた大野拓朗さんはいかがでしたか？

「テンションが高くて、明るい人でしたね」

――そこは、島崎さんとは差がある感じなのでしょうか？

「うーん、追いつけなかったですね（笑）。私、朝はすごく機嫌が悪いんです……。そこに大野くんは『おはようごっざいまーす！』って『スッキリ!!』の天の声さんみたいな明るさでやって来るので、驚いてしまって、ちょっと苦痛でしたね（笑）」

――中山優馬さんはそういうときは入ってこないんですか？

「そうですね、私がそういうテンションのときは、気を使って、あえて放っておいてくれる感じです」

――高橋メアリージュンさんはいかがでしたか？

「サングラスかけてるし、モデルさん体型で最初は、『怖い、本当に苦手なタイプだ』と思ってしまっていました」

――若干ビビっていたんですね（笑）。

「でも、喋ったら全然そんなことはなかったです。優しいし、面白いし。それに、あのルックスなのに関西弁なんです。ハーフのハーフといいますか（笑）」

――みなさんそれぞれタイプが違う方々なんですね。

「ええ、みんな素の状態でもキャラが違うんですけど、それが映画で見ると、面白くなっている上に、ひとつになっている感じが出ていてよかったと思います」