昨今、テレビドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京系)、映画『アズミ・ハルコは行方不明』などで大きな注目を浴びる映画監督・松居大悟が、『奴隷区 僕と23人の奴隷』の漫画家・オオイシヒロトとタッグを組み、約4年の歳月をかけて長編漫画『恋と罰』を完成させた。
松居監督が初の長編漫画原作を手掛けた本作は、独身塾講師の百合子が、ラーメン屋の店員・順を相手に恋に落ちる様を描くラブストーリーである。
そして今回、『恋と罰』の刊行を記念して、5月22日の東京・下北沢の本屋B&Bには、松居監督と普段から交流のある、コピーライターの阿部広太郎、お笑いコンビ・ニューヨークの屋敷裕政、当サイトの編集長・霜田明寛が集合。それぞれ仕事もまるで違うのに同い年というだけで意気投合、異様に仲良くなったという4人が、本作の魅力や激痛ポイントなどを存分に語り合うトークイベントを行った。
しかし開始早々、話題は近況報告からの霜田の悩み、そして屋敷裕政が尾崎世界観(クリープハイプ)と体験した山登りトークへ……。
◆プロフィール
松居大悟(まつい だいご)
1985年11月2日生まれ。
劇団ゴジゲン主宰。2012年に映画「アフロ田中」で長編監督デビュー。MV制作やコラム執筆など活動は多岐に渡る。映画「アズミ・ハルコは行方不明」、テレビ東京ドラマ24「バイプレイヤーズ」など。次回作は映画「アイスと雨音」。漫画「恋と罰」は漫画家になりたかった松居の念願の初コミックスである。
@daradaradayo
阿部広太郎(あべ こうたろう)
1986年3月7日生まれ。
2008年、電通入社。コピーライター、コンテンツプロデューサー。「世の中に一体感をつくる」という信念のもと、言葉を企画し、コピーを書き、人に会い、繋ぎ、仕事をつくる。宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」講師。BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」主宰。初の著書『待っていても、はじまらない。―潔く前に進め』(弘文堂)で、昨年の夏、4人のイベントを初開催。
@KotaroA
霜田明寛(しもだ あきひろ)
1985年9月25日生まれ。
早稲田大学在学中に執筆活動を始め、23歳で、自身のアナウンサー就職活動への挫折経験をもとにした著書『テレビ局就活の極意 パンチラ見せれば通るわよっ!』で作家デビュー。20代で3冊のマスコミ就活本を著し、就活生の一部から熱狂的な支持を得る。読者から多くのアナウンサー内定者を輩出した評判が広まり、大学や企業の就活セミナーに登壇するようになる。
また、ジャニーズ、日本映画、ミスキャンパスといった分野にも造詣が深く、自身が編集長を務めるWEBマガジン“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”で、それらを紹介する傍ら、テレビ・ラジオなどにも出演。映画監督や俳優への「肯定型インタビュー」には定評があり、映画イベントなどを中心に司会も務めている。
@akismd
屋敷裕政(やしき ひろまさ)
1986年3月1日生まれ。
お笑いコンビ「ニューヨーク」のツッコミ担当。三重県出身。初のDVD「THE NEW YORK~Love&Peace~ ベスト・オブ・ニューヨーク」発売中。
@NYyashiki
知り合いと言い出せない問題
霜田 最近、映画の司会をやることが多くて、屋敷さん周りの芸人さんと監督、そして僕(司会)みたいなことがよくあるんです。その時、屋敷さんの名前を出すかどうかがメチャメチャ迷いますね。
屋敷 笑!
霜田 アントニーさんとデニス・植野さんが出てる『日本で一番悪い奴ら』っていう映画のイベントがあったんですけど。アントニーさんと1回楽屋で一緒になって、しゃべったことないから名前を出してみたんですよ。
屋敷 うん。
霜田 たしか前日、LINEした時「観た」みたいな話をしてたから。
屋敷 あー俺が。
霜田 そうそう。だからその日は「屋敷さんも観たって言ってたんですよ。仲良くさせてもらっててー」って言ったら、“たいして仲良くないのに、芸能人と仲良いことを自慢してる奴”みたいな感じになっちゃって。「あ、あぁ……」みたいな感じでそのまま本番に突入するっていう。本当に仲良いのに!
屋敷 わかるわー。よくそういう奴、六本木におるもんな!
まあ、俺で言うと尾崎世界観と現場で一緒になって松居大悟の名前出すかどうか(※)みたいな悩みね。
(※松居監督は、クリープハイプのPVの監督を務めるなど普段から尾崎世界観と交流がある)
霜田 そういえばこないだ『Maybe!』(小学館)って雑誌に、尾崎世界観とオシャレ前髪男子みたいなので2ショットで載ってたね。
一同 笑
屋敷 そうそう、前髪が重い系男子みたいなので。その時に俺、尾崎世界観さんと初めてお会いして。なんか逗子駅に8時とかに集合してさ。
阿部 だいぶ早いですね!
屋敷 ほんまにマネージャーもなしに僕1人で行って。で、尾崎さんがいらっしゃって、何人か編集の方がいて、タクシーで山のふもとまで登りましょうと。逗子駅からタクシーで30分くらいかけて行ったんやけど。それでタクシーで、俺、尾崎世界観さん、尾崎世界観より世界観があるマネージャーと乗った(笑)。
松居 とーる?
屋敷 とーるさんて言うんや。尾崎世界観より尾崎世界観やん、あの人!(笑)
松居 わかるわかる!
屋敷 すごい前髪! 前髪が重いとかの比じゃない!
一同 笑
屋敷 で、俺しゃべったことないから、メッチャ気まずくて。タクシーで30分くらい、ずっと無言で。
松居 あ、そうなの? でも俺らの話したらいいのに。
屋敷 それがなんか、俺の持ち前のダメなとこやねん。よう言わん。向こうから来るまで、よう言えんくて。
松居 そうなんだ。
屋敷 もう、しゃべらなあかんけど、しゃべられへん状態? みんなシーンとしてて。それでなんかさ、フーン♪ って鼻歌ずっと歌ったらさ、それクリープハイプの曲やってん。
一同 笑
屋敷 おかしなりすぎて、クリープハイプの横で、クリープハイプ歌って(笑)。もうヤバイヤバイと思って!
松居 ただの好きな人!(笑)
屋敷 そうそう! でも山登り始まってからはメッチャしゃべれるようになって。山登りはイイ! 男女でも男同士でも、頂上目指すっていう共通の目的があると、すごいラク!
(そんなこんなで出演者それぞれの自己紹介や近況報告が盛り上がり、本題へ入る前にすでに30分が経過。するとイベントの進行を務める阿部広太郎が焦り始める事態に)
実は○○になりたかった!
阿部 今日は監督が原作を担当した『恋と罰』を語り尽くす90分にしていきたいと思います。では最初のテーマにいきましょう。「実は○○になりたかった!」
松居 これ、でもさ、もう今(始まって)30分過ぎてるじゃん?
阿部 そうそう。だから焦ってるわけよ俺は(笑)。
霜田 大悟だけの話でいいんじゃない?(笑)
阿部 まあまあ、みんな聞いていきましょう!
松居 じゃあえーっと、ゴジゲン(劇団)を見にきた太田出版の人が「本作りましょう」みたいのがあって、これ(『恋と罰』)になったんですけど。元々、漫画家になるのが夢だったんですよ。
阿部 はい。
松居 それで中高と描いてたんですけどうまく描けなくて。でも視覚的に世界を作りたいってことで演劇やったりとか、映像やったりとかしてて。でもずっと自分の中では夢が叶ってない感があって。
屋敷 夢のナンバー1が漫画家?
松居 そう。コミックスを出すことみたいな。
霜田 こんだけ何でも叶えてきたのに!
松居 いやいやいや、今日うるせぇな(笑)。
阿部 たしかに映画を監督したり、演劇やったりとかしたけど漫画だけ出してなかった。
屋敷 意外と多いよな。漫画家に実はなりたかった人。
松居 小中高で夢とかってあった?
屋敷 いや、なりたいってのなかった、本当に。芸人になりたいと思ったこともなかったな。芸人は高校の時に思って。
松居 え、霜田くんは?
霜田 ジャニーズ。
松居 応募したの?
霜田 そうそう(笑)。
松居 阿部さんは?
阿部 僕は弁護士になりたくて。
一同 えーー!
阿部 小学生の時、朝のドラマで『ひまわり』(NHK)ってのがあって。
霜田 あー! 松嶋菜々子の!
阿部 言葉で色々な人を守ったり、救える仕事があるんだと思って弁護士になりたかったんですよ。
屋敷 へぇー! それはなんでやめたんですか?
阿部 大学受験で法学部に受からなかったっていう。挫折しちゃって。そこから経済学部に行って、そこで大悟と出会って。その先、アメフトとか一生懸命やった分、勉強の方にはいかず。
松居 でもどっかでしこりない? 俺、弁護士になれなかったなって。
阿部 ありますあります。弁護士は、法律の言葉で、今してるコピーライターは、経済の言葉。無理矢理、言葉で誰かの背中を押したり、救える仕事ができてるのかなって自分に言い聞かせてる。
屋敷 大悟も似てるってこと?
松居 絵が描けなかったからってのもあって、絵を切り取りたくて作品を作って。
阿部 心のどこかで俺、いつか漫画描きたいなってのがあったんだ?
松居 ずっとあった。あと舞台とか映画とかって人格が形成されてから観だして。大学入ってからとか。小中高って漫画しか読んでないから、漫画で自分の人格作られてる。
屋敷 俺らの年頃はやっぱ『ジャンプ』とか読んでたもんな。
完成までに4年かかった『恋と罰』
阿部 『恋と罰』作ってる時は楽しかったんじゃないですか?
松居 でも、これ4年間ぐらいかかったんですよ。
屋敷 それは考えてて?
松居 2013年くらいからやりだして。最初、太田出版の人から「小説書いてみませんか」って言われて。
屋敷 そうなんや!
松居 それで「やってみたいです」って思って小説書き出したけど、全然書けなくて。話とかもプロットとか作って「よし書こう!」って思って書くけど、2ページ以上いかなくて。
屋敷 舞台とか映画の脚本は書けるん?
松居 書ける。それで、これなんでだろうって考えたら、本当に1人の作業だなと思って。舞台だったら役者が待ってて、映画だったらプロデューサーに上げるとか、今回だったらオオイシさんっていう作画してくれる人に向けてやって。
屋敷 チームの中の1つの方がええんやな。
松居 そうそう。この人と一緒にどう作るんだろうとか。
霜田 やってる作業は1人で書くわけじゃん、どれも。でも誰かが待ってるかどうかで違うんだ。
松居 たぶん。今考えると。もしかしてやり方があるかもしれない。誰々に向けて作るとかをやったらよかったかもしれないけど、どうしてもできなくて。
屋敷 へぇー。
松居 っていうのを2013年くらいからしばらくやってて、半年くらいゴニャゴニャして「どうしてもできないです」と。そしたら出版社の人が「何ならやりたいですか?」みたいな話をして「やっぱ漫画作りたいです」って。あと僕、4年前のさらにその前に1回漫画を読みきりで作ってたんですよ。6年くらい前なんですけど。
屋敷 それも原作?
松居 それも原作して、作画で描いてもらって。
阿部 こちらですよね。『ゲームするしかない君へ』。
松居 たぶん誰も読んでないと思うんですけど、凄い面白いんですよ。ダスティン・ホフマンの『卒業』って映画あるじゃないですか。結婚したら新婦がさらわれて逃避行されちゃうやつ。それの奪われた側のやつをどうしても考えちゃう。
一同 あー。
松居 新婦を奪い取られた側の人、どうなったんだろうって。
屋敷 ほんまやで。
松居 それでそこから始めようと思って。奪い取られた男がヘラヘラしながら「でもまあ、あの人良い人だしな」とか言って、家族とか妹とかが別の新しいお見合いとかさせようとするし、出会った人もすごい良い人なんだけど、傷がどうしても忘れられなくて、ひたすら部屋でゲームをするっていう。
屋敷 おー。
松居 で、1人で戦う。漫画読んでゲームしてることがカッコイイみたいな感じにしようと思って作ったっす。
阿部 この後ろで背負ってる女の子が結婚する予定だった人?
松居 これ妹です。妹がすごい応援してくれて。「あんたゲームなんてしないで」って言うけど、妹目線でお兄ちゃんはゲームをし続けましたみたいな。
阿部 現実逃避するしかなくて。
松居 そうです。それでこの作業が本当に楽しかったのよ。“なんて漫画って面白いんだ。もう1回やりたい”って思って。オオイシさんとやりたいですってなって、そしたらサーッと書けて。
阿部 へぇー! 相手がいるってすごいね。
『恋と罰』は特許を取ったほうがいい?
屋敷 原作の人ってさ『バクマン。』とかだと、ネームも書いてるやん。それ、大悟はどこまでなの?
松居 俺のは台本なのよ。映画の台本みたいな感じで普通に台詞とト書き。これね、下巻の巻末に「こういう風に作りました」って経緯みたいなのが書いてある。もう本当に普通の映画の台本みたいに、台詞があってト書きがあって、それをオオイシさんに読んでもらってっていう。
屋敷 じゃあ同じ感じや。映画とかと。
松居 そう。だから映画の脚本を担当して、監督してもらったみたいな。
屋敷 例えばさ、ラーメン屋のシーンとか出てくるやんか。ラーメン屋でこんな会話するとかしか書いてへんの? カット割りとか、背景にアイツがおってとかは任せるんや?
松居 任せる。でも「ここは見開きで」とかは、あれば書いてる。
屋敷 へぇー! それ楽しいやろな。
霜田 今回さ、めちゃくちゃ特徴的なのが、主人公と主人公が好きな人がいるじゃん。それ以外が全部真っ黒になって、そこに“バイト先のJK”とかの設定が書いてある。あれも全部大悟が書いてるの?
松居 いや、あれはずっと話してたのよ。この二人で作るなら、漫画でしかできない表現ってなんだろうってずっと話してて。ちょうど『恋と罰』がとにかく登場人物全員が片思いして、好きすぎて周りが見えなくなってミスるみたいな話で。
屋敷 はいはい。
松居 だからもうその好きな人以外が、モブキャラっていうか。好きな人以外が完全に見えていないってあるじゃない。
阿部 視界に入ってないのを漫画的表現にするとこういうことなんだ。
松居 そう。絶対に映像化できないなって。これちょっとね覚えておいてほしい。絶対パクられる気が!
霜田 これね、特許取っといたほうがいいよ!(笑) 映像で見ると、その人の背景がどうなのか説明しなきゃいけないじゃん。でもこれは一目でわかるから、すごい便利なやり方だなって。
松居 たぶん漫画家の人もそこ飛ばせるじゃん。書き込まなくていいし。
霜田 そうそう。「夫が42歳外資に勤めてる」とか、台詞にすると野暮ったいけど書いちゃうとサッとわかる。
屋敷 なんかさ、“ヤリサーの女”とか出てこんかった?
霜田 あったあった! 電車の中に(笑)。
屋敷 顔見せろ! って思って(笑)。
阿部 誰があそこまで考えてるんだろうと思ってた。
屋敷 あんなんめちゃくちゃ大悟っぽいけどな。
松居 でもあれはね、「普通に書くの嫌ですね」って話しながら、オオイシさんから出てきた。
屋敷 へぇー。すごいね。
霜田 それね、1個1個読んでくだけでも面白いです。でも途中でちょっとサボってるから、時々「談笑」みたいな逃げてるところもあるんですけど(笑)。
松居 厳しいこというね
一同 笑
霜田 ちょっと落としとこうかなと(笑)。
屋敷 俺、スマホで読んだからさ。本で読むと絶対いいよね。
松居 そうよ! 本で読んでもらうために作ったから……。スマホで読むなよ!
阿部 先行配信してるからね!(笑) でも本当に登場人物の心情を語る上でさ、ページにびっしり書いてたじゃない。それだけでも凄いなと思って。そこまで書くかってぐらいにさ、一面見開きで。
松居 これもね、漫画でしかできないことだなと思って。多分映画だとうるさいってなっちゃうけど、漫画だと飛ばしたい人は飛ばすじゃん。
阿部 たしかに。松居監督流の原作の作り方は新しいですよね。
松居 新しいのかな?
霜田 でもこのやり方でいけば、全脚本家が漫画の原作者になれるってことでしょ?
阿部 作者の方と息が合えば漫画できちゃうっていう。
松居 でも結構時間かかるし、本当に細かいことも、「ここの手紙の文面をやってほしいです」「わかりました」ってそういうのがずっと続くから、相当、愛と根気がないと続かないよね。
『恋と罰』は『ハチクロ』だった!?
阿部 『恋と罰』の見所みたいな話を聞いていきましょうか?
松居 ちょっとその前に、この映像だけ見てもらっていいですか。
屋敷 映像!?
(会場で映画『ハチミツとクローバー』の予告映像が流れる)
霜田 (映像を見ながら)ここいいんだよ! あぁ〜! このラストね! ラストがいいんだわ〜、蒼井優の顔と!
(1人異様に大興奮する霜田の反応に、会場が笑いに包まれつつ予告が終了)
松居 うるせぇな(笑)。
阿部 (『恋と罰』は)こういう内容でしたっけ?
松居 こういう漫画です!
屋敷 えぇ? 全然違うよ。
霜田 いや! でもわかるわかる! すげぇーわかった今。
松居 片思いして好きだなって思うけど、自分の好きな人は自分のことが好きじゃなくて、別の誰かが好きっていう。
屋敷 (『ハチクロ』は)そういう話なん?
霜田 そういう話、そういう話!
松居 それが『恋と罰』においては、他の人が見たら「いやそれはおかしいでしょ」っていう否定をするのが罰というか。周りの人はダメっていうんだけども自分はいいと思うみたいな。まあ、『ハチクロ』だったら全員綺麗だけど。
霜田 キ○ガイ版、『ハチミツとクローバー』!
松居 カッコイイ、カワイイとかじゃなくて、年齢も性別もあえて変えるようにしてて。
阿部 世代も属性も変えて。
霜田 最初、(『恋と罰』と『ハチクロ』は)塗料繋がりかと思っちゃった。
屋敷 たしかに。俺もそれちょっと思った。
松居 あー、塗料を結構使う漫画だから。こういうのがちょっといいなと思った人は試してほしいですけど、塗料。
霜田 そっち? 片思いの連鎖じゃなくて(笑)。
屋敷 でもさ、アホみたいな質問やけどさ。読んでて普通にうまいこといってほしくなんねん。単純に。
松居 うんうん。
屋敷 でもいかへんかったりするやん。それはどうなん? 作ってて。
松居 でも最後、いくじゃん。
屋敷 あー。
霜田 あれをいくと捉えるのか、いかんと捉えるのかですよ。僕はいくと捉えましたけども。
松居 どうだった? 読んでみて。終わった感じは?
霜田 終わった感じはね……、え、これどこまで言っていいの?
屋敷 最後、全員死ぬやんな! 全員の首だけ落とされて並ぶラストカットで(笑)。
一同 笑
塾講師が子供を好きになるというリアル
屋敷 (最終的に)うまいこといってんの? 大悟的には。
松居 人を好きになる感情がバーッと高まっていったらさ、振り向いて欲しくて相手の好みに合わせたりするのはわかるじゃん。でもそうじゃなくて自分の中の相手像がすごいでっかくなりすぎて、それを相手になすりつけようとする。で、相手を自分色に染めたくなるみたいな。
屋敷 あー、なんで私の好きな、お前像じゃないねんみたいな。
松居 そうそう。好きなアーティスト聴いて欲しいし、この服着て欲しいし、こうやってくことの究極ってなんだろうって思った時、子供だなって。
屋敷 へぇー!
松居 子供って無色透明じゃないですか。
霜田 いや〜、わかるわ〜。
阿部 すごい共感してますね、霜田さん。
霜田 僕、塾講師やってたんですよ。
松居 お! やってた?
霜田 そう! 小学生相手の。だからメチャメチャこの設定もリアル。
松居 これね、取材したんですよ!
霜田 やっぱそうなんだ!
松居 大学の頃、演出助手やってくれた女の子が、塾講師やってて、その人がわりとマジで「小学生好きになりそうだわ」って。
霜田 段々、『源氏物語』みたいな気分になってくる。育て上げていくうちに、足りない部分を埋めてあげてっていうね。そこに入っていくのは自分の要素なわけで、好きになっちゃいかけるのよ。
屋敷 でも俺も小学生の塾講師やってたけど、全然そんな風に思わんかったなー。
一同 笑
霜田 ただ僕が変態だっただけなのかもしれない(笑)。
(取材・文 柴田ボイ)
■関連情報
○恋と罰 (上・下巻)
原作:松居大悟 作画: オオイシヒロト
○なんばグランド花月ニューヨーク単独ライブ『NEW YORK GRAND KAGEZ』
日時: 2017年8月21日(月)19:30開演
場所: なんばグランド花月
出演者: ニューヨーク
料金: 全席指定
1F席 前売2200円 当日2500円
2F席 前売2000円 当日2300円
チケット情報: なんばグランド花月 <http://yoshimoto.funity.jp/>
先行:3/25(土)11:00-3/27(月)11:00
一般発売:4月1日(土)10:00
・5歳以上または身長110cm以上の方はお席が必要となります。(膝上でのお子様の観劇は1名様のみ可能です。)
◆チケットよしもと
【Yコード:999-010】 0570-550-100
24時間受付/年中無休(お問合わせは10:00〜19:00)
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