百人一首は、優れた和歌を選んで作った秀歌選。
琶湖ホテルの「バー ベルラーゴ」では、そんな文学的にも価値ある百人一首を題材に、カクテルを提供しています。
2018年9月で1周年となることを記念し、10月1日~12月31日までの期間、『「百人一首カクテル」~女性歌人の夜長~』を提供するんだそう。
百人一首のカクテル、一体どのようなものか気になりますよね。
百人一首カクテルとは
大津京遷都1350年を記念して始まった『百人一首カクテル』は、スタートから1年。若い女性を中心に人気を集めており、今回は『「百人一首カクテル」~女性歌人の夜長~』という名前の通り、女性歌人を集めたカクテルを提供するそうです。
秋の夜長にふさわしい、女性の切ない感情を詠んだ3首を取り上げ、奥深く幅広い百人一首の世界をカクテルに投影しています。
気になるメニュー
[1]久しき夜
「嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る」
【歌番号53 右大将道綱母】
右大将道綱母(藤原道綱母)が、浮気性である夫の藤原兼家を待ち続けた歌を表現。深まった暗い夜をイメージするブルーの部分は、すみれとマスカットのリキュールを使用したゼリーで仕上げています。マスカットの実の食感が、ちょうどいいアクセントに。
さらに、下層部のカンパリとグレープフルーツのリキュールで凍らせたシャーベットは時間の経過と共に溶け出し、まるで長い孤独な夜を嘆く複雑な心情を表すよう。グラスの中で織りなされる、3層の色鮮やかなグラデーションが美しい1杯です。
[2]夜半の月
「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」
【歌番号57 紫式部】
紫式部が幼友達と再会し、積もる話もできずに去られてしまった寂しさを、すもものリキュールとブランデーが甘酸っぱく表現しています。ダイナミックに真空調理したりんごのガーニッシュと、桃を使用した白いエスプーマは、雲間にさっと隠れてしまう“夜半の月”。見た目からも“哀愁”と“懐かしさ”が漂います。
[3]夜のはかり
「夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ」
【歌番号62 清少納言】
清少納言と藤原行成との逢瀬について、本当は深夜に帰ったにもかかわらず、“夜明け”に帰ったと嘘をついた藤原氏。その嘘をついた藤原氏に対し、真実は“深夜”に帰ったのでしょう……と皮肉を込めておくった歌。
“夜明け”は、オレンジのモクテル(ノンアルコール)と果肉でイメージし、デザート感覚で食べられるので、お酒が苦手な人にもおすすめ。また、“深夜”をイメージしたすみれのリキュールをベースとしたカクテルは、下部にりんごリキュールと洋ナシのシロップを忍ばせ、少しずつ混ぜていくと夜明けに近づいていく様子が楽しめるといった工夫も!
他にも、過去の人気メニューから復刻して登場するカクテルも見逃せません。
花の憂い
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
【歌番号9 小野小町】
ハーブティーをベースに、エルダーフラワーのシロップで甘みを加えたノンアルコールカクテルです。絶世の美女と言われた小野小町の美しさを、グラスに浮かぶ色彩豊かな花々で表し、ふいに感じた時の移ろいと共に美貌への自信を思い出させます。
百人一首は平安時代のもの。でも、現代の私たちが共感できる部分も多くありますよね。どの時代も女性は同じことを感じているのかと考えさせられます。
細部にまで歌の世界観を表現しているカクテルで、ロマンチックな気分を味わうのも楽しそうですね!
(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)