ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

第45回 10月クール連ドラ中間決算

さて、今回は恒例の連ドラ中間決算です。
皆さん、10月クールの連ドラ、見てますか?

まず、最初に申し上げたいのは、今クールの連ドラ、ひょっとしたら今年最高に面白いクールかもしれないってこと。
なんたって脚本家がいい。代表的なところで、井上由美子、橋部敦子、野木亜紀子、大石静――そう、特に女性脚本家がいいんです。それも、珍しくオリジナル作品が並んでおり、いずれもクオリティが高い。ここまでオリジナルが揃うのは近年では珍しい。

そう、実力ある脚本家が、その実力をいかんなく発揮できる――それはとりもなおさず、制作環境が恵まれていることを意味します。脚本家の書きたいテーマと、プロデューサーの書いてもらいたいテーマと、演出陣の撮りたい方向性と、何より俳優たちのモチベーションが合致した結果が、優れた作品を生むんです。

必ずしも高視聴率=面白いドラマにあらず

さらに言えば、今クールに関しては、視聴率はそれほど当てにならないかもしれないってこと――。視聴率自体は否定しないけど、昨今、必ずしもそれが面白いドラマに直結するとは限らない。
先ごろ、日テレの58カ月連続「月間視聴率三冠王」記録をテレ朝が止めたことが話題になったけど、現在の視聴率を構成するサンプルのおよそ半数は、50代以上。つまり――それはテレ朝の編成方針が高齢者に向いていることを意味します。お茶の間の高齢化の波が、いよいよ視聴率戦争をも左右し始めたとも。

そんな次第で視聴率はさておき、今回は純粋に面白いドラマはどれか――その視点から話を進めたいと思います。

テレ東の本気『ハラスメントゲーム』

今クール――概ね前半戦を終えた時点で最も面白いドラマは、テレ東の『ハラスメントゲーム』である。正直、開始前はこれほど面白いとは予想していなかった。今クールの大穴と言っていい。

ご存知、今年4月から新設された連ドラ枠「ドラマBiz」の3作目である。同枠はテレ東らしく、お仕事系のドラマを扱うのが特徴。1作目が、江口洋介主演の『ヘッドハンター』で、2作目が仲村トオル主演の『ラストチャンス 再生請負人』。平均視聴率は、それぞれ3.5%と4.8%――。
で、今作が今のところ平均5.2%(3話まで)。クールを重ねる毎に数字が上昇しているのは、とりもなおさず枠の知名度と、視聴習慣が徐々に根付いている証しである。

全盛期のフジの連ドラのレベル

でも、それだけじゃない。今作は、過去2作と比べて格段に面白いのだ。そこには、テレ東の“本気”が見える。主演・唐沢寿明、脚本・井上由美子、演出・西浦正記――ぶっちゃけ、この座組は全盛期のフジテレビが作る連ドラのレベルである。
お仕事ドラマの枠だけど、そういう縛りを飛び越えて、普遍的に面白いドラマに仕上がっている――『ハラスメントゲーム』が過去2作と違うのは、そこなんです。

唐沢史上最高のハマり役

同ドラマ、何はともあれ、唐沢寿明サンが抜群にいい。これまで彼が演じた数々の役の中で、最高のハマり役と言っていいくらいだ。
唐沢サンと言えば、過去に『美味しんぼ』の山岡士郎や、『白い巨塔』の財前五郎などのハマり役があるが、その種のキャラクターに共通する魅力は、みなぎる自信と適度な遊び心である。そういう役をやらせると、唐沢サンは抜群にうまい。

ところが近年、今ひとつハマり役と出会えない作品が続いた。ドラマの番宣ではあんなに面白い人なのに、役になると変にマジメすぎたり、逆に遊びすぎたり――。

大胆で型破り。遊び心も忘れない

それが、この『ハラスメントゲーム』で演じる秋津室長は、唐沢寿明史上最高のハマり役と言っていい。かつての敏腕社員がある事情で地方のスーパーに左遷されていたところ、社長の特命でコンプライアンス室長として本社に復帰するところから物語は始まる。

とはいえ秋津室長、ハラスメントの知識に疎いし、ふざけたことばかり言うし、およそ有能な人物には見えない。広瀬アリス演ずる部下からも呆れられる始末。だが――やる時はやる。その仕事の進め方は大胆で型破り、そして人間臭い。それでいて、ひょうひょうと立ち回る遊び心も忘れない。
そう、これぞ“唐沢スタイル”である。

珠玉の脚本と演出

そして、そんな唐沢サンを絶妙にアシストするのが、井上由美子サンの脚本と、西浦正記サンの演出である。

井上サンと言えば、何を置いても、唐沢サンと組んだ『白い巨塔』(フジテレビ系)が思い出される。外科医としての腕は超一流だが、目的のためには手段を選ばないアンチヒーロー財前五郎を唐沢寿明に当て書きし、原作者の山崎豊子を唸らせた彼女。今回も、その筆力はいかんなく発揮される。唐沢サンに何を演じさせたら彼が生きるか――それを最も理解している脚本家である。

さらに特筆すべきは、今作は井上サンのオリジナルであること。元々、『きらきらひかる』や『タブロイド』など、ストーリーテリングには定評のある彼女。今作は、旬の“ハラスメント”をテーマに扱うという極めて高いハードルながら、皆がなんとなく抱いている違和感に正論で切り込み、毎回、大岡裁きのように丸く収める。その構成力は見事である。

そして、演出チーフは、あの『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ(フジテレビ系)の西浦正記サンだ。彼はFCCというフジの子会社に所属しており、まさにフジのDNAが入った人。ちなみに、彼が監督した『劇場版コード・ブルー』は興行収入90億円を超え、今年の邦画第一位。そんな一流の演出家が、名人・井上由美子の脚本で、大スター唐沢寿明を撮る――これが面白くないワケがない。

『僕らは奇跡でできている』は「僕シリーズ」の再来?

次に紹介したいドラマは、フジの火曜9時の『僕らは奇跡でできている』である。

同枠はカンテレの制作枠で、時に視聴率に捉われないアグレッシブな作品も並ぶので、同ドラマも開始前は視聴率の面からも、さほど注目されていなかった。ところが――これが、かなり面白いのだ。主演・高橋一生、脚本・橋部敦子、演出・河野圭太の座組は、考えてみれば実力派揃いである。視聴率は7%前後ともう一つながら、内容面では『ハラスメントゲーム』と同様、大穴ドラマと言っていいだろう。

物語は、高橋一生演ずる“動物行動学”の大学講師・相河一輝を中心に進む。ドラマの中では敢えて語られないが、恐らく彼には軽度の発達障害がある。ひとたび自分の興味ある分野に没頭したら、もう周りが見えなくなる。それは、かつて草彅剛に自閉症の役を演じさせた橋部敦子サン脚本のドラマ『僕の歩く道』を彷彿させる。今作も彼女のオリジナル脚本なので、橋部ワールド全開である。

高橋一生の見事なハマり役

『僕らは奇跡でできている』の魅力は、これも『ハラスメントゲーム』同様、主演を務める高橋一生のハマり役に尽きると言っていいだろう。

彼の演じる相河一輝は、ナチュラルすぎる振る舞いで、当初は周囲の人々の誤解を招くが――やがてカードを一枚一枚裏返すように、気がつけば皆、彼の存在に癒されており、その言動が気になって仕方ない。このキャラクターを自然に、憑依したように演じる高橋一生サンは見事である。

ウサギとカメの新解釈

主人公・一輝の思考は常に動物行動学がベースにある。あらゆる局面で、それは語られる。例えば、1話で榮倉奈々演ずる歯科医の育実と『ウサギとカメ』の話題になった時もそうだった。

 一輝「先生はウサギっぽいですね」
 育実「私? あ、あの……こう見えてウサギじゃないんですよ、私。意外と努力型。器用じゃないけど、コツコツ頑張るタイプで、どっちかって言うと、カメですね」
 一輝「コツコツ頑張るのがカメなんですか」
 育実「ええ……そうですよね?」
 一輝「……物語の解釈は自由ですから」
 育実「相河さんのカメは、どういう解釈なんですか」
 一輝「カメは全然頑張っていません。競争にも勝ち負けにも興味がないんです。カメは、ただ道を前に進むこと自体が楽しいんです」

――という具合。ほら、なんとなく一輝の思考回路の一端が見えたでしょ? 要するに、一輝自身がカメなんです。

演出・河野圭太の名人芸

そして、同ドラマは演出がベテランの河野圭太サンである。ご存知、あの三谷幸喜サンが最も信頼を置く演出家で、近年の三谷ドラマは全て河野サンの手によるものだ。

同ドラマも、そんな河野サンの名人芸が端々に光る。劇伴とカメラワークの妙が堪能できる。特に感心するのが動物のシーンで、ちゃんと脚本が意図したであろうシーンが描かれる。まるで動物に演技をつけたみたいに。

河野サンの演出のポリシーは、演出家は作品に自分の色を付けるものではなく、いかに脚本をリスペクトし、その世界観を表現できるか――にあるという。三谷サンに限らず、多くの脚本家が河野サンに演出を頼みたがるのは、そういう理由である。

完全復活・大石静

続いて取り上げるドラマは、TBS金ドラの『大恋愛~僕を忘れる君と』である。脚本は、ベテラン・大石静サンのオリジナル。演出チーフはクドカン作品でお馴染みの金子文紀サンだ。主演は戸田恵梨香、その恋人役にムロツヨシという異色の取り合わせがどう出るかが、開始前の注目点だった。
正直、恋人がアルツハイマーで記憶を失っていく設定は使い古された感があり、さほど期待されていなかった。『大恋愛』というタイトルも何だか古臭い。

ところが――これもフタを開けてみないと分からない。面白いのだ。往年の大石静サンの会話劇のクオリティが戻ってきた感。そこに、金子Dのハートウォーミングな演出が加わり、メインの2人――戸田恵梨香とムロツヨシが絶妙の掛け合いを見せる。居酒屋で2人が従業員を肴にアテレコするシーンは、最高に笑った。視聴率も初回10.4%を皮切りに、安定して10%前後をキープ。

大石静、完全復活である。

ムロツヨシは和製ジャック・レモンか

元々、戸田恵梨香という女優は演技がうまい。彼女の場合、役に憑依するタイプで、今回は等身大の役だけに、表情の作り方などが抜群にいい。居酒屋のムロツヨシとの掛け合いでは、素で笑っているようにも見えた。なかなか、このレベルの演技ができる30代の女優はいない。

そして――問題のムロツヨシである。同ドラマの最大の番狂わせが、彼の好演である。正直、これまでの彼は、小ネタやアドリブを入れるコミックリリーフという印象が強く、好き嫌いが分かれた。
ところが――今回、彼が演じる間宮真司は、元小説家で今は引っ越しのアルバイトで生計を立てる、冴えない中年。そんな彼が、戸田恵梨香演ずる女医の尚からの予想外のアプローチに、戸惑いながらも軽妙洒脱に応じる姿は、なんだか往年のジャック・レモンを見るようだった。映画『アパートの鍵貸します』で思いを寄せるシャーリー・マクレーンにどこまでも優しい主人公の男のように。そう、凄くいいのだ。

今後、ムロツヨシさんの役の幅が広がるのが、楽しみである。

偶然は一度だけ

同ドラマは、完全復活した大石サンの珠玉の脚本で、今のところ非の打ち所がない。SNSで感想を追っても、おおむね好評である。

中でも、僕が感心したくだりがある。それは、婚約者がいるのにも関わらず尚が真司を誘い(この時点ではほんの遊び心だったと思われる)、2人が打ち解けた後で、真司の正体が自分の好きな小説家と判明するところ。この瞬間、尚は婚約を破棄して真司を選んだのだと思う。「これは運命だ」って――。

ドラマや映画には、“偶然は一度だけ”という暗黙のルールがある。2度3度あると、途端にリアリティが崩れるからである。優れた脚本家は、神様から授かった、このたった一枚の切り札の使いどころがうまい。尚に、真司が小説家と判明するくだりは、まさに絶妙のタイミングだった。恐るべし、大石静――。

切り札は一枚しか切れないから、切り札なのだ。

月9『SUITS/スーツ』は何が問題か

ここから先の話は、あまり楽しくないかもしれない。とはいえ、もう少しお付き合いのほどを。

続いて取り上げる作品は、フジの月9「SUITS/スーツ」である。米人気ドラマのリメイクという鳴り物入りで始まった同ドラマ。だが――初回視聴率こそ14.2%と好発進だったものの、その後はズルズルと後退。4話目でとうとう一桁まで落ち込んだ。

いや、本コラムの趣旨は〔視聴率より内容〕なので、中身が面白ければ問題ないのだけど――むしろ、その中身が問題なのだ。

身も蓋もない言い方で申し訳ないが、この『SUITS/スーツ』――あまり面白くないんですね。
一体、何が問題なのか。

初回視聴率は主演俳優の力

同ドラマ、初回視聴率が良かったのは、オリジナルの米ドラマのファンもさることながら、やはり主演の織田裕二への期待の表れだったと思う。14%という視聴率は、並みの役者が出せる数字じゃない。織田サンの力である。だが――2話目以降の下落を見ると、明らかに内容面に問題があるとしか思えない。

オリジナルの『SUITS/スーツ』は、マンハッタンの超高層ビルに事務所を構える大手法律事務所を舞台に、ハーヴィーとマイクのコンビワークが展開される弁護士ドラマのバディもの。スピーディーな演出と卓越したストーリー、それにエスタブリッシュメントならではのウィットある台詞が肝である。だから面白い。なぜ、それが日本版では伝わらないのか。

正しいリメイクとは

リメイクの基本は、いかにオリジナルの脚本をローカライズするかにかかっている。とはいえ、単に日本風にアレンジすればいい話じゃない。何を面白がらせるかを見極め、時に大胆に改変することも求められる。

日本版は見たところ、いかにオリジナルを違和感なく日本社会に落とし込むかに腐心した形跡がある。それはそれで大変だとは思うが、1つ、大事な視点が見落とされている気がする。――その話が面白いかどうか、である。

例えば、織田裕二演ずる甲斐と秘書の玉井(中村アン)の会話にしても、オリジナルはいい感じにウィットに富んでいるが、それをそのままやったところで、日本では滑るばかりである。

また、所長役の鈴木保奈美にしても、せっかく『東京ラブストーリー』のキャスティングなのだから、甲斐との間にもう少しドラマがあってもいいと思う。オリジナルになくても、それで話が膨らむなら、やらない手はない。

織田裕二をどう演出するか

そして、もう一つ。実は、こちらの問題の方が深刻かもしれないが、織田裕二演ずる甲斐のキャラクターである。僕は基本、ドラマの批評で役者の演技に口出ししないようにしているが、今回は演出の観点から、例外的に述べさせてもらう。甲斐のキャラは――あれで正解なのだろうか。

以前、織田裕二がTBSでやった探偵ドラマ『IQ246~華麗なる事件簿~』の際は、エルキュール・ポアロなみに作り込んだ芝居をしていたが、今回はあそこまでじゃないにしても、若干、同じ匂いを感じる。ちなみに、オリジナルのハーヴィーは、もう少しナチュラルに演じている。ぶっちゃけ、もう少し肩の力を抜いた、織田サンの自然体の演技の方がよくないだろうか。

この手の問題、本来なら演出家の仕事だろうが、織田裕二クラスになると、なかなか言いにくいかもしれない。それでも、言わねばならない時がある。

その点、相方の中島裕翔は悪くない。彼はジャニーズにしては珍しく“スーツ”の似合う男であり、このキャスティングは正解だったと思う。

よもやの『けもなれ』の苦戦

いよいよ、今回メインで取り上げる最後のドラマである。

いきなりネガティブな見出しで申し訳ないが、スタート前は今クール一の話題作だった『獣になれない私たち』(日テレ系)が、よもやの苦戦を強いられている。初回こそ二桁視聴率だったものの、その後は一桁へ。4話目はプロ野球の日本シリーズの影響で75分遅れのスタートとなる不運も重なり、なんと6%台に落ち込んだ。

一体、なんでこんなことになったのか。

脚本・野木亜紀子のアシスト

フォローするワケではないが、僕は今回、野木亜紀子サンの脚本は割と面白いと思う。可愛いガッキーを期待していた人たちには若干不満かもしれないが、リアルガッキーはそれはそれで、異なる魅力がある。

ぶっちゃけ、役者の習性として、ガス抜きとまでは言わないけど、たまにハマり役とは異なるドラマを演じたくなるんですね。
そして(ココ大事→)、そんな役者のワガママをアシストできる脚本家は、役者の魅力を熟知した人物に限られ――ガッキーの場合、過去に3度組んだ野木亜紀子サンしかいなかったんです。

そう、『けもなれ』のガッキーは、いわば確信犯。一見、デキる女に見られるけど、職場で仕事を押し付けられ、彼氏との仲も色々あって、心が折れそうになる。見ていてツライが、ちゃんと個々のエピソードにリアリティがあるので、感情移入できる。そんなに悪いホンじゃない。

では――誰が悪いのか。

演出と脚本のたすきの掛け違い

ずばり、僕は演出陣に問題があると思う。特に演出チーフの水田伸生サンだ。
元々、彼はエンタメ色の強いドラマを撮るのに定評があった方なんだけど、近年は坂元裕二サンが日テレで書かれる一連の作品(『Mother』、『Woman』など)を手掛けるようになり、その技法に変化が見られるようになった。おっと、それ自体は悪くない。大事なのはここから。

もしかしたら――今回、水田サンは坂元裕二作品と同じ感覚で演出したのではないだろうか。ざらつきのある絵で、会話のディテールを淡々と掘る――みたいな。
だが、2人の脚本家はまるで作風が異なる。坂元サンはいわば“雰囲気ドラマ”の人で、一方、野木サンは“伏線と回収”に命をかけるエンターテインメントの人。そして何より見落としてはいけないのは――この『けもなれ』はコメディなのだ。

はっきり言おう。水田演出と野木脚本――そのたすきの掛け違いが、同ドラマの視聴率とお茶の間の違和感に結び付いているのではないだろうか。あの会社の一連のくだりが、もっと軽いコメディとして描かれていたら、どれだけ救われたか――。

その他の短評

最後に、その他のドラマをいくつか評して、このコラムを終えたいと思う。

予想に反して面白いのは、福田雄一演出・脚本の『今日から俺は!!』(日テレ系)ですね。いつもの福田流のサブカル・ドラマと思いきや、意外にも作り込んである。『男の勲章』のオープニングから80年代ドラマ臭が全開だし、話の展開もベタで分かりやすい。役者の演技も、主演・賀来賢人を筆頭に、いい感じに弾けている。相方の伊藤健太郎のキャラも美味しいし(多分、彼は人気が出ますね)、ヒロイン清野菜名のアクションも映える。個人的には吉田鋼太郎サン演ずるお父さんのボケがツボ(笑)。要はサブカルじゃなく、エンターテインメントに仕上がってる。

『中学聖日記』(TBS系)は、絵作りだけはうまい。そこは、『夜行観覧車』や『リバース』でお馴染みの天才演出家・塚原あゆ子ならでは。一種、おとぎ話のような世界観は、彼女独特のものだ。ただ、脚本が今ひとつ。この手のドラマの肝は、倫理上はNGでも、それでも愛さずにはいられない人間の弱さ・悲しさなのに、それが伝わらない。かつて『高校教師』や『魔女の条件』に僕らが感情移入できたのは、そこが描けていたからなんです。

『下町ロケット』(TBS系)は、演出チーフの福澤克雄サンの描く世界観や、主演の阿部寛サンの熱量は伝わるけど――いかんせん、こちらも脚本が今ひとつ。1stシーズン(2015年版)の八津弘幸サンから丑尾健太郎サンに変わって、ちょっと話が分かりにくくなった。やたら登場人物ばかり多くて、話がとっ散らかってる印象。

最後に『黄昏流星群』(フジテレビ系)――もう、喜劇ですね。いい大人たちが何をやっているのかと(笑)。

――以上、勝手なことを色々と申し上げてきましたが、これだけは言わせてください。本来、ドラマの面白さは、見る人ひとりひとりが決めるんです。他人が何と言おうと、自分なりの「面白い視点」を持っていれば、それでいいんです。

では引き続き、10月クールの連ドラをお楽しみください。もしかしたら後半、あのドラマが突然、面白くなるかもしれません(笑)。
そう――諦めたら、負け。

(文:指南役 イラスト:高田真弓)

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