幼いころから身近にスマートフォンがある、今どきの中高生たち。彼らは、単なる連絡手段としてだけではなく、生活のあらゆる場面で活用しています。
そんなスマホが、中高生の「恋愛事情」にも大きな影響を与えていることが、電気通信事業者協会の調査で明らかになりました。
親の知らない中高生のリアルな恋愛事情
スマートフォンを所有する13~18歳の中高生を対象に、「スマホ」と「恋愛」の関係について質問したところ、「恋愛をするうえで、スマホは必要不可欠なアイテムだと思う」と回答した学生は、実に約8割にのぼることが判明。
具体的に、「恋愛においてスマホはどのような点で役に立つ/または必要になると思いますか?」と聞くと、「交際相手との仲を深める」、「恋愛対象の相手と仲良くなる」に続いて、「恋愛対象になる相手と新しく出会う」と約4人に1人が回答しました。
スマホは出会いのツールに?
そこで、あらためて「スマホを使って異性と出会うことは“アリ”だと思いますか?」と聞いたところ、「アリ/方法によってはアリ」と答えた人の合計は7割以上という結果に。
この結果から、今の中高生たちはスマホを通じた出会いに大きな抵抗がないことが分かりますね。恋愛に対する価値観は、親世代が学生時代を過ごしていた頃とは、大きく変化しているようです。
具体的にはSNSを通じて異性と知り合うケースが多いようで、「スマホを使って、SNSで知らない異性とコミュニケーションをした経験がある」中高生は6割にのぼりました。
「出会い系サイト・アプリ」に中高生も興味あり?
また、近年出会いのツールとして一般化してきている、「出会い系サイト・アプリ」が中高生に与えている影響についても明らかになりました。
「出会い系サイト・アプリがどのようなサービスなのか興味がありますか?」という質問では、約4人に1人が「ある」と回答しているほか、「実際に出会い系サイトやアプリを閲覧してみたことがある」中高生も約7人に1人にのぼることが判明しています。
現在、法律により、18歳未満の出会い系サービスへの登録は固く禁じられていますが、登録まではいかないものの、興味本位でサイトやアプリを覗いてしまう中高生は少なくないようです。
このような実情を、子どもは、なかなか親には話してはくれません。
「実際に出会い系サイトやアプリを閲覧してみたことがある」と回答した中高生に、「閲覧したことを誰かに話しましたか?」と質問したところ、「親」と回答した中高生はたったの4%にとどまりました。
近年目立つ「出会い系被害」
SNSやアプリを介することで、コミュニティが広がる一方、トラブルが起こっているのも事実。
近年特に目立っているのが、SNSを通じた「出会い系被害」です。特に、中高生はSNS上に自撮り写真や個人情報などを多く公開しているため、狙われやすい状態にあります。また、ネット上での出会いに抵抗がない傾向があるのも危険な点。
実際に、SNSを通じて事件に巻き込まれた18歳未満の子どもの数は、2018年までの5年連続で増加(※)しているそうです。
※警察庁調べ(2018年発表)
我が子を守るために親がやるべきコト
外からはなかなか把握しづらいこの問題を、親はどのように向き合い、対処していくべきなのでしょうか?
子どものSNS・スマホの利用実態に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんからは、以下のようなアドバイスがありました。
「フィルタリングサービス」の活用
最低限やっておきたいのが、子どもに適さない有害サイトやアプリを自動的にブロックする「フィルタリングサービス」です。現在、携帯電話会社各社が「フィルタリングサービス」を提供しており、出会い系サイトなどへのアクセスを防ぐことができます。
またiPhoneの場合は、ペアレンタルコントロールでSNSの利用を制限したり、アプリごとの利用制限をしたりすることもできます。
なお、18歳未満には「フィルタリングサービス」の設定が義務付けられていますので、必ず利用するようにしてください。
まず大事なのは家族でのルール決め
しかし、SNSはゲーム機や契約が切れた中古のスマホなどからも利用は可能です。隠れて利用すると、被害にあったときに保護者に相談できず、被害がさらに甚大になる可能性もあります。SNSについては、フィルタリングによる制限という方法もありますが、まずは親子でのルール決めが大切です。
親だから言えるアドバイスも
子どもにスマホを持たせる際には、親から「ネット上では年齢や性別などを偽れること」、「出会い系被害が多数起きていること」は必ず話しておきましょう。
その上で、「ネット上で知り合った人とは会わないこと」を約束しておくとよいでしょう。また最近、児童・生徒が騙されて自ら撮影した裸の画像を送付させられる『自画撮り被害』が問題となっています。これを防ぐためにも「裸の写真は信頼している人にも絶対に送らないこと」をあらためて注意しておきましょう。そして、いざというときには「親自身が必ず味方になること」をあわせて伝え、普段から何かあったときには子どもが相談しやすい関係性を築いておくことが大切だと思います。
広がる様々な取り組み
高橋さんのお話にもあった通り、親世代が子どもたちのスマホ利用について把握したうえで、トラブルを防ぐための手立てを示してあげることが大切ですね。
また、一般社団法人「電気通信事業者協会」が中心となって、家庭でのルール作り推進や、フィルタリングの普及などの啓発活動を行うなど、親だけでなく社会が責任を持って子どもたちの安全を守る取り組みも近年広がりをみせています。
さらに、協会に所属する各通信会社が、「フィルタリングサービス」の無償提供をしており、安心して携帯電話を利用できるサービスの普及促進も行っているそうです。
子どものインターネット利用には危険がつきもの。大量にあふれる出会い系サイトなどに関する情報は、ブロックすることでトラブル回避の一助となります。
今回の調査結果を参考に、子どものスマホ事情について理解を深めつつ、必要な対策についてあらためて親子で考えてみてはいかがでしょうか?
(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)