いよいよ本格的なビジネス活用が進むAI(人工知能)。その流れはマーケティングの業界にも押し寄せています。
そこで、今後AI活用へと繋がっていくであろう、データ活用で成功した事例を振り返るとともに、マーケターの未来について考えてみましょう。
米国で進むマーケティング×データ活用事例
すべての工程でデータ活用できるD2C
まず、データ活用で成功した例として頻繁にあがるのが、自分たちで生産し、自社ECサイトで直販するD2Cモデルを採用したアメリカの小売メーカー。
いまや企業価値が17億ドルを超えるユニコーン企業となった『ワービーパーカー』が代表格として知られています。
効率よくユーザーデータを集めることができ、自社完結なので全ての工程にそのデータを活用することが容易なのです。
データネイティブな強みを活かし、店舗展開
さらにECサイトに止まらず、そこで培ったデータと知見を用いて店舗展開するのも、昨今のビジネストレンドのひとつ。
D2Cで成功したデータネイティブな会社は、店舗で直接コミュニケーションをとることでユーザーとのエンゲージメントを高めつつ、オンラインで集められないデータを上手く集め、需要予測や在庫管理、商品開発をしているのです。まさにデータを上手く活用した小売戦略であり、今後AI活用もどんどん進んでいくでしょう。
参考:日経クロストレンド「パロアルトインサイト AIの次を読む」
マーケターの人材採用にも変化が
もうひとつ、マーケティングの現場がデジタル化の煽りを受け、どう変わったか。大きな流れでは、ECサイトの隆盛により、もともと非マーケティング部門で行われていた“販売”という業務を、マーケティングが取り込んだということです。
プロマーケターの富永朋信氏は自身のコラムで、「消費財などの安価な商材は、不動産や車といった高額商品に比べ販売スキルの必要性が相対的に低く、販売プロセスの可視化やアルゴリズム化が容易である」と書いています。その結果、売り上げに応じた、即効性のある施策が非常に機敏に打てるメリットが生まれているというのです。
「こうなってくると、オンライン販売を担当するマーケターに求められるのは数値責任へのコミットやフットワーク、スピードといったスキルセット。これは従来のマーケターに求められていた人材像とは明らかに異なる」とも述べています。つまり、デジタルにおけるマーケターのポジション採用が変化してきているというのです。
参考:日経クロストレンド『富永朋信「デジタル×マーケティングのウソ」』
今後マーケターはAIにとって代わられるのか?
このように、デジタル化やAIの発達によって淘汰されていく職があるのは事実。だからといって、今すぐAIがすべてのマーケターの代わりをできるわけではありません。今後どうなっていくかというのは、誰にも予測できない話。
様々な意見が各所で交わされていますので、積極的に情報収集したり、トークイベントなどに参加したりして、ご自身の考えをまとめていくのがいいでしょう。
関連イベント紹介
6月21日(金)、『日経クロストレンド』 の会員限定の無料交流イベントで 「AIはマーケターの仕事をどこまでできるか」が開催されます。
日本を代表するプロマーケターである富永朋信氏(イトーヨーカ堂 執行役員 営業本部副本部長兼販売促進室長)が、シリコンバレーを拠点に日本企業のAI(人工知能)活用を支援する石角友愛氏(パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー)と意見交換。「AI時代だからこそマーケターに必要なこと、マーケターが今本当にやるべきこと」を明らかにします。
日経クロストレンドとは
イベントを主催する『日経クロストレンド』は、「新市場を創る人のデジタル戦略メディア」をコンセプトとして2018年4月に創刊された有料会員制のデジタルメディア。「デジタルで変わる企業と消費者の関係」を徹底的に深掘りした記事・動画・セミナーを発信し、企業・個人のマーケティング&イノベーション活動を支援しています。
会員限定の無料交流イベント「日経クロストレンド・ミートアップ」を定期的に開催しており、マーケティングや商品開発に関わる実務担当者にとって、チェックすべきメディアのひとつです。
【開催概要】
「AIはマーケターの仕事をどこまでできるか」トークイベント
・日時:2019年6月21日(金) 午後6時30分~午後8時(開場 午後6時)
・会場:大手町ファイナンシャルシティ グランキューブ3F グローバルビジネスハブ東京(東京・大手町)
・受講料:無料(事前申込制、日経ID登録が必要です)
※満席になり次第、申込受付は締め切りとなります。
人間が得意で高めていくべき領域とは
AIが得意なものと、人間が得意なもの。これについては様々な意見があれども、“明らかに違いがある”というのが大方の意見です。
例えば自動運転のリーディングカンパニーである『テスラ』では、今後「脇見をしながら歩く歩行者に注意するといった細かさを持ったAI」の実現を目指すと発表しています。つまりそういった人間との駆け引きや、想像力を働かせた状況判断は、まだまだ未熟ということ。
ここに、今後のマーケターが生き残っていく、ひとつのヒントがあるかもしれませんね。
(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)