役に立つようで全く立たないエンタメ情報をお届けしている本連載をお読みの皆さん、こんにちは。
突然ですが、皆さんにとって正義とは一体何でしょうか?
「勝てば官軍、負ければ賊軍」ということわざがあるように、正義とは常に時代や状況によって移り変わってゆくもの。
アニメや漫画の中で正義のヒーローと名乗るあの主人公も、突き詰めてしまえば真の正義と呼べるかどうかはわかりません。
場合によっては、正義のヒーローの方が実は悪であったり、悪のボスこそが正義であったりすることも珍しくはなく、ヒーローものの作品を観ながら「これは本当に悪なのか…?」と疑問に思ったことがある方もきっと少なくないはずです。
移り変わりゆく人の世で、果たして何が悪であり、何が正義と呼べるのか?
今回は、ヒーロー作品を対象として、そんな正義と悪の真実に切り込んでいきたいと思います。
<調査対象>
今回は、20-49歳の男女110名を対象に「ヒーローもの作品の悪役についてどう思うか」をアンケートにて調査しました。
どう思うかの質問は2つ、「違和感があるか」「親切だと思うか」の2種類です。そして、調査対象としたのはヒーローものによくある悪役の行動4パターン。
では、順にひとつひとつ見ていきましょう。
事前にヒーローに対して犯罪の場所や時間の予告や連絡をしてくれる悪役は実は親切なのではないか?
まずは「事前にヒーローに対して犯罪の場所や時間の予告や連絡をしてくれる悪役」について見ていきましょう。
映画や漫画で、ヒーローものの作品を見ていると、必ずといっていいほど出てくるのが「犯行予告をしてくれる悪役」です。
予告内容も多岐に渡り、やたら画質の悪い動画を送り付けてくるスタンダードなタイプから、オリジナルの暗号を送りつけてくるマメなタイプ、逮捕に繋がるようなヒントを最初から提示してくれる良心的なタイプなど、あらゆるタイプが存在します。
しかし、すべてに共通して言えることは「最初から予告してくれなくてもいいのでは?」という疑問。
ではそんな犯行予告型の悪役について、一般市民たちの素朴な感想を見てみましょう。
違和感があると感じたのはおよそ4割。親切だと思っているのは93%と圧倒的多数を占めました。
犯行予告とは、本来市民を恐怖に陥れて混乱を招いたり、自分に注目を集めたりするためのもの。しかしながら、一般市民としても「あらかじめ言ってくれるのはそれなりに親切では?」という思いがあるのか、悪役の真意とは裏腹に高い支持率を誇る結果に。
やはり、たとえ悪役といえども、報連相(報告・連絡・相談)を怠らない実直な姿勢は、老若男女に好印象を持たれやすいと言えそうです。
ヒーローと話し「どうだ、俺の仲間にならないか?」などと尋ねてくる悪役は実は親切なのではないか?
では次に、こちらもヒーローものの典型的パターンである「ヒーローと話して『どうだ、俺の仲間にならないか?』などと尋ねてくる悪役」について見ていきましょう。
窮地に追いやられた主人公。命乞いをすれば見逃してやるという悪役に対し「そんなことするわけないだろう!」と啖呵を切ると、悪役はニヤリと笑って「威勢がいいな。殺すには惜しい…」と言い始める…
ヒーローものの作品では飽きるまで見たことがある上記のパターンですが、往々にして悪役とは主人公の死を惜しんでくれるもの。
場合によっては自らの陣営へのスカウトをかけてくることもあり、頑なに悪役を倒そうとする主人公と比べて、懐の深さを実感することもしばしばです。
では、こういった「妙にフランクに味方に誘ってくる悪役」について、一般市民はどう考えているのでしょうか?
違和感があるのは29%。親切だと感じるのは84%と、先ほどの「犯行予告型の悪役」よりはやや支持率の落ちる結果となりました。
この「自分を倒そうとしている人物の才能を認め、自分の味方にスカウトする」という柔軟な姿勢はもっと評価されても良いと思うのですが、「シンプルに合理的なだけ」という見方が強いのか、一般市民からの支持率はあまり高くない結果に。
ただ、こういった悪役はおそらく上司としては非常に優秀な可能性が高いので、ぜひ主人公に倒されることなくひたむきに組織運営に力を注いで欲しいと個人的には思います。
ヒーローが他の人に襲われていたときに「俺の獲物だ」など言いながら止めに入ったりかばったりする悪役は実は親切なのではないか?
では、次に「ヒーローが他の人に襲われていたときに『俺の獲物だ』など言いながら止めに入ったりかばったりする悪役」について見ていきましょう。
最悪の敵に囲まれてしまった絶体絶命のヒーロー。味方はすでに倒れ、もはやこれまでと思ったとき、「おやおや、ここでやられるようでは私もガッカリです」と笑いながら現れる因縁の敵 ”ライバル”……
こちらもヒーローもの作品のテンプレートと呼べるおなじみの光景のひとつですが、これについては事実上、悪役の方がヒーローになっているシーンとも言え、こういったシーンをきっかけに人気が出る悪役キャラも珍しくはありません。
では、この「ほとんどヒーロー状態の悪役」の行動について、一般市民の感想を見てみましょう。
違和感があると回答したのは「犯行予告型の悪役」とほぼ同じ35%。そして親切だと感じたのは84%と、高くもなく低くもない支持率の結果となりました。
敵が攻めてきたときに、止めに入ってくれたりかばってくれたりする行為は明らかに親切(およびツンデレ)の部類に入るかと思うのですが、そこはやはり悪役だからなのか一般市民の目は厳しく、多少デレた程度では90%の支持率は得られないのがこの世の現実だと言えそうです。
ヒーローの着替えを最後まで待ってくれる悪役は実は親切なのではないか?
それでは最後に「ヒーローの着替えを最後まで待ってくれる悪役」について見てみましょう。
ヒーローもの(と戦隊もの)に欠かせないと言っても過言ではない変身シーン。場合によっては悪役を倒すときよりもヒーローが輝くシーンであり、子ども心を最もくすぐる名シーンとしてもお馴染みです。
しかし、この変身シーンを一度でも見たことがある方なら、きっとこういう疑問が出てくるでしょう。そう、変身してる間、敵は一体何をしてるの?問題です。
というわけで、こちらの「お着替えタイムを待っていてくれる悪役」についての一般人の回答を見てみましょう。
違和感があると答えたのは、ついに過半数超えの67%。そして親切だと感じている割合も、最も高い95%となりました。
確かに、悪役と戦うような「ここぞ」という時はヒーローといえどやはりTPOに沿った服装に着替えたいものだと思いますが、悪役であれば普通は今すぐにでも攻め入りたいもの。それをグッと我慢して、着替えを待ってくれるという行為は、国際標準のスポーツマンシップにのっとったフェアプレイと言えるでしょう。
正義か悪か。正義とは何か。いつの時代にも問われてきたこの深遠な問いは、やはり簡単にひも解くのは難しいものでした。しかし、断言できるのは人の着替えを最後まで待てるのは正義であるという真実。ぜひ、善良な一般市民である皆さまの日常生活でもこの教訓を生かしてもらえればと思います。
(文:まいしろ)