ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

佐野ひなこ “女性誌の私”と“オタクの私”

2013年にグラビアデビュー、その後も女性誌のモデルや女優業など縦横無尽に活躍を続ける佐野ひなこさんが、“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”に初登場。
“女性誌モデルの佐野ひなこ”をイメージしていたチェリーだったが……「私、心の中に中2の趣味が……」と切り出してくれた佐野さん。さらに友人のモデル・愛甲千笑美さんと読書会や映画会をするという文化系な日々や、共通の趣味から恋愛に発展する可能性、“キュン”の定義など……恋のお話もたっぷりと伺った。
最新映画出演作『魔法少年☆ワイルドバージン』では童貞の主人公が恋するヒロインを演じた佐野さんだが、我々オトナ童貞のヒロインでもあった……!

「私、おっさんなんです」

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――どうも、永遠のオトナ童貞のための文化系マガジンという、青春をひきずっている大人のためのWEBメディアです。

佐野「私、おじさんなのに心は少年というような友達が多いんです。おそらく私自身がおっさんだから一緒にいて居心地がいいんだと思います(笑)。中2のような趣味も、おっさんのような趣味も両方持ってます」

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――わ、いきなりチェリーに寄ってきて頂いて嬉しいです!最近の佐野さんは女性誌のイメージも強かったので……。

佐野「もちろん女のコが好きなものも好きだし、女性誌では美容の話をすることも多いんですけど、男っぽい趣味も多いんです。趣味で人とつながるので、趣味が共通していると、男性だらけのところに私が女性ひとり……なんてこともありますね」

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――例えばどんな趣味でしょうか?

佐野「麻雀が好きなので、このあいだ番組でプロの雀士の方と共演したときは、自分から楽屋まで行って“逆ナン”しちゃいました。『よかったら今度一緒に麻雀してください』って」

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――ではプライベートではそういう何かを極めた方だったり、趣味が共通してる方と一緒にいることも多いんですか?

佐野「はい、クイズ作家の方とのクイズ大会とか、人狼ゲームの舞台に出演してた方との人狼ゲームとか。大人の遊びは全部本気なんです(笑)。芸能界は特化型の人が多い気がします。そういう人たちと会えたのは、この業界に入ってよかったなと思うことのひとつです」

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――そんなハイレベルな人たちと渡り合ってるんですね。

佐野「何か一つ突出している武器を持っているかたって尊敬できますよね。私の周りには独身を楽しんでいるような大人の人が多いので、会話のレベルも高くて。私の知らないことをいっぱい教えてくれるから、一緒にいて楽しいし、刺激になります」

“好きになってしまっても友達”が理想

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――趣味きっかけの仲間とはいえ、男性たちは、佐野ひなこさんに“逆ナン”されたりしたら、その気になってしまってめんどくさい……なんてことはないですか?

佐野「正直、下心を持って接してくる男性はすぐ見抜けます(笑)。でも、趣味を共有したいだけの純粋なオタク友達たちは私のことも男扱いしてくれるんです。麻雀友達は私のことをなぜか『ジャイアン』っていうあだ名で呼びますし(笑)。私は負けず嫌いで勝負には本気でのぞむので、よく『かわいげがない』って言われますね……」

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――オタク仲間の男性たちは佐野さんのことを同性扱いなんですね……。ただ『かわいい』と言われ慣れているであろう佐野さんは逆に『かわいげがない』って言われると好きになっちゃうなんてことはありませんか?

佐野「いやいや、『かわいい』って言われる方が嬉しいですよ!(笑)『かわいげがない』って言われてしまったら、もうそれまでというか、友達コースですよね」

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――そのコースに入ってしまったら、もう恋コースに戻ることはできないですか?

佐野「そうですね……。ただ、どちらかといえば恋愛は瞬間的ですけど、友情って一生ものだったりするじゃないですか。だから、共通の趣味があってずっと仲良くできる関係って理想ですよね」

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――たしかに、恋人になってしまうと別れが来る可能性が高いけど、友達だったらその可能性はぐっと減りますね。

佐野「はい、だから結婚とかを考えると“好きになってしまっても友達でいられる関係”が理想だな、って思いますね」

“キレイな自覚”がないから褒められたいのは……

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――ちなみに『かわいい』以外に言われて嬉しい言葉ってありますか?

佐野「『肌キレイだね』ですね。誰にでも言える言葉じゃなくて、ちゃんと見てくれてる感じがします。すごく情報を調べたり、いろんなものを試したりしています。だからもともと生まれもったものではなく、頑張った部分を褒めてもらえることが嬉しいです」

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――せめて肌は頑張る、といったニュアンスでおっしゃいましたが、他も、もともとお綺麗な……

佐野「いやいやいや!そんな自覚はないです。モデルの仲間には、もともと綺麗に生まれてきたコもいるんですが、そういうコは逆に美容に興味ないんですよね。もらったものを、なんとなく使って終わり、みたいな。私はもう自分で探して試してメモして発掘していくタイプで、韓国に行ったり、ネットの海外通販まで経由して買ったりしています。そこにもオタク気質が発揮されてます(笑)」

1回きりの心の鍵が開く瞬間が“キュン”である

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――自身がオタク気質というのはよくわかりました!佐野さんの好みとしては、オタクっぽい男性もアリなんですか?

佐野「好きなものを聞かれた瞬間に、心を開くオタク気質の人のほうが、ギャップにキュンとしちゃうんですよね。私からも近寄りやすいですしね。男性は自分の趣味をオープンにしたほうが、女性からも近づいてくれやすくなると思いますよ」

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――ヒロインを務められた映画『魔法少年☆ワイルドバージン』でも、前野朋哉さん演じる主人公と、佐野さん演じるヒロインが仲良くなるのは、共通のキャラクターが好きなことがわかって、心を開いてお互いに喋りまくるシーンですよね。

佐野「ああいう“一瞬で心の鍵が開く瞬間”っていいですよね。その出会いの瞬間って、その人との関係性の中で1回きりしかなくて。『あーこの人、マジの人なんだ!』っていう驚きもこみで、それが“キュン”なのかな、って思うと、人と出会うことが楽しくなりますよね」

心をオープンにすると、世界は広がる

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――一方で、自分の趣味を開示するって勇気のいることでもあると思うのですが、佐野さんはどうやって自分の心の鍵を開けられるようになっていったのですか?

佐野「私、20歳くらいまではもっとキャピキャピしてて、ヒエラルキー上の層のオーラというか、リア充感がガンガン出てるような女子だったんですよね。そういうコって、そうじゃない人から見ると怖いというか、近寄りづらいですよね?」

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――一緒のクラスだったら、めちゃ下から見上げて『あいつは違う世界の住人だ!』って遠くで叫んでたと思います(笑)。

佐野「その頃も、私に怯えてしまって絶対喋りかけてくれないようなコがいたんです。でも、私が『◯◯ってゲームやってて』って言った瞬間に『え、あのゲームやってるんですか?』ってめっちゃ話しかけてくれて。それがすごく面白かったんですよね」

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――その原体験があったから、最近ではお仕事でもそういう趣味をオープンするようになっていたんですね。

佐野「はい、女性誌でも、読者の女性全員にそういうオタク性がゼロかっていうとそういうわけじゃないんですよね。もちろん美容系の話もしますけど『休みの日は何するんですか?』なんて聞かれたときには、意外とインドアであることを告白したりします。そうすると、そこに共感してファンになってくれるコもいたりして、オープンすることのメリットはちゃんとあるんです」

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――これを好きなのは自分だけじゃない、ってテンション上がる読者も多そうです。

佐野「誰だって、共通の趣味を持つ人がいたら嬉しいじゃないですか。自分の世界はオープンにしていったほうが、自分に見える世界も広がっていく、って思います」

過去の恋愛を聞かれたら……

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――映画ではカースト低めの主人公が、佐野さん演じるヒロインの過去の恋愛を気にします。佐野さん自身は好きになった人の過去を気にしたりすることはありますか?

佐野「気にしないし、興味自体を持たないようにしています」

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――それはどうしてでしょうか?

佐野「“知ってしまったら、めんどくさくなること”ってありませんか?(笑)私、めんどくさくさいことが嫌いで……だから友人の元カレとか絶対好きにならないんですけど。誰だって恥ずかしい過去、バレたくない過去ってあるはずで。自分も、聞かれなかったら言う必要ないなって思ってます」

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――もし聞かれちゃったらどうしますか?

佐野「例えば恋愛だとして、『◯◯とつきあってたんでしょ』とか言われたら、まずは『あー知ってたんだー』ってケラケラ笑っちゃうと思います。で、過去はこういう自分だったからこういう失敗をしたよって説明しますね。そして、そのときと違って今の自分はこうなんだ、ってちゃんと自分の言葉で説明しますね」

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――過去は失敗だった、でも今はこう違うんだ、って言えるのは自分の中で割り切れてるからですよね。

佐野「割りきっちゃうし、ひきずらないですね。ひきずります?」

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――もう僕たちは“ひきずる”がコンセプトなくらいなので(笑)

佐野「ああ、私はひきずらないから、そこだけ女性なのかも(笑)。基本男っぽい部分が多いんですが、恋愛だけはサバサバと女性脳で、性別通り!」

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――おお、じゃあそんな恋愛だけは女子な佐野さんの理想のデートを教えて下さい!

佐野「お昼からウインドウショッピングがしたいです。天気のいい日に並木道を歩いて、相手にプレゼントをしたいです。あれこれ話しながら彼の全身のお洋服をコーディネートしてあげたいですね」

のびのびと「私は私」で生きていく

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――ついつい男性とのお話を聞いてしまいましたが、女性のお友達とはどんな遊びをされるのですか? よくインスタでは女性誌でもご一緒している愛甲千笑美さんとの投稿を拝見します。

佐野「千笑美は色々と誘ってくれます。2人の口癖は『楽しいことしようよ』なんですが、一緒に読書発表会や映画鑑賞会をしますね。1週間の期間を持って、その間に1冊本を読んで、それをお互いにプレゼンするんです。映画は持ち寄って一緒に見ます。映画は千笑ちゃんは難解な話が好きだから、私はあえて千笑ちゃんが絶対に興味がなさそうな……例えば中国の王道のラブストーリーとかを持っていきます」

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――あえてそらすんですね!

佐野「同じ趣味の人だけで固まってると視野が狭くなっちゃう部分があると思うんですよね。でもこうやって、お互いに自分の興味のなかったジャンルに触れられると、自分が広がるんですよね。千笑ちゃんは韓国語が喋れて、私は中国語が喋れるのですが、このあいだ中国人と韓国人のコと4人で遊んだときは3ヶ国語が入り乱れて、まさに広がりを感じました。勉強のためにも日本語禁止ルール設けたりして。そうやって語学も映画も本も、友達と楽しみながら勉強している感じです」

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――あまりに文化的で驚きました。

佐野「千笑美からはテニスも誘われるんですけどね。テニスのときだけは『テニスか……エ、エンジョイ!後で話だけ聞くね』って言って送り出します(笑)。運動神経が求められるものだけは初心者だけで行きたくて……」

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――今日は、佐野さんの文化的な面をはじめ、女性誌では見られない色んな一面が垣間見えて嬉しいです。

佐野「女性誌で好まれる女性のタイプ、というのもあると思うんですが、私はヤングマガジンのグラビアでデビューさせていただいたからこそ今がありますし、両方継続していくつもりです。『私は私』でずっと生きてきたので、趣味も含めて何かを隠そうという気持ちは全くないんです。これからもオープンにのびのびと生きていきます」

取材・文:霜田明寛 写真:伊藤圭
スタイリスト:津野真吾 ヘアメイク:宮本由梨(lila)

■映画情報

『魔法少年☆ワイルドバージン』
12 月 6 日(金)より新宿バルト9、梅田ブルク7 ほか 全国順次ロードショー
キャスト:前野朋哉、佐野ひなこ、芹澤興人、田中真琴、濱津隆之/斎藤工 ほか
●公式サイト
http://wv-movie.com/

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