気づけばもう年の瀬。今年はSNSから人気に火が付く商品が様々生まれ、“コスメがバズる”という言葉もよく耳にするようになりました。
昨今、トレンド情報は雑誌ではなく、専らSNSで得るのが主流になっています。もちろんコスメ専門サイトなどもたくさんありますが、それよりもInstagramやTwiterで他の投稿を見るついでにコスメ情報をサーチしているという方が多いのではないでしょうか。
そこでTwitterで「#ベストコスメ」がつけられた投稿をランダムに100件集計。2019年のコスメトレンドを振り返ってみました。
そもそも「#ベストコスメ」はスキンケア、ベースメイクからフィニッシングミストまで、この1年間自分の顔を作り上げてきたアイテムを「これ、本当にいいよ!使ってみて!」とSNS上で紹介するもの。インフルエンサーとまではいかなくとも自分のおすすめアイテムを見たフォロワーから反応をもらえることを喜びとしている人が多く、年末になると多くのSNSユーザーがアイテムの写真とともに、コスメに対する思いや、おすすめポイントを熱量高く、かつ個性的な言葉遣いで画像やリプライツリーにまとめています。
ということで、今回の調査で出てきたアイテムがこちら。
これらの「#ベストコスメ」を通して見えてきた2019年のコスメニュース、トピックは以下の4つです。
ベストオブベストコスメはYouTuberプロデュースコスメ!
肌に優しいキーワード「シカ」とは?
唇の立体感は「見せる」から「させる」へ
CHICCA終了に際してベストコスメに挙げる人、CHICCA縛りでまとめる人続出!
ベストオブベストコスメはYouTuberプロデュースコスメ!
調査前の筆者の考えとしては、てっきりどのカテゴリにも圧倒的に人気のコスメがあって、「これだけ揃っていれば今年の顔は完璧!」となるものだと思っていました。
しかし結果としてはカテゴリごとにかなり票がバラけることになりました。
総合トップ10はこんな感じです。
こうして一覧としてざっと見てみると、Twitterでとてつもなくバズったコスメはベストコスメとして選ばれていないというのもポイントではないでしょうか。
例えば2位のメスメリックリップスティックは最もRTされていたところで500RT程度。一方で、人気コスメアカウントがツイートするたび何千RTと拡散し、売り切れ続出だったミシャのグリッタープリズムシャドウはランク外(本調査の結果)。瞬間的なブームとして売れるコスメと、最終的に「ベスト」として選ばれるコスメはまた別物なんだと感じました。
▲今年はキラキラの当たり年! しかし人気が出た代わりに多くのメーカーから趣向を凝らした様々なグリッターシャドウが出たのも圧倒的ベストが現れなかった原因かもしれません
そして1位となったのは美容系YouTuber吉田朱里さんがプロデュースのコスメブランドB IDOLのつやぷるリップ。11月4日に発売ということで期間としてはかなり浅いものの、今年11月30日に発表された「JC・JK流行語大賞」にもランクインするなど、2017年にブームとなったGIVENCHYのグロス・アンテルディ(青ラメグロス)以来、久しぶりに爆発的ヒット商品が出たと言っても過言ではありません。
考えられる要因としては吉田朱里さんの発信力はもちろんのこと、「こんなリップがほしい!」というユーザーの条件をすべて叶えたアイテムであることが考えられます。
およそ1500円という低価格ながら、なめらかな使い心地と肌なじみのいいトレンド最前線カラー、唇の縦じわを目立たなくする保湿効果、プランパー効果などを兼ね備えており、万能リップともいわれているんです。
肌に優しいキーワード「シカ」とは?
また、調査ではあまり聞き馴染みの無い単語も散見されました。
「シカペアクリーム」
「シカペアリカバー」
「プロシカマスクパック」
「シカコンシーラー」
今年トレンドとなった「シカ」とはなんでしょうか?
シカとは、ツボクサというハーブから抽出される成分のひとつ。消炎作用や肌の修復効果があるそう。古くからインドや中国など大陸の女性が、美肌を保つ成分として利用してきたと言われています。よく勘違いされますが、動物のシカとは関係ないようです。
今年の肌質のトレンドとして度々聞かれたのが「水光」。
「水光」とは、顔の内側から輝くような自然なツヤ感のある肌質を意味しており、肌そのものの綺麗さが鍵となります。そのため炎症を鎮めて肌の調子を整える作用を持つシカは、よもぎやティーツリーと並んでニキビ対策アイテムとして大人気に! あくまでも筆者の予想ですが、来年以降も定番化するのではないでしょうか。
唇の立体感は「見せる」から「させる」へ
今回の調査で特に気になったのはリップアイテム。
ベストオブリップとして挙げられた210個中、唇をぷるぷる、つやつやにするアイテムとして定番だったリップグロスは6個だった一方で、リッププランパーがなんと9個も挙げられました!
リッププランパーとは、メンソールやカプサイシンなどで唇をヒリヒリさせ、ぷっくり厚みのある唇をつくるアイテム。極端に言えば、辛いものを食べたときに唇がボワッとする感じをわざと作り出すものです。
火付け役となったのはDiorのアディクトリップマキシマイザー。
そもそも唇は欧米では厚みがあればあるほどセクシーとされ、美容整形でも人気のパーツですが、日本ではそこまで重要視されてきませんでした。しかし2014年のテレビドラマ「失恋ショコラティエ」の石原さとみさんが人気を博して以降、徐々にぷっくり唇への注目度も高まり、昨年あたりからは唇を魅力的に見せるための選択肢として「厚くさせる」というのが当たり前のように入ってきました。今後は眉毛の太さと同じく、唇の厚さも流行の指針となるのではないでしょうか。
CHICCA終了ショックで、ベスコスに挙げる人続出!
「夏メイクといえば」「赤リップといえば」「透け感といえば」と、コスメ好きがときめく言葉が冠されるコスメブランドCHICCA。しかし、今年7月にブランドの終了(オンラインでの発売は2020年秋まで)が発表されました。
別れを惜しむように、多くの「#ベストコスメ」投稿にCHICCAのアイテムがランクイン。
さらにCHICCAのコスメだけに限定したベストコスメの投稿もちらほら見られました。
CHICCAといえば、赤リップに代表されるようなほどよい血色感を醸し出すアイテムが人気。後述しますが2020年は再びしっかりとした色味のリップがトレンドになりそうということで、CHICCAファンが今後どこのブランドに流れていくのかにも注目です。
来年のコスメトレンドはいかに?
さて、これらをふまえて来年のメイク関連のトレンドを考えていくことにしましょう。
来年の注目キーワードはなんと言っても「中華メイク」。
女性誌で特集が組まれるなど、すでにこの秋から人気の機運は高まってきており、求められる印象も丸っこくてかわいい印象の韓国メイク(オルチャンメイク)から、かなりソリッドな印象にシフトしてきました。ザックリと特徴をまとめると以下のような感じ。
▼肌質はセミマット
▼ハイライトで細い鼻筋を演出し、小鼻は小さめ
▼アイブロウは眉山をしっかりさせ、全体は太めに作ってぼかす
▼チークなし
▼アイシャドウは下まぶたにもしっかり入れ、涙袋は強調しない
▼アイラインは自然に長く描き、切れ長の目を作る
▼上まつげのほうが強い
▼リップはしっかり色を入れ、こちらもマット~セミマットの質感
来年はさらに、アジア人の特徴とも言われる両端が細い形を活かし、美しい目元を表す「アーモンドアイ」を演出していくメイクがトレンドになるのではないでしょうか。
また、それに伴ってカラーコンタクトレンズ(以降カラコン)で作る瞳の大きさも小さくなるのではと予想されます。今回の調査でもいくつかベストオブカラコンが挙げられていましたが、
日本人の平均的な黒目の大きさが12mmくらいと考えると、実際の瞳の大きさよりもふたまわりくらい大きめの、いわゆる「デカ目」を演出するカラコンが好まれている印象です。
一方で、アジア人らしい瞳の形を重視する中華メイクは、黒目が大きすぎないほうがよく合うもの。あくまでも自然に、むしろ三白眼ぎみのほうがエッジーでおしゃれな雰囲気にまとまります。
▲中国の女優さんたちは横顔写真が多め。シュッとしたフェイスラインと鼻の高さがポイントです
徐々に注目されつつある、切れ長の目に色鮮やかなリップが特徴の中華メイク。最近では「肌なじみ」や「ナチュラル」といった優しいメイクがもてはやされていましたが、2020年の顔は「強さ」が際立つ1年になりそうです。
(文:たなかもみこ)