金融機関に勤めて13年のMさんが嬉しそうにFacebookに投稿した写真を見せてくれた。「リフレッシュ休暇はハワイに行ってきたの」。宿泊したホテルを問うとMさんからは予想外の答えが。「先生のお家よ。英会話を教えてもらってきたの」
これが噂のティーチャーズホームステイ。注目される留学のひとつの形である。
アパレル関係に勤務後、親子留学をきっかけにキャリアチェンジ。現在はロサンゼルスに本部を構えるARCアメリカ留学センターで留学アドバイザーとして活躍する星山明美さんも、ティーチャーズホームステイを勧める。
「先生のお宅に宿泊し、趣味や学びたい内容に基づき事前にスケジューリングした時間分のマンツーマンレッスンを受けます。学校へ通うという形態ではないので各種手続きがなく気楽。現地の暮らしもよく分かります。日本で英会話教室通いをしても行き詰まり、カンフル剤的に留学をしたいと思っていた方、学生の頃留学したかったのにできなかった方、子どもの教育の一環など、きっかけは様々。親子の場合、万が一を考えたときに、信頼できるエージェントを利用したほうがよいでしょう」
前出のMさんは、英文学科卒で留学経験が複数回あり、ずっと“駅前留学”も続けてきた。それでも「話す機会がないと忘れる。休暇のたびに行く海外旅行に意味を持たせたかった」ため留学したのだと言う。
実は筆者も親子留学の経験がある。
自社の語学学校を持つサウスパシフィックフリーバード社を通じ、体験取材としてフィジーに渡航したのだ。学校はレベル別に7クラスに分かれ敷地内で英語以外で話すことは禁止。破ると厳しいペナルティも課される。当時3歳の娘は学校に隣接、提携しているパブリックキンダーガーテンへ通った。親子でインフルエンザになり、未就園児でいきなり日本人が誰もいない幼稚園へ入れられるなど、初の試練に泣いていた娘も、三週間後には友達ができ英語の歌を唄うまでに。得られるのは語学力だけではない。年齢を超えた友人ができ、休日は離島へクルージング。娘と透き通る海で魚を見たり、プールから南十字星を眺めたのは一生の思い出だ。
サウスパシフィックフリーバード社の代表、谷口浩さんは言う。「工夫や営業努力で留学は安く気軽に行ける時代になりました。海外の暮らしは非日常。だからこそ情熱も高まるようで当校からも帰国後結婚したカップルが300組以上※います。普段知り合えない人と出会うきっかけにもなりますから婚活としてもよいかもしれません。卒業旅行がわりに来る学生、ビジネスに使うためにスキルアップを目指して来る社会人、英語教育に関心のある親子、リタイア後夫婦で留学する人と、幅広く受け入れています。今や、留学は海外に渡航するオプションのひとつとして身近になったのです」
※うち50組は国際結婚
留学地はカナダやアメリカ、オーストラリアなどメジャーな国に加え、近年は物価が安く温暖なフィジーやマルタも人気が急上昇しているそうだ。中には毎夏留学するリピーターも。今夏も旅行するように留学を選択するオトナが増えている。
(文:吉田瑞穂)