見るたび増えるような気がするー。それがシミである。
女性誌アンケートでもたいてい、30代・40代の肌悩みは、たるみやシワを抜いてダントツのトップがシミ(や色ムラ)なのである。妊娠後からは肝斑も気になりはじめ、いよいよ美白を強化する人も増えてくる。
そして毎月何十、時に百以上という数の化粧品と接する私たち、美容ライターが何をどう使っているかもたびたび聞かれるので、今春の美白計画を記してみようと思う。
【化粧水】
化粧水は、角質に水分を満たし透明感をアップするもので、その後の美容成分を肌に引き入れる、まさに「呼び水」としての効果を期待するものである。浸透力が命なので、粘度の低いさらっとしているものを選ぶとよく、特にどれとは決めていない。セラミドが入っているリーズナブルなものをたっぷり使うのもお勧めだ。
【美容液】
美容液は、各ブランドが最新の美容成分を投入し、しのぎを削っている商品だ。これが肌にとってのメインディッシュ。スポッツ的なシミを消す(ホワイトニング)より、全体をトーンアップ(ブライトニング)するものが化粧品の得意技。だが、透明感が高まれば、ダークスポッツ(シミ)も薄れ、若々しい印象になる。美容液は美白以外の悩みにも対応する機能の高い製品が多いので、ここにはお金をかけたいもの。
左・メラニンの輸送経路を阻み、シミにするのを食い止める新作のコスメデコルテホワイトロジスト MX ¥15,000(本体価格・私物)は、さらりとしてすごくのびるのでコスパが高い。メークの邪魔をしないので朝にも使用したい。メラニンの産生を抑制することで知られる歴史ある成分、コウジ酸配合。これをメインに使用。
中央左・定番のビタミンCを20%も配合したメタトロン MTコンデンスCセラム¥6,800(本体価格・私物)は美白だけでなく毛穴にも有効。頬の毛穴が気になる時に。
中央右・タカミスキンピール¥4,950(税込価格、増税後も据置・私物)は全体的なくすみ、肌のごわつきが気になる時に活躍する、優しいピーリング美容液。加齢とともに代謝サイクルが落ちるのでくすみやすい黄体期に使うことが多い。
右・時間が無い時はシートマスクを。ヘレナ ルビンスタインのプロディジー W ライトインフュージョン マスク 6枚入¥18,000(本体価格・私物)は、ゼリーのような素材でフィット感抜群。リナロールも配合されていたので、ジャスミンなどフローラル系の香りが好きな方は、寝る前に使うとリラックス効果が期待できる。
春夏も保湿ケアは入念に。
【乳液】
乳液は、ただの保湿の強化と思うなかれ。昼用を選べば手軽に紫外線対策ができるものがほとんど。特に主婦は家にいても、洗濯物を干す、郵便物を取りに出るなど、うっかり紫外線を浴びて、ダメージが蓄積されていることが多い。かといって、しっかり日焼け止めやファンデーションは塗りたくない時に、紫外線をブロックする軽いテクスチャーの乳液は重宝する。
左・軽くみずみずしい感触のクラランス ホワイト-プラス デイ エマルジョンSPF20/PA+++ ¥7,600(本体価格・私物)はニキビに悩まされる時に。オイルフリー。軽い感触で白残りもしないので、ちょっとした外出時、手の甲や足の甲、腕、デコルテにもさっと塗れるのがいい。
右・ポーラ ホワイティシモ 薬用UV プロテクター ブライトL SPF20/PA++ ¥¥4,500(本体価格・私物)は紫外線吸収剤フリー、ビタミンCや炎症を抑えるグリチルリチン酸2Kを配合。けっこうこっくりしているので、ムラなく手早く塗るのがコツ。
メラニン細胞が活発に働くのを阻止するだけでは美白ケアは完了しない。実は、こすり過ぎ、洗いすぎで炎症を起こして色素沈着をしているケースが多く見られるので、意識したい。拭き取りケアをやめる、チークのブラシを柔らかなパフにするなど摩擦を防ぐポイントはいくつもある。スキンケアをなじませるのも、指先の「点でのばす」のではなく、手のひらの「面」で押さえるように心がけたい。両手のひら全体に乳液を広げ、温めてからプレスするのが効果的だ。
【クリーム】
最後にクリーム。これは更なる保湿が必要な人のみでよいが、20代後半からは、皮脂腺が少なく動きの激しい目元・口元には加えたほうがいい。下の2点は、美白成分だけでなく、鎮静効果のある成分が配合されているので、季節の変わり目で不安定になっている肌なら、直接クリームだけを塗り、(少ない使用アイテムで触れる成分数を減らすことで)刺激を抑え、バリア機能を強化するのもいい。
左・ボビイ ブラウン エクストラ ブライト アドバンスド モイスチャー クリーム¥12,000(本体価格・私物)は、敏感になっている肌にも使える安心感が好感触。睡眠不足で肌のキメが揃わないと感じる時にも登板。
右・エスティ ローダー サイバー ホワイト HD アドバンス ブライトニングナイト クリーム¥9,000(本体価格・私物)はカスタードのような感触。保湿力が高いので、デコルテまでしっかり塗って睡眠。つややかな肌に。
外からのケアも大事だけど、インナーケアをすれば向かうところ敵なし!お次はインナーケア。
【インナーケア】
右のトランシーノRホワイトC(オープン価格・私物)は肝斑ケアとして定着している。左はビタミンC製剤。取材した皮膚科医の中には、美容効果を求めて3,000ミリグラム以上を1日の中で小分けにして摂取するという人もいる。ビタミンCの血中濃度を保てば、アトピー肌にも改善が見られることが分かっている。私なりの選ぶコツは、吸収率の高い天然のもの(裏にアスコルビン酸ではなく、ローズヒップなど素材名が書かれたもの)、高単位のもの(1粒1000mg)を選ぶようにしている。こうしたものは海外製が多いが、素材の安全性、添加物なども注意したい。
美白アイテムの使用数が多いと思うだろうか。しかし、実際はすべてを使うのではなく、日により肌の調子を見て細かく使い分けるので、それぞれ減る量は意外と少なく、トラブルになる前に手を打つのでかえって経済的だと感じている。
仕事柄、最新成分の肌ごたえを検証したいので、新作を使うよう意識しているため、新作がほとんどの今回のラインナップ。透明肌を目指すあなたの、今年の美白計画の一助になっただろうか。
※静物写真・イラストとも筆者。化粧品はすべて私物です。
※新作を中心に多くを試しての個人的な感想です。効果を保証するものではありません。
(文:吉田瑞穂)