吉田秋生原作、是枝裕和監督で現在公開中の映画『海街diary』。
私も原作漫画を全巻持っている身として、楽しみにしていましたが、
映画の中では姉妹4人のファッションがそれぞれに個性的で、原作とはまた違った楽しみ方ができました。
姉妹だから、血筋として似ているところもあるけど、それぞれ皆、個性があって、性格が違うという役所でした。
例えば、長女の幸(綾瀬はるか)は親代わりとして姉妹の面倒を見るしっかり者。次女の佳乃(長澤まさみ)は、恋愛体質で自由奔放な明るいOL。三女の千佳(夏帆)はマイペースだけど姉妹思いの優しい性格。四女であり腹違いの妹、すず(広瀬すず)は、素直でしっかり者だけどなかなか自分を出せない性格。
幸は人知れず不倫の恋をしているのですが「服装で勝負しなくても勝つときは勝つ」というセリフ通り、真面目で勝気な性格がよく出たシャツにパンツ、もしくはひざ下のスカート、というような決して派手なファッションではなく、すでに主婦のようにも見えるお固めの格好。幸の性格のみならず、おかれている状況までも表すファッションです。
次女の佳乃は、いつも悪い男に尽くしてしまう恋愛体質で、失恋すると飲むお酒の量が増える、男勝りでいて女っぽい性格通り、ボディラインの出たTシャツに露出度高めのミニスカートやショートパンツがよく似合っていました。
三女の千佳は、スポーツ店の店長であるアフロヘアの彼氏と並ぶとお似合いな、個性的なスタイル。ゆるっとしたスポーティなデニムやTシャツというボーイッシュなファッションで、気ままでいておおらかな彼女の性格がよく出ていたと思います。
四女のすずは、基本的にみずみずしい制服姿が鮮烈なのですが、私服では海辺の街に住む中学生らしい、Tシャツやチェックシャツに膝丈デニムといったサッカー少女らしい格好です。
また、葬儀のシーンでの4人の喪服姿も、4人それぞれのキャラクターに合っていました。
幸はひざ下のスカートで高校の先生のようなスーツのデザイン、佳乃はひざよりちょっと上のタイトスカートに薄手の黒ストッキングを合わせているし、千佳は、喪服のスカートのときでさえ、白いソックスにヒール無しの靴。すずは制服姿です。
映画は登場人物の性格まで踏まえたスタイリングを衣装さんがするものだと思うけど、『海街diary』は、それぞれの性格がよく表れたファッションだったことに加えて、華美ではないものの日本の生活にも根付いた日常も、服装によく出ていたと思います。
そんな『海街diary』は現在全国映画館にて公開中です。
(文・イラスト:柴崎マイ)