ミュージシャンが脚本、監督をつとめたミュージカル映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』を観てきました。
ところどころ、1950年代末のフランスで始まった映画運動「ヌーヴェルヴァーグ」を思わせる映像で、ファッション共々スタイリッシュ!
ヌーヴェルヴァーグの代表的な監督だったジャン=リュック・ゴダールと、公私共に彼のミューズだったアンナ・カリーナ。難解でよく分かりもしないのに、彼の映画にハマった美大卒業後まもなくの、青春時代を思い出してしまいました。
何かを創りだしたくて仕方なかったあの頃。クリエイター仲間との交流。才能のあるBF。作品を売り込む日々。
いつの間にか勝手ながら、ミュージジャンを目指す『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』のヒロインのイヴを、自分の20代と重ね合わせて、観ていました。
イヴのファッションも最高なのです!
全体的には、60年代ファッション。まさに「ヌーベルヴァーグ」時代の映画へのオマージュのよう。
イヴのファッション(のみならずミュージカル部分の歌い方などなど含めて)は、セルジュ・ゲンスブールとアンナ・カリーナが共演したフランスのミュージカルドラマ「ANNA」を参考にしていると思われます。赤、青、白といったトリコロールカラーや、古着屋さんから見つけてきたようなオレンジとピンクのサイケデリックな模様のシャツ、かと思えばセーラー服が混ざり合ったような新鮮なラインのフレンチマリンスタイル。本当におしゃれで見ているだけでもウキウキするのです。
「男受けファッション? は? そんなのカンケーないし」
そんな時代があったなぁと。高円寺の古着屋さん巡りをしていたあの頃が懐かしくなったりして。
まがりなりともクリエイターである自分のクリエイター魂が熱くなるくらい、今回の映画のファッションはおしゃれで凝ったものでした。イヴのナイーブな性格の中に熱い想いを秘めたクリエイターマインドも服装でよく現れていたと思います。
ファッションだけ観ていても楽しい、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は8月1日(土)から全国映画館で順次ロードショーです。
(文:柴崎マイ)
<ストーリー>
スコットランドのグラスゴーのとある街。入院中の少女イヴ(エミリー・ブラウニング)は、一人ピアノに向かい曲を書いていた。
ある日、彼女は、病院を抜け出し向かったライブハウスで、アコースティック・ギターを抱えたジェームズ(オリー・アレクサンデル)に出会い、さらに友人のキャシー(ハンナ・マリー)を紹介された。2人の少女と1人の少年は一緒に音楽を作り始める。魅力的なのにどこか孤独を感じさせるイヴ。密かにイヴに恋をする理屈屋のジェームズ。天真爛漫な年下のキャシー。その夏、3人の友情と恋が、音楽にのって始まった-。