「早稲田卒、ブラック家庭出身、風俗勤め、クスリ常用」
燦然と輝く“早稲田卒”という単語と、以降に並ぶダークサイドの強い単語には、相当なギャップを感じてならない。
このコピーは、9月30日に発売される書籍『早稲田出ててもバカはバカ』(円山嚆矢著・ぴあ株式会社)の表紙に書かれているもの。3万人が涙したという「高学歴バカ」の物語が、リメイク版として書籍化されるというのだ。
表紙には、こうも書かれている。
「学歴さえあれば 変われると思った」
このセリフだけで、主人公の苦悩にまみれた人生の一片が垣間見えたようで、一気に興味を惹かれた。
『ビリギャル』を輩出したSTORYS.JPで衝撃を呼んだ問題作
この物語が元々掲載されていたのは、自分の人生を物語として投稿するサイト『STORYS.JP』。今年、有村架純主演で映画化され、大ヒットを記録した『ビリギャル』が誕生したサイトでもある。『早稲田出ててもバカはバカ』は、そこに投稿されるや否や、多くの話題と感動を呼んだ人気作だ。2015年4月に自費出版した電子書籍版は、amazon(kindle)ノンフィクション部門で2位を獲得した。本書はそこから加筆修正した内容になっている。
著者の円山嚆矢 (まるやま・こうし)は、早稲田大を卒業後、テレビ番組制作、風俗スカウト、風俗店長、AV女優マネージャー、不動産業、ヘッドハンター……など、9年間の間に14職種を経験したという、客観的に見るとなんとも不安定な人生を送ってきている人物だ。
ネグレクト、貧困……絵にかいたようなブラック家庭に育ったという彼は、「学歴さえあれば、この底辺からはい出せる」その一心で早稲田大学に入り、卒業したという。
それなのに、どうして彼はエリートとは程遠い人生を歩む、いわゆる「高学歴バカ」になってしまったのか?
「人生のエリート」とは?「高学歴バカ」にこそ聞いてみたい
東大、京大に、早慶上智。
そんな誰もが知っているような名門大学に入学できるのは、全国の中でもほんの一握りだ。おそらく受験期には、あるいは子どもの頃から、血のにじむような努力をしてきた者達がほとんど。「高学歴卒」というブランドは、ある意味その努力に対する表彰のようにも思える。いわば「努力することのエリート」のことだ。
しかしそれが、「人生のエリート」とイコールではないということは、筆者も若輩ながら、これまでの人生28年間……特に社会人になってからの6年間で痛感している。
社会において活躍している者が高学歴とは限らないし、反対に、有名大学を出ても大した職業に就けなかった者なんて、ごまんといる。
しかし、会社でいい役職についた、30歳で年収が1000万超えた……そんなことだけが「人生のエリート」というわけではないだろうし、そうだと思いたい。
すべてが実話を元にしているという本書には、世の中を生きていく上での光の面と闇の面、そのどちらもが、強烈なリアリティを持って描かれているはずだ。「人生のエリート」とはどんな生き方をした人物のことなのか? そのヒントが隠れている気がして、発売日が今から待ち遠しい。
(文:佐藤由紀奈)
(『早稲田出ててもバカはバカ』口絵)
【『早稲田出ててもバカはバカ』 概要】
●書籍タイトル:『早稲田出ててもバカはバカ』
●著者:円山 嚆矢(まるやま・こうし)
●発売日/価格:9月30日(水)/1,296円(税込)
●発行・発売 ぴあ株式会社