先日、ファストファッションを代表するブランドH&Mがサステナビリティファッションに注力した商品を発表しました。サステナビリティとは「持続可能性」を意味します。要は、地球環境、生産過程における労働環境、リサイクル意識、などに配慮したファッション、ということです。
H&Mといえばファストファッションブームの火付け役。日本にもいち早く上陸したファストブランドです。ファストブランドの製品は大量消費を前提とし、高速サイクルで大量生産するために主に発展途上国での低賃金労働の生産過程を採用してきました。そう、H&Mはサステナビリティとは真逆の方向性を取るメーカーだったわけです。
安価で種類豊富、高速サイクルで商品が入れ替わるファストブランドは、消費者の心を掴み、大量消費時代と共に大きく成長しました。低コストで高速大量生産できなければファストブランドは成り立ちません。その結果、工場労働者は劣悪な環境、低賃金での労働を強いられました。そうして大量生産され売れ残った商品は、大量廃棄され環境破壊を進めます。
サステナビリティファッション、オーガニック、フェアトレード、エシカルファッションといった環境・労働問題への配慮はここ数年ファッション界でも大きな流れとして存在していました。ですが、今回はファストブランドの雄であるH&Mがこれをやることがポイントです。今回の発表は今後のファストファッションのあり方を変える転機になるかもしれません。
とはいえ、消費者の本音は「早く、安く、トレンドが手に入る」。私もその一人。流行のデザインは大金をはたいて高級ブランドで購入することなくファストブランドで手を打ってしまうことも多くあります。流行のスタイルを高級ブランドよりも先に発売する安価なファストブランドはおしゃれピープルにとって欠かせない存在かもしれません。しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
「安いから」「気軽に買えるから」という理由で不要なものを買っていることはありませんか。「数回着られれば、今年だけ着れば良い」そんな風に考えていませんか。購入すればゴミが減るというわけではありません。
必要なものだけ買う。
大事に出来るものを買う。
どのような生産過程を取っているのか興味を持つ。
レジに行くその前に、本当にいるかどうかを自問してみましょう。帰宅してから気付いたら返品すれば良いのです。着れなくなったらリサイクルボックスに返却しましょう。
たったこれだけでも始まる変化はあります。販売量が減ればメーカーは生産量を減らすことになります。廃棄コストが抑えられれば低コストを維持するために大量生産する必要もありません。劣悪な労働環境を強いる工場は減ります。そしてそもそも労働者を酷使するメーカーからは買わなければよいわけです。
買わない勇気で世界は少しでも変わるはずです。結果、今よりも少し高価な商品を買うことになるかもしれません。しかし2,000円の洋服を毎週1着ずつ買って4枚あるのと、月に1枚8,000円の洋服を買うのとではどちらがその洋服を大事に出来ますか?どちらがその洋服を着る楽しみが大きいでしょうか。
メーカー、ブランドはこの楽しみの部分を大きくする努力をすべきなのです。H&Mによる今回の試みはこの楽しみの部分を最大化させるべく、デザイン性の高い商品が展開されています。「本当に欲しいと思うもの、思えるものだけ」このような動きは今後ファストブランドだけでなく、アパレル業界全体に浸透していくと想像しています。
出来ることだけ、出来るだけ、今日からやってみましょう。(私も!)
(文:YUKIKO)