まだまだ表に立つことはそう無いが、見えないところでじわじわと成長をみせている女性向けのアダルト産業。これまでも“大人のおもちゃ”は存在していたはずだが、なぜ今さら注目されているのだろうか。
今回は、女性から人気を集めている女性向けのアダルトグッズ・アダルトサービスから、イマドキ女子の性意識について考えてみた。
女性向けアダルトグッズのブームの火付け役ともなったのが、株式会社TENGAから発売されている『iroha(イロハ)』シリーズ。「女性らしくを、新しく。」をキャッチコピーに、いわゆる一人エッチを新習慣として提案したセルフプレジャーグッズだ。
女性が安心感をもって使用できるようにと細部までこだわられた設計、まるで赤ちゃん肌のようなもっちり柔らかい質感と、パステルカラーのかわいらしいビジュアルが特長。初代は発売からなんと数週間で当初の予定を大きく上回る異例のヒットに。その圧倒的人気をうけ、8月7日にはこれまでのirohaシリーズとは異なり“挿入”ができる仕様にリニューアルした『iroha FIT(イロハフィット)』(9,900円 参考価格/税抜)が発売された。
「女性がセクシャル・セルフケアを楽しむ」ためのアイテムを取り扱っているのが、セルフプレジャーグッズ販売店の『LOVELY POP(ラブリーポップ)』。ただ単に“快感を得る”ためだけが目的ではないという女性の気持ちに応える、商品を実際に見て、触って納得して購入できるようショールームが設けられている。
「どんなものが自分に合っているかわからない……」というお客様には、ショップスタッフがカウンセリング&アドバイスしてくれるというサービスもあり、初心者にも安心。
現在8月1日から9月半ばまでショールームは長期休暇中だが、興味はあるけど自分で買うのは少し勇気が……という人は、まずここで実物を見てみることから始めても良いかもしれない。
さらに、ネットショッピングで不動の人気を誇っているのが、『LC Love Cosmetic(エルシーラブコスメティック)』。ひとりHをより盛り上げるセルフケア商品はもちろん、カップルでも楽しめるHなグッズを多数販売している。
ベリーやフローラルの香りで性衝動をかき立てるという専用香水『リビドー』や、感度を上げるだけでなく大事な時に濡れない!という悩みの解消にも役立つ、デリケート部専用ジェルの『リュイールホット』など、Hを盛り上げるだけでなく女性特有のH時の不安にも配慮。
女性のセクシャル市場でヒットを飛ばす商品・サービスに共通するのは“安心感”というキーワード。女性が性市場で消費する側として意識され始めたのはごく最近のこと。これまでは、性は男性のものというイメージが浸透していたのかもしれない。
ここでご紹介したいのが、日本家族計画協会家族計画研究センターがコンドーム・メーカーであるジェクス株式会社からの依頼を受けて実施した『【ジェクス】ジャパン・セックス・サーベイ』という調査の結果。
「セックスをする目的」について、男性は「性的な快楽のため」(77.8%)という回答が「愛情を表現するため」(72.2%)を抑えてトップであった一方で、女性は「愛情を表現するため」(70.8%)「相手とのふれあい(コミュニケーション)のため」(59.4%)という回答が群を抜いて多いというデータが報告されている。
女性は多くの場合、パートナーとの愛の絆を確かめ合うため・深めるためにセックスをすると言っても過言ではなさそうだ。
パートナーとの大切なベッドタイムに「濡れない」「感じない」といった自分の体への不安や、もっと二人でベッドタイムを楽しみたいという欲求を持つことは何ら不思議のないこと。女性たちの、声を大にしては言えない思いをそっと汲み取ったのが、先に紹介した商品・サービスたちなのだろう。
また、Hを通してパートナーにもっと愛されたい、というのも女性の本音。
ヒップの黒ずみやプツプツ、ニップル(乳首)をピンク色にするニップレスやスクラブなどは、昔から密かに存在していたが、ユーザーの存在が目に見えて分かるようになってきたのはここ最近。
美容脱毛ではワキ・ウデ・ヒザ下のほか、普段は見えないであろうアンダーヘアの脱毛を希望する女性が近年増加傾向だという。
“愛されボディ”のために日頃からデリケートゾーンをケアするというのは、イマドキ女子ならではの習慣かもしれない。
『iroha』や『LOVELY POP』『LC Love Cosmetic』など続々登場している、女性向けアダルトグッズ・アダルトサービス。それらは、自分の大切な人との時間をもっと楽しみ、相手を楽しませられる自分になるための“セクシャルケア”であって、男性の考える“アダルト”とは少し異なるようだ。
見た目「いかにも」なこれまでのアダルトグッズではなく、可愛らしく優しく清潔感のあるセルフプレジャーグッズが支持を集めるのも納得である。
ところで気になるのは、先ほど紹介した調査結果。男女間でセックスの捉え方に若干のズレがあるようだが、このズレは今後埋まっていくのだろうか。
例えば、セックス中の女性の“演技”。「気持ちよくない……」と思いつつ気持ちよさそうに振る舞った経験のある女性は少なくはないだろう。これには賛否両論あるようだが、性行為をコミュニケーションと捉えるならば、その場の空気を壊さないために自然な行為だ。飲み会で先輩のつまらないギャグに対して「つまんないっすよ、何ですかソレ」とキッパリ言う人はいないだろう。
だから“演技”をしろ!という訳ではない。自分はどこが良くて、パートナーはどうしてほしいのか、体調はどうか、避妊はどうするか、など互いに対話しズレを埋めていく努力が必要だということだ。そのためには、自分の体や心のことを自分で知ることも必要だ。“性を楽しむ”観点でのグッズやサービスが注目を受ける理由はそこにある気がする。
ちなみに、「アンダーウェアを重要なファッションアイテムに」と日本男性へ下着選びの楽しみを提案しているのが、男性下着専門店の『GRANDE PANTS(グランデパンツ)』。
見た目のデザイン性だけでなく、身に着けたときの快適さも重視し、ずらりと28ブランドのアンダーウェアを取り扱っている。
これまで下着に意識を向けていなかったという男性のみなさま、少しだけアンダーウェアにこだわってみるだけでも、“性を楽しむ”女性の気持ちが分かるかもしれない。
関連サイト
◆iroha(イロハ)ブランド公式サイト
◆【LC公式】エルシーラブコスメティック®の通販サイト
◆日本性教育協会HP (現代性教育研究ジャーナルNo.39より「【ジェクス】ジャパン・セックス・サーベイ」 結果)
◆GRANDE PANTS.公式サイト