本日26日の「めざましテレビ」内で、生野陽子アナ(30)が同期である中村光宏アナ(30)との結婚を発表した。
そしてこの日を最後に、5年半務めた早朝帯「めざましテレビ」のキャスターを勇退し、9月29日から夕方帯「スーパーニュース」へ異動する。
今回の結婚がどこまで影響したかはまだ定かではないが、フジとしては、視聴率低迷中の「スーパーニュース」の数字を上げるため、人気女子アナである生野アナを持ってきたという側面は大きいだろう。
果たして、生野アナはその至上命題を達成できるのだろうか。
まず、「めざまし」に触れておくと、毎回2ケタ前後の視聴率を取る強力コンテンツだ。生野アナのほかに、カトパンこと加藤綾子アナ、山﨑夕貴アナ、三田友梨佳アナといった男性人気の高いアナウンサー布陣を敷いている。朝からこれだけの美女を揃えることで、これから会社に向かうサラリーマンは「めざまし」にチャンネルを合わせると考えられる。
メインの生野アナの貢献度も、かなり高いだろう。
だが、夕方の「スーパーニュース」で、同じ力を発揮できるかと言えば、そう簡単にはいかない。
第一に、夕方4時50分から2時間強の放送時間中、大半のサラリーマンはまだ帰宅していない。そのため、生野アナの“男性人気が高い”というストロングポイントは生かされない。“視聴率を持っている”という触れ込みで、TBSの早朝帯「あさチャン!」のキャスターに就任した夏目三久アナが3%前後で苦しんでいるのも参考になる。いくら夏目アナの人気が高くても、一人では「めざまし」の豪華女子アナ布陣に勝つのは至難の業なのだ。
言い換えれば、いくら生野アナの視聴者受けが良くても、一人で「スーパーニュース」の数字を上げるのは、相当難しいことである。
第二に、ニュース番組は局の勢いがそのまま出る傾向にある。「スーパーニュース」が他局に後塵を拝しているのは、番組スタッフだけの責任とは言い難い。近年のフジテレビは不調を託っている。全日視聴率で4位になることも珍しくない。そうすると、ニュース番組で視聴率を取ることは、かなり厳しくなってくるのだ。
どういうことか、検証してみよう。
実際は局によって作り方が違っても、「ニュース番組はどこ観ても同じ」と考える人が多数いることは否定できない。
そうなると、前番組や後番組の視聴率が大きく影響してくる。「スーパーニュース」の前番組として、フジはドラマの再放送を流している。視聴率は3〜4%台が目立つ。他局に目を移すと、テレビ朝日は夕方4時53分開始の「スーパーJチャンネル」の前に、ドラマ「相棒」の再放送が視聴率7〜8%台を獲っている。
実は、この数字がそのまま「スーパーニュース」と「スーパーJチャンネル」の差となって現れている。例として、8月25日の週を観ると、一目瞭然だ。
8月25日
テレビ朝日 相棒セレクション7.7% スーパーJチャンネル7.4%
フジテレビ ブザー・ビート 3.3% スーパーニュース3.8%(1部)
8月26日
テレビ朝日 相棒セレクション8.5% スーパーJチャンネル8.0%
フジテレビ ブザー・ビート 4.2% スーパーニュース4.3%(1部)
8月27日
テレビ朝日 相棒セレクション7.9% スーパーJチャンネル7.9%
フジテレビ ブザー・ビート 4.1% スーパーニュース4.5%(1部)
8月28日
テレビ朝日 相棒セレクション8.5% スーパーJチャンネル8.4%
フジテレビ ブザー・ビート 6.0% スーパーニュース5.1%(1部)
8月29日
テレビ朝日 相棒セレクション7.1% スーパーJチャンネル7.4%
フジテレビ ブザー・ビート 6.0% スーパーニュース5.6%(1部)
面白いほど、前番組と数字が連動している。
この例を見れば、16時台にいかに数字の獲れる番組を置くかが重要と言える。
実は、「スーパーニュース」のキャスターに生野アナを持ってくる以上に、フジテレビは16時台の強化を考えるべきなのである。
また、フジテレビの場合、後番組が低迷しているのも痛い。同じく8月25日の週の19時台、木曜の『VS嵐』以外はすべて視聴率1ケタに終わっている。
18時台後半のニュース番組は、19時からの番組を見るためにチャンネルを合わせてくる視聴者が少なからずいる。後番組が弱いと、その効果も得られない。
夕方ニュースは、日本テレビの『news every.』が主に同時間帯1位を獲得している。これは、前番組『ミヤネ屋』と後番組の好調という局全体の力に支えられている面が大きい。
要するに、フジテレビ全体の復活なくして、「スーパーニュース」の視聴率アップはありえないのだ。そして、生野アナが加入しただけでは、現在の状況を脱し切れないだろう。
今後、「スーパーニュース」の視聴率が上昇しなければ、生野アナに矛先が向くような記事が出てくると予想される。
しかし、仮に良くない結果になっても、これまで見てきたように、その責任を生野アナに押し付けるのは、あまりに無謀な論と言わざるを得ない。「スーパーニュース」の視聴率は、フジテレビという局の勢いそのものを現しているのだ。