今年は、佐村河内守氏のゴーストライター騒動、小保方晴子氏のSTAP細胞問題、ASKAの薬物逮捕、野々村竜太郎・前兵庫県議員の政務活動費事件など例年以上に、世間の注目を集めるニュースが起こっています。
それらのニュースは、当然視聴率にも影響します。たとえば、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ制作、日本テレビ系)では、佐村河内守氏、小保方晴子氏、ASKA、野々村竜太郎兵庫県議員の話題が出た直後、数字が跳ね上がりました。
2月6日、佐村河内守氏のゴーストライターを務めていたという新垣隆氏の会見を中継すると11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)、4月9日、小保方晴子氏の会見を中継すると12.3%を記録(いずれも2部の視聴率)。
5月17日にASKAが逮捕されると、翌19日からの週は放送5日中3日間も10%超え。
野々村竜太郎議員の話題で持ち切りだった7月4日にも、1部で10%を叩き出しました。
午後2時〜3時台の数字にしては、かなり高いと言えます。
話題を呼ぶ事件が起きると、ニュース番組の視聴率は上昇する傾向にあります。そのなかでも、『ミヤネ屋』は同時間帯唯一のニュース・情報番組という利点を存分に生かしています。
ニュース番組はどれを見ても、だいたい同じ。そう考える視聴者は少なくないでしょう。実際、ライバルのいない『ミヤネ屋』と違い、午前帯の情報番組は、それらの事件が起こったとき、どの番組も微増する傾向にあります。裏を返せば、1つの番組が突出して数字を獲ることはありません。
しかし、明らかに視聴率を持っているニュース番組があります。
土曜22時台の『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)です。
新垣隆氏の会見のあった週である2月8日は13.1%、STAP細胞に疑惑の生じ始めていた3月15日は15.7%、小保方晴子氏の会見のあった週である4月12日は13.4%、ASKAが逮捕された5月17日には14.3%を記録。そして、野々村議員の号泣ぶりに日本中が疑問を抱いた週の7月5日には14.4%をマークしました。
普段から高い視聴率が、さらにアップしているのです。
週末には、ほかにもニュース・情報番組が多々あります。それらの番組は、話題の事件を受けて視聴率がアップする日あれば、そうでない日もあるなど、ある程度バラつきがあります。そのなかで、たけしの出演する『新・情報7daysニュースキャスター』は安定して数字が高くなる傾向にあるのです。
もちろん、同時間帯に内容の競合する番組がない点も大きなポイントでしょう。また、平日にニュース番組を観られなかったサラリーマンがチャンネルを合わせる可能性も高いはずです。土曜の夜という時間帯も有利に働いています。
しかし、裏番組には『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)や『土曜ワイド劇場』(テレビ朝日系)、『土曜プレミアム』(フジテレビ系)と強力番組がひしめき合っています。そのなかで、
話題の事件があると、視聴者は『新・情報7daysニュースキャスター』にチャンネルを合わせるのです。
これはひとえに、ビートたけしのコメント力が視聴者を引き寄せている証拠だと思います。話題のニュースに対し、どう発言するかが注目されているのです。
7月5日には、野々村議員の話題に触れ、「プロフィールがちょっと恥ずかしいの。自分の好きな番組ってオレの番組(※ビートたけしのTVタックル)書いてあんの。ちょっとまずいぞ、これは、って」と、まず自身に絡めて笑いを取ります。
そして、野々村氏が3年間で345回もの日帰り出張をし、約800万円を支出したことについて、「運送屋やったら儲かったんじゃないの?」と皮肉を込めました。
『アイス・バケツ・チャレンジ』が流行した際には、番組内(8月23日・13%)で「そのうち(指名が)来ると思うけど、オレはやんないよ。お金も払わない」と発言。「オレは熱湯に入って、金をもらう方だから。趣旨が違う」とギャグを交えて、溜飲を下げました。
たけしのコメントを危険水域に入る前に食い止めるなど、うまく引き立てている安住紳一郎アナの司会ぶりも、高視聴率に欠かせない要因と言えるでしょう。
数多くいるニュースコメンテーターのなかで、ビートたけしの存在は突出している。いみじくも視聴率が、そう教えてくれました。