それぞれの記憶に残る平成のスポーツ名シーン
2019年の4月いっぱいで終わりを迎える「平成」。
年明けの韓国・平昌オリンピックでは羽生結弦選手が66年ぶりの五輪連覇を成し遂げ、その後、ロシアで行われたFIFA ワールドカップで日本代表がベスト16入りしたかと思えば、甲子園では記念すべき100回大会の熱戦が繰り広げられ、すでにスポーツの話題に事欠かない。
スポーツから振り返る“平成”
振り返ると、それぞれの記憶の中に色濃く残る、名シーンがあるのではないだろうか。
中でも平成の代表といえる、名場面をいくつかピックアップして紹介したい。
伊達公子VSグラフ 3時間25分の死闘
平成8年(1996年)4月28日
今年の9月に引退する安室奈美恵に憧れ、茶髪のロングヘアに細い眉、そしてミニスカートと厚底ブーツというアムラーファッションが若い女性たちの間で大流行した平成8年。
この年、女子テニス界の歴史に残る、ある試合があった。それが東京・有明コロシアムで行われたフェドカップ・ワールドグループIの1回戦。当時世界ランク1位のシュテフィ・グラフ選手と世界ランキング7位の伊達公子選手の一戦だ。
前日の試合で左足の裏側を傷めていた伊達選手は、グラフ選手を前にして、誰の目からしても圧倒的に不利な状態。
しかし、この試合は見る者の想像をはるかに上回る、まさかの展開を迎えるのだった。
グラフのリードから始まった試合だが、女王相手に食い下がる伊達選手は、なんと第1セットを逆転勝ち。その後のセットをグラフ選手が決め、ここから激しい攻防が続く。試合は3時間という長時間戦へともつれ込み、体力の限界まで追い込まれた両者。
最後にフォアハンドを決め、勝利を掴んだのは伊達選手だった。
グラフ選手から初勝利をおさめ、日本選手としても世界ランキング1位の選手を初めて破った歴史的白星となった。3時間25分のロングマッチとなったため、帰りの飛行機を予約していたグラフが間に合わずに帰れなくなったという逸話まで残っている。
伊達選手は、2017年の引退会見の中で、思い出に残るシーンとしてこの試合を挙げつつ、グラフ選手についてこう述べている。
「当時のグラフは断トツの強さで、あこがれというか、目標、あこがれと呼びたくても呼べないぐらいの存在感。真のアスリートだった」
引用:スポニチ アネックス
2017年9月7日
このコメントから、ライバルでありながら自身の憧れ以上の存在であるグラフ選手と名試合を繰り広げた伊達選手の精神的な強さをあらためて感じさせられる。
現在もテニス史で語り継がれている名試合は、2人のトップアスリートが極限の精神状態に追い込まれて実現した、まさに奇跡の一戦だろう。
宮里藍 東日本大震災後の優勝 感動のインタビュー
平成23年(2011年)7月24日
2011年3月11日に日本を襲った、東日本大震災。しばらくは復興への道筋が見えない中で、多くのスポーツ選手たちが明るいニュースを届けようと奮闘する姿が記憶に残っているという人も多いのではないか。
女子ゴルフの宮里藍選手もその一人だ。
前年の秋以降、優勝から遠ざかっていた宮里選手。東日本大震災後の7月、かつて自身が初優勝した『女子ゴルフ米国ツアー エビアンマスターズ2011』で再び返り咲いた。
試合後の優勝インタビューでは、感極まって涙をこぼしつつも、下記のような日本へのエールを贈る宮里選手。彼女の思いに、勇気づけられたという人も多い。
「自分の中でも特別なこの大会で、また優勝することができてとっても嬉しいです」「このシーズンの初めは、(地震や津波など)正直大変なことがたくさんありました。だからこそ、日本に良いニュースを与えたい!という思いがつのっていき、結果として私の原動力となってくれました」
引用:Golfweek
2011年7月24日
この表彰式の最後には、日の丸を持ったパラシュートが空を舞い、地元フランスの人たちから温かな祝福の拍手が宮里選手に送られた。
乾貴士 サッカーW杯活躍の予兆 バルセロナ対エイバル
平成29年(2017年)5月21日
今年のFIFA ワールドカップ ロシア大会で“驚きの活躍をした5人”に選出された乾貴士選手。彼の活躍をFIFAはこのように称賛している。
「ベティスへの移籍が決まった乾は、日本の4試合で驚くほど印象的だった。サムライブルーの古典的なスタイルを、鮮やかなパスと止まらないダイナミックなプレーで見せつけた。特に彼は発想力と予測不可能性で、サイドとゴール前でのクリエイティブなプレーの中心として明るく輝いた」
引用:サッカーキング
2018年7月17日
ワールドカップという大舞台で、世界にその存在感を見せつけた乾選手。実は、この活躍の予兆は、すでに1年前にはあったということをご存じだろうか?
東京、上野動物園にジャイアントパンダの赤ちゃん『シャンシャン』が生まれ、国民から多くの注目が集まった2017年。
この年に、名だたる強豪クラブチームが集結するスペインのサッカーリーグ『リーガ・エスパニョーラ』で、日本人として初の快挙を成し遂げたのが、当時エイバルに所属していた乾選手だ。
舞台はリーガ・エスパニョーラ最終節の対バルセロナ戦。格上とはいえ、優勝をかけていたバルセロナは、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの“MSN”といった、超エース級の選手たちを先発で出場させる。
エイバルにとっては、対戦相手がバルセロナ、かつアウェイという非常に厳しい状況だった。しかし、この試合はまさかの展開で幕を開ける。
前半7分、最初にゴールネットを揺らしたのは、なんとエイバルの乾選手だった。ここから、彼の活躍は止まらない。60分、右サイドからつながったパスを、左足ハーフボレーで突き刺し、リードを2点と広げたのだ。
格上のチーム相手へのゴラッソ(素晴らしい得点)を決めた乾選手に、現地のエイバルサポーターも、多くの称賛を送った。
この後、バルセロナからの猛反撃により、惜しくもエイバルは勝利を逃すが、乾選手はこのゴールで、日本人として初めて、強豪チーム・バルセロナから得点を奪った歴史的選手となった。かつて、あの中村俊輔選手も成しえることができなかった偉業である。
まさに、この時から乾選手のワールドカップ活躍への軌跡はスタートしていたといっても過言ではない。
最後まで見逃せない平成のスポーツ
記憶に残る数々の名試合、名プレーで私たちに多くの熱狂と感動を与えてくれた、アスリートたち。
スポーツ好きであれば、平成が終わる最後の最後まで、その活躍を見届けたいものだ。
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超一流の選手たちの活躍は、我々にも良い刺激を与えてくれるはずだ。
放送予定
■全米オープンテニス
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(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)