歌手・中森明菜(49)が、NHK紅白歌合戦で4年ぶりに公の場に姿を現しました。歌唱中の視聴率42.9%(ビデオリサーチ調べ。関東地区。以下同)を記録。明菜復活に対する注目度の高さを証明しました。
12月、明菜が紅白に出場するかどうかが報道されているとき、記事では再三再四このような記述を見掛けました。“11月15日出演のNHK『SONGS』(土曜、23時〜)では5.7%をマーク。同番組は主に3%台のため、かなり高い数字である。”
基本的に1人の歌手で30分構成する『SONGS』は昨年、総集編を含め、40回の放送がありました。そのうち17回が3%台で、平均視聴率は3.62%です。
たしかに、中森明菜出演時の5.7%はかなり高い数字です。しかも、すべて過去映像のみで構成されていたため、いかに視聴者が明菜を渇望していたかがわかります。
実は、明菜以上に視聴率を獲った歌手は3人います。以下が2014年の『SONGS』出演歌手視聴率ベストテンです。
1位 9月27日 6.7% クリス・ハート
2位 3月1日 6% ゆず
3位 11月1日 5.9% 中島みゆき
4位 11月15日 5.7% 中森明菜
5位 9月13日 5.1% Kiroro
6位 10月4日 4.8% May J. 秦基博 手嶌葵
7位 8月23日 4.4% ドリカム
8位 9月6日 4.3% 森山直太朗・吉田山田
9位 5月31日 4.1% 松田聖子
10位 7月19日 4% 高橋真梨子
10位11月30日 4% テイラー・スウィフト(日曜17時30分からの放送)
3位は、現在放送中のNHK連続テレビ小説「マッサン」の主題歌「麦の唄」を歌っている中島みゆき。あまりテレビに出ない彼女の出演、それ自体にかなりの価値があるのでしょう。「空と君のあいだに」「恩知らず」「世情」「地上の星」という名曲を披露しました。
2位は、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の主題歌「雨のち晴レルヤ」を歌ったゆず。ドラマが佳境を迎えた主演の杏も出演しました。この高視聴率は、ゆずの力はもちろん、3月1日というタイミング、杏という旬な女優が登場したことも大きく関係しているでしょう。
高視聴率を誇るNHK連続テレビ小説関連の歌手が2、3位を占めたなか、1位に輝いたのはクリス・ハートでした。この日は、Kiroro、木山裕策、中島みゆきの曲を歌いました。
近年のテレビ界では、外国人が日本を褒める番組が急増し、視聴率を獲っています。これは、クリス・ハートの年間1位獲得と密接な関係があるように思います。日本の良さを存分にわかっている外国人が日本の心を歌う。クリス・ハートは、まさに時代にハマった歌手と言えるでしょう。
ちなみに、クリス・ハート出演の9月27日は、御嶽山の噴火がありました。大きなニュースがあったため、『SONGS』の前番組である『ニュース・気象情報』が7.2%も獲っています。そのため、6.7%を叩き出せたという背景も見逃せません。
視聴率は複合的な要素から成り立っており、前番組や裏番組が大きな影響を及ぼすからです。参考までに、前番組『ニュース・気象情報』の視聴率を記した上で、先ほどの年間視聴率ベスト10を見てみましょう。
ニュース・気象情報 SONGS 歌手 ±
9月27日 7.2% → 6.7% クリス・ハート —0.5
3月1日 4.9% → 6% ゆず +1.1
11月1日 2.6% → 5.9% 中島みゆき +3.3
11月15日 3.9% → 5.7% 中森明菜 +1.8
9月13日 4.3% → 5.1% Kiroro +0.8
10月4日 5.8% → 4.8% May J. 秦基博 手嶌葵 —1.0
8月23日 4.4% → 4.4% ドリカム ±0
9月6日 3.3% → 4.3% 森山直太朗・吉田山田 +1.0
5月31日 2.4% → 4.1% 松田聖子 +1.7
7月19日 5% → 4% 高橋真梨子 —1.0
こう分析すると、中島みゆきの強さが目立ちます。中島みゆき目的でチャンネルを合わせた視聴者が多かったわけです。続いて、中森明菜、松田聖子の順になります。
奇しくも、その3人が2014年紅白歌合戦の目玉となったのでした。
(文=シエ藤)