人生を諦めかけていたコミュ障女子大生がもっとありのままの自分を見せようと思った理由

momikokiji

この本は一見すると就活生のために就活テクニックを伝授するような感じがしますが、私にとってこの本は、「コミュ障を脱却するための教科書」です。

ただ、最初から順番通りに読むのはコミュ障にはあまりオススメできません。この本の「ミスコンに優勝したけど自分に自信がない女子アナ志望の就活生」という主人公に拒絶反応が出る恐れがあるからです。正直、私は最初に読んだ時から約3週間、ずっと傷口に塩を塗りこめられているような気分でした。

「大事なときに、頭が真っ白になって、うまくいえない」と悩んでいる人は、不器用かもしれません。でも、けっして人として何かが欠けているわけではありません。むしろ、嘘をついたり、適当なことを言ったりできない、優しくて真摯な人たちなのです。(『面接で泣いていた落ちこぼれ就活生が半年でテレビの女子アナに内定した理由』まえがきより)

まえがきにあるように、著者の霜田さんは決して私たちの敵ではありません。しかし、その次のページから始まるのは「ミスコンに優勝した」、「女子アナ志望の就活生」を「すごくない星の人」として救っていく話です。そのため、順番通りに読んでいった私は「こんなにきらびやかな肩書きを持つ人が“すごくない星の人”だったら私はどのくらい深い闇に紛れて生きて行かなければならないのだろう……」と、完全に出鼻を挫かれました。

同じように考えてしまうこじらせ人間には、まえがきを読んだ後、第4章からあとがきまでを先に読むことをオススメしたいです。第4章「会話の“命綱”を用意しておく」からは、実用的なフレーズがたくさん紹介されていて、「あっ! こういう時はこれを言えばいいんだ!」という発見があり、まさに「コミュ障を脱却するための教科書」になっています。

「“他人”を演じようとする人は思いを伝えられない」

ただ、会話の“命綱”を用意しておいたところで、コミュ障は「死ななかっただけ」にすぎないと思います。その次に何をするのかというところでグッと来るのが第1章「なぜ肝心なときに、肝心なことを伝えられないのか」の最初の見出しである「“他人”を演じようとする人は思いを伝えられない」という言葉です。

まず、コミュ障を脱却したい、自分を変えたいと思った時にするのが、「自分はこうありたい」という理想の人探しです。そして、周りの友人や芸能人を引き合いに出して、私もこんな人間になれたらいいなという理想をどんどん固めていきます。しかし、それが後で足かせになっていきます。なぜならそれは、「私以外の他人を演じているから」です。

私の個人的なことを例に挙げると、私はずっと「かっこいい人」を理想にしていました。そこから「一匹狼」とか「ポーカーフェイス」という言葉のイメージばかりを追っていった結果、見事にコミュ障になり、自分の感情を外に出すのが恥ずかしいと思うようになってしまいした。そして、理想の自分を追っているつもりが、いつの間にか自分の首を絞めていました。

そんな時に「“他人”を演じようとする人は思いを伝えられない」という言葉に触れて、はじめて、自分がいま発している言葉は「自分が理想としている他人」が発している言葉を想像して口に出しているだけなのだということに気付きました。そして、その日からちょっとずつ自分の気持ちと素直に向き合うことにしてみています。まだまだありのままの自分を見せることに恥ずかしさも残っているし、コミュ障もなかなか完治しませんが、前よりはちょっと人間らしくなったかなと思います。

傷口に塩を塗りこめられても、我慢して、何度も読み返してよかったです。

(文:たなかもみこ)

今、あなたにオススメ
PAGE TOP