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「かつて少女だった私たち」が桜の季節に聴きたいAKB48の名曲5選

佐藤由紀奈

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佐藤由紀奈

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桜が咲くと、少しだけ泣きたくなるのはなぜなのでしょう。

気づけばもう春本番。世の中からは青春卒業ソングやウキウキな桜ソングが聞こえてきますが、アラサー女のわたしがこの季節にこそ聴きたくなるのは、『AKB48』の曲。
好きなんです。女の子のアイドルが!(決してあぶない人ではない)

というのは前提としてありますが、アイドルの中でもAKBの楽曲には10代の頃の「ひたむきさ」と「鋭さ」の両面を描いた歌詞が多く、大人になった今聴くと胸がキューッと絞られるような切ない感覚になります。
ある意味、もう今は失ってしまった感覚とも言えるのですが、20歳をとうに越えた今……特に春のこの季節に聴くと、意外と「また明日から頑張ろう!」という前向きな気持ちにもなれるのです。

ということで、女アイドルオタのわたしが独断と偏見のもと、春におすすめするAKB48の隠れた名曲を選んでみました!

大人になった少女たちが勇気をもらえるAKB48の名曲たち5選

【1】学校に残してきた「大切なもの」を思い出す曲

(作成者:AKB48)

『桜の木になろう』
(2011年 20thシングル曲)

学校に佇む1本の桜の木を「ずっとそこに居続ける存在」として描いたこの曲。
ミュージックビデオでは、高校時代に早世した友達(松井珠理奈)が桜の木となり、卒業して大人になった仲間たち(板野友美、大島優子、小嶋晴菜、高橋みなみ、前田敦子)を見守り続けるというストーリーになっていました。(『そして父になる』などで有名な是枝裕和氏が監督を務めたこのMVは必見の切なさです!)

Cメロのあっちゃん(前田敦子)のソロパートでは、“誰もみな 胸に押し花のような決心を どこかに忘れている”と歌われていますが、これこそが「桜の木」の本質ではないかとも思うのです。

つまり、「桜の木」は「将来を夢見たあの時の自分」。
学生の頃に夢見た自分の姿を思い出すと、今の自分を反省したり、進むべき道を見直したりする勇気をもらえる気がします。自分にとっての「桜の木」は何なのか、それぞれ思いを馳せながら聴いてほしい曲です。
 

【2】頑張る女の子は輝いている!と気づかせてくれる曲

『少女たちよ』
(2011年 3 rdアルバム『ここにいたこと』収録曲)

これはもう、まさに秋元康がAKBの子たちに贈ったような歌詞。誰もがすぐに輝ける世の中ではないですが、“少女たちよ 何もあきらめるな 悲しいことなんかすべて捨てて 全力で走るんだ!”というストレートな応援歌。

でも、もうわたしは少女じゃないので、聴いていると切ないんですよね……。当然わたしにも「少女だった時代」があって、その頃はきっとこんな風に脇目も振らずに頑張れたんじゃないかなと、アイドルというよりも過去の自分を羨ましく思ってしまいます。

切なくもなるんですが、メロディとメンバーのユニゾンがあまりにもキラキラしている曲なので、結局は「頑張っている女の子ってめっちゃかわいい!!」となってしまいます。
すると、この曲でいう「少女」は「頑張るオンナの姿」の比喩なのかも……と前向きにも受け取ることができて、「頑張る気持ちがあれば、一生少女なんだわ!」と都合のいい解釈をした大人のオンナの背中をものすごく押してくれる曲です(オンナってそういうものです)。

【3】上京して頑張る自分を応援してくれる曲

『摩天楼の距離』
(2010年 チームA 6th Stage「目撃者」公演曲)

歌詞としては、ブロードウェイの舞台を夢見てニューヨーク(きっとマンハッタン)にやってきた少女を、客観的な視点で見守っている内容。

AKBにも地方出身者はいますが、人気メンバーになれるのは一握り。それでも腐らずに歌って踊る子を描いたような曲であり、そこについ、自分の姿を重ねてしまうのです。

わたしは女優を目指したこともNYに行ったこともないですが、この曲を聴くと18歳の頃に夢をいっぱいかばんに詰め込んで、群馬県から上京したことを思い出します……。
“神様 彼女にご加護を”という歌詞は今の自分に言ってもらった気になれるので、上京して頑張る人へのエールとなる曲です。

【4】大人になった嬉しさと寂しさ両方に浸れる曲

『逆上がり』
(2009年 チームK 5th Stage「逆上がり」公演曲)

通っていた小学校を久しぶりに訪れ、鉄棒を見て逆上がりを練習していたことを回想しているうちに、大人になって「手に入れたもの」「失ったもの」両方に気付かされて切なくなる……という曲。

つまり、逆上がりは簡単にできるようになったけれど、それができるように好きな子と一緒に練習したあの時間は戻らない、ということです。大人になると、できることは増えるけれど、反対にひたむきさって失われてしまうものですよね。うーん、どっちが良かったのでしょう……。

切ない歌詞ですが、曲調は明るく爽やかで、またその対比がいいものだなあと浸ってしまいます。いいことも悪いことも含めて「大人になったんだなあ」と感じられる曲です。

【5】言い訳できないくらい……恋がしたくなっちゃう曲

(作成者:AKB48)

『言い訳Maybe』
(2009年 13thシングル曲)

第1回選抜総選挙の選挙曲でもあり、AKBのイメージを一般層まで浸透させた代表曲でもあります。実は、わたしが全てのアイドルソングの中で一番大好きな曲です!

この曲の最大の魅力を一言で表すとすれば、「爽やかな苦しさ」。
最初は認めたくなかった恋心が、最後には言い訳できないくらいに溢れてしまう、というストーリー仕立ての歌詞になっています。「本当は好きだってわかっているけど、言い訳したい」という心境を“青い空には 雲はひとつもない”という爽やかな表現に置きかえる秋元康の感性には脱帽です。

10代ならではの人を好きになるという不器用さと煌めきが、なんとも切なくていとおしい!
イントロのメロディアスなギターサウンドも歌詞の切なさに拍車をかけ、まさに春から初夏に向かっていくような疾走感を感じます。
アイドルならではの、つたなくて初々しい歌声だからこそ伝えられる爽やかさです。
こんな風に、余計な駆け引きなしで、まっすぐな恋をしたい! そう思ってしまう曲です。

大人になっても、色とりどりの感情が咲くのが春

本当はもっと他にも語りたい名曲はあるのですが……なにせAKBは本当に楽曲数が多いので(姉妹グループや派生ユニット含めると1000曲を越える!)、今回は「春らしさ」「切なさ」をより感じる曲を厳選してみました。
四季の中でも、春は終わりと始まりが交差する季節です。経験を重ねた大人だからこそ、寂しい、怖い、嬉しい……たくさんのことを思い出して、色とりどりの感情が心に咲くのかもしれません。
ここはひとつ、とことん切なくさせられる曲を聴いて、過去に思い馳せるというのもおすすめです。
「また明日からがんばろう」と思えるパワーを充電するために。

(文:佐藤由紀奈)

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