Social Trend News

更新

有名作家を多数輩出!!「『このミステリーがすごい!』大賞」が本当にすごい4つの理由

ソーシャルトレンドニュース編集部

Creator

ソーシャルトレンドニュース編集部

Read more

Share!!

その年に発表されたミステリー小説を順位づけする「このミステリーがすごい!」というランキングがあります。
人気のある本の指標としてテレビや雑誌で取りあげられることの多いこの賞は、東野圭吾や宮部みゆきといった著名な作家が上位に名を連ねることで有名です。

一方で名前がよく似た「『このミステリーがすごい!』大賞」というものがあります。
こちらは「エンターテイメントを第一義の目的とした広義のミステリー」を対象に、毎年作家の卵たちから多くの応募を集めている新人賞です。

直木賞や芥川賞ほど世間では認知されていない賞ですが、実はとても「すごい!」ことがあります。
医療ミステリーとして有名な作家や、佐藤健主演映画の原作を輩出しているのです。

1.受賞作家が「すごい!」

「選ばれれば作家デビューでしょ? すごいのは当たり前じゃん」と思ったあなた。そんな次元ではありません。

仲村トオルと伊藤淳史のW主演でドラマ化、更には映画化までされた人気作品、『チームバチスタの栄光』。実はこの作品、この賞を取ってから出版が決まったのです。今でこそ有名な作家となった海堂尊ですが、彼もこの賞の出身だったのです。

また、先日芥川賞と直木賞が発表されました。お笑い芸人のピース・又吉直樹の芥川賞受賞で注目が集まっていますが、実は直木賞をとった東山彰良は第1回の「『このミステリーがすごい!』大賞」で銀賞を獲得しています。
ミステリーの登竜門として、名だたる作家を多数輩出しているのです。

2.賞の種類が「すごい!」

通常の小説賞と言えば大賞のみ、優秀賞や佳作があってもその作品が書籍化することは滅多にないことです。しかし、こちらの賞では大賞と優秀賞がそれぞれ出版されます。しかも受賞数に上限はないので、大賞が複数ということもよくあるのです。更に、審査員が「賞は取れなくても小説として出版したい」と思った作品は“隠し玉”として日の目を見ることができます。
日本テレビ系で春にドラマ化された『ドS刑事』の原作者である七尾与史は、第8回で隠し玉に選出され作家デビューとなりました(受賞作品は『死亡フラグが立ちました』)。
ちなみにこの第8回では最終選考の7作品中6作品が書籍化されています。
面白いと思った作品には賞をとれなくてもチャンスを与える。小説デビューを夢見る作家の卵たちはもちろん、面白い作品を読みたいと願う読者にも嬉しいシステムですね。

3.映像化作品が「すごい!」

先ほどご紹介しました『チームバチスタの栄光』はもちろんですが、他にも著名な俳優・女優で映像化された作品が多数あります。

例えば第9回大賞受賞作品の乾禄郎『完全なる首長竜の日』は、佐藤健と綾瀬はるかのW主演で実写映画化されました(映画名は『リアル~完全なる首長竜の日』)。Mr.Childrenが主題歌を担当したことでも話題になりました。

また、『告白』の中島哲也監督の3年ぶりの作品として大きな話題を呼んだ『渇き。』。こちらも大賞作品が原作になっています(原作名は深町秋生『果てしなき渇き』)。
このように映像化作品は、キャストはもちろん監督やそのスケールまでも、他の文学賞とは比べ物にならないのです。

4.何といっても小説が「すごい!」

当然ですが、受賞作品は内容が「すごい!」です。
今年14回目を迎えるこのミス大賞。多数の作家を輩出していますが、中でも私一押しの作家をご紹介したいと思います。第8回で大賞受賞をした中山七里です。
その時の受賞作品は『さよならドビュッシー』です。

こちらの作品は、主人公はピアニストを目指す15歳の少女。火事に遭い、従妹と祖父を亡くし自身も大やけどで体に障害を残してしまいます。そういった逆境の中、ピアニストを目指して奮闘するという字面だけでは「スポ根」みたいなお話。しかし、もちろんミステリー要素は多いです。事故後に主人公が何者かから命を狙われ、周囲で殺人事件も発生します。そして最後には衝撃の事実が明かされます。

ちなみに、大賞を受賞した第8回では応募した2作品が最終選考に選出されていました。350作品の応募の中から7作品に絞られた最終選考作品に残るだけでも難しいことのはずです。それにも関わらず、どちらも選出されているというのは、彼の卓越した才能を表しています。
この時に、惜しくも大賞を逃した作品も『連続殺人鬼 カエル男』として書籍化されています。『さよならドビュッシー』とは異なりダーク色が強いのが特徴ですが、ミステリーの要素としてはどちらも申し分なし。異なるテイストではありますが、読者をアッと言わせるラストは共通しています。

有名作家の作品は面白いケースがほとんどかと思います。それに比べると無名作家の多い新人賞には当たりはずれが顕著に表れるのかもしれません。
しかし、無名だからこそ早いうちに目をつけられますし、有名になった時の気分は一入だったりします。
第14回「『このミステリーがすごい!』大賞」は、8月下旬に最終候補作品が出そろいました。公式ページでは、現在これらの作品の冒頭部分を立ち読みすることができます。10月の大賞発表を前に、将来の人気作家を一足先にチェックしてみるのも楽しいかもしれませんね。

(文:平間隆秀)
■関連リンク:『このミステリーがすごい!』大賞

PAGE TOP