今週の開催に迫ったゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016。
今回で26回目の開催を迎える本映画祭の中で、気になるのが大賞となるファンタスティックオフシアター・コンペティション部門の行方に他ならない。
この部門は1990年の第1回から続くゆうばり映画祭の“象徴”ともいえる賞で、多くの若手クリエーターを世に輩出しているコンペ企画だ。
過去には、熊澤尚人、山下敦弘、西村喜廣、井口昇、入江悠、吉田恵輔、吉田浩太、奥田庸介ら現在映画界で活躍している多くのクリエーターが名を連ねる、若手監督にとっての登竜門的部門でもある。
そして、26回目を迎えるオフシアター部門には国内外から471作品(国内390件、海外81件)もの作品が集まり、そのうちの9作品が上映されることになった。
はみ出しもの祭り!
今年のコンペティション部門はこれだ!
孤高の遠吠 小林勇貴
実際に静岡県富士宮市で起きた、複数の暴力事件をベースにした物語を、本物の不良出演で描いている。野蛮と轟音とロマンティックが加速するバイオレンスムービー。
Dream Theater 遊佐和寿
SMクラブ「夢香」の夢香女王様は客を装った殺し屋に突然襲われるが、返り討ちにして、殺し屋を拘束・拷問する。実は夢香女王様は恐るべき経歴の持ち主だった……。
そして、殺し屋の救出に来た特殊部隊100人との激しい戦いが始まる。
監督の遊佐和寿は『探偵はBARにいる』シリーズや『リアル鬼ごっこ』(2015)にガンエフェクトとして参加している。
いろんなにおいのワカモノだ 伊藤祥
死なない女、箱を背負う男、新人風俗嬢。三つの短編ストーリーを一つの作品にまとめた伊藤祥監督、初監督作品。
バイバイ、おっぱい 鋤崎智哉
しがないサラリーマン、邦夫の胸が突然膨み、(推定)Cカップのオッパイが現れる。
倦怠期のカップルの関係が“男のおっぱい”によってどう変わるのか……。
山本政志監督『水の声を聞く』で雅な悪女を演じた中村夏子が邦夫の同棲相手、秋奈役を演じる。
狂犬 ヤマシタマサ
元エリート刑事が事件捏造に手を染め、トコトン底辺まで落ちた時に彼が観た世界の不条理。「探偵映画、刑事映画、掏摸映画を撮りたい」という監督が3要素を凝縮させた作品。
親切ですね ソ・ジェイク
深夜、雨が降る湖のほとり。ひとり釣りをする男に、下着姿の見知らぬ女が走り寄り、助けを求める。その女は口がきけなかった。
女を助けるために一緒に山中に向かった男が見たのは、大きなかばんの中で手足を縛られ血を流し、助けてくれと絶叫する女の夫の姿。女は男にスコップを握らせ、早く殺してくれと懇願する。極限状態の欲望を描きだす傑作。
数多の波に埋もれる声 宗野賢一
タクシーに乗り込んできた女は運転手に札束を渡すと、目的地も告げず、ただ走り続けろと言う。
その札束の中の一枚には血痕が……。その血は一体誰のものなのか? そしてその女は誰から逃げているのか?殺人を犯してしまった女と、タクシーの運転手の2人の逃走劇。
美女捨山 竹重洋平
美女は欲深く金がかかり世の男達を浮つかせる悪しき妖怪とされ、この国では、二十歳を超えても美しい女は山に遺棄することが法律で定められていた。民話をモチーフにしたダークファンタジー。
脱脱脱脱17 松本花奈
ある事情で未だに高校生をやっている34歳のノブオと、クラスメートで嘘泣きが得意なリカコが繰り広げる父親探しの物語。永遠の17歳を2人は抜け出せるのか……。
the peggiesの音楽も印象的な前代未聞の青春映画。
昨年はAV監督森川圭が受賞!今年は誰が続くのか……!?
審査委員長には映画『さらば あぶない刑事』で脚本を手がけた柏原寛司氏を筆頭に、「仮面ライダー龍騎」で知られる俳優の須賀貴匡、女優の山田キヌヲらが審査員としてノミネート全9作品を審査する。
昨年はAV監督の森川圭監督の『メイクルーム』がグランプリを受賞。今期映画祭において続編『メイクルーム2』が上映予定となっている。
今年は2月28日(日)の授賞式でグランプリが決定する。
この映画祭、この部門にルールらしいルールはないことがわかるラインナップ。日本映画をぶっ壊す、9つの作品から目が離せない。
(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)
■関連リンク
≪ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016≫
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開催期間:2月25日(木)~2月29日(月)
公式サイト:http://yubarifanta.com (PC・モバイル共通)
Twitter: https://twitter.com/yubarifanta
Facebook: https://www.facebook.com/yubarifanta?fref=ts
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