今の女の子の憧れの存在は誰?
InstagramをはじめとするSNSが浸透した現代、女の子が憧れ、影響を受けるインフルエンサーは多様化してきていると言えます。
そんなインフルエンサーのなかでも、新しさという意味で注目したいのが、“ガールクラッシュ”な女性たち。
ガールクラッシュとは
同性である女性が思わず惚れ込んでしまうような魅力を備えた女性を指す言い方。
かわいいだけでなく、格好良い、憧れる、といった好印象の総体として捉えられる。
もともと韓国で流行した語とされる。
(引用:日本語表現辞典 Weblio辞書)
もともとは韓国のアイドルグループに対して使われる言葉として日本へ入って来たといわれています。
そこからいかにして“ガールクラッシュ”という言葉が浸透し、受け入れられていったのか、その変遷について紹介していきたいと思います。
使われ始めたのは7年前
“ガールクラッシュ”なグループとして日本にやって来たパイオニアといえば、『2NE1』ではないでしょうか。
東方神起などと並び、2011年の第一次韓流ブームに『I AM THE BEST』という楽曲を引っ提げて日本でデビューした彼女たち。
派手な衣装とメイク、そして過激な楽曲は、それまでの韓流アイドル、そして女性アイドル像をぶち壊すものでした。
2011年は、ちょうど日本ではAKB48が人気を集め始めた頃。
可愛らしい制服を着た女の子たちが「君が大好きだ」と歌いながら人気を集めていたのに対し、「私が一番イケている」と高らかに歌い上げている2NE1の姿は、筆者もかなり衝撃的だったのを覚えています。
この『I AM THE BEST』という楽曲は日本でもパソコンのCMにも起用され、一躍人気曲に。
ですが、まだこの当時“ガールクラッシュ”という言葉は、隣の国、韓国のアイドルたちに向けて使われるものに留まっていました。
2018年、日本の女の子に変化が
第一次韓流ブームから約7年。
日本の女の子たちの理想のインフルエンサー像の多様化とともに、“ガールクラッシュ”という言葉がより深く浸透し始めています。
圧倒的女子人気を誇るBLACK PINK
最近、女子高生を中心に、若い女の子の間で圧倒的な人気を誇っているのが『BLACK PINK』という韓国の4人組ガールズグループ。
2NE1の妹分として2016年にデビューを果たしてから、動画チャンネルを中心に瞬く間に世界中から注目を浴び、日本でも3月31日に開催されたファッションイベント「東京ガールズコレクション 2018 SPRING/SUMMER」への出演を果たしました。
彼女たちが象徴的なのは、ファン層がほとんど女性ということ。
最近人気のK- popグループといえば、TTポーズで有名なTWICEがいますが、この2つのグループの圧倒的な違いはファンの男女比率。
楽曲を見てみると、TWICEは好きな男の子を健気に思い続けている乙女心について歌っているものが多いのに対し、BLACKPINKの歌詞に出てくる女の子はもっと強気。
好きな気持ちをはっきりと表しながら、男の子に積極的に自分から仕掛けていく、THE肉食系。
素直で赤裸々な気持ちを歌っているBLACK PINKは、まさに女の子が憧れる“ガールクラッシュ”なグループなのです。
派手なスタイリングやメイクも、セクシーでありながら、決して男の子に媚びるのではなく、自分たちの強い意思を表しているように見て取れます。
今や彼女たちの女子人気は、国を超えて世界中で根強いものに。
日本のテレビや雑誌でも、たびたび特集が組まれているのを目にするようになりました。
“ガールクラッシュ”な存在に憧れる女の子たち
インタビューでは、一人ひとりのメイク方法や、美容のために気をつけていること、さらには自身のコンプレックスや、プライベートについて深く掘り下げられており、アイドルグループとしてだけでなく、一人の女性としてのリアルな声に世の女性たちの注目が集まっていることが分かります。
約7年前はK-popグループを形容する言葉でしかなかった“ガールクラッシュ”ですが、今ではよりファッションやライフスタイルなど、より深く女の子たちへと影響を及ぼすインフルエンサーのジャンルの一つとして、地位を確立しはじめているのです。
日本でも強めな女の子が増えている……!?
そんな頼もしい“ガールクラッシュ”な女性が、ここ日本でもエンターテイメントの世界で登場し始めています!
今注目のグループBananaLemon
圧倒的なビジュアルと、センセーショナルな楽曲で突如として現れた、ダンス&ヴォーカルグループ『BananaLemon』はこれから要注目。
彼女たちを見て、まず目につくのはカラフルで超個性的なファッション。
タイトでセクシーなトップスに、ビッグシルエットのジャケットを合わせた、海外のストリートファッションを踏襲したスタイリングは日本ではかなり珍しいのではないでしょうか。
筆者はYouTubeで存在を知ったのですが、サムネイルを見た時はまさか日本のアーティストだとは気付きませんでした。
このグループのプロデューサーを務めているのは『三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE』や、『少女時代』も手掛けたSTY氏。
派手なビジュアルだけでなく、最新のダンスミュージックやR&B、HIP HOPのテイストを取り入れた楽曲はすでに早耳なリスナーの間で話題となっています。
『GIRLS GONE WILD』という代表曲の歌詞に出てくるのは東京で頑張っている女の子。
仕事も遊びも一生懸命で、男の子には媚びず、女友達を大切にしながら自分のスタイルを貫く強さを持っています。
この曲は渋谷のギャルマインドを象徴している!と、すでに109ライターのザバット麗子さんも記事にしていました。
「中毒注意‼︎ 「BANANALEMON(バナナレモン)」の熱すぎる新曲は渋谷の女の子たちを代弁してるぞ〜‼」
ミュージックビデオのYouTubeコメント欄を見ると、英語のコメントがたくさんあり、日本国内よりも先に、海外から人気に火が付いているようです。
先程紹介した『2NE1』や『BLACKPINK』も、動画チャンネルを通して、デビュー以来一気に海外のファンを集めたことで成功しているので、この流れは、現代においてごく自然といえるでしょう。
そんな彼女たちは日本発の“ガールクラッシュ”グループとして、これから国内でもさらなる活躍が期待されます。
メンバー個人のインスタグラムアカウントにも、それぞれの色が出ているので、ファッションアイコンとしても注目したいところです。
さらに広がるガールクラッシュ
このようにして、日本でも独自の“ガールクラッシュ”文化が生まれ始めている現在。
女性雑誌の『NYLON』4月号では、今をときめく二階堂ふみ・森川葵・SUMIREらが「ガールズクラッシュ」をテーマにしたスタイリングで表紙を飾っています。
性格もファッションの趣味も違う3人それぞれが、女優として自分らしく個を表現し、素直に生きている格好良さが、ここでいう“ガールズクラッシュ”なのでしょう。
必要なのは女の子の代弁者
先日、世界の国会議員が参加する列国議会同盟から2017年の各国議会の女性進出に関する報告書が発表されました。
193カ国の中で日本の順位は158位。
この順位は先進国では依然最低推移で、アジア地域でも中国(71位)、韓国(116位)より低いそうです。
一見、男女の性別間の差は埋まりつつあるように見える日本ですが、他の国と比較してみるとかなり遅れをとってしまっているようです。
そんな時代背景の中でも「女性らしくいたい」から、「自分らしくいたい」という価値観へと変化しつつある日本の女の子。
日々、社会とのちょっとした意識のズレや、自分らしくいられない生きづらさを感じているのかもしれません。
そんな女の子たちの気持ちを代弁しながら、力強く生きていく姿を見せてくれる“ガールクラッシュ”な存在こそが、今求められているインフルエンサーなのかもしれません。
(文:奥村千尋)