Twitterのタイムラインから渋谷駅の交通広告まで、最近あちこちで名前を目にするようになった「SHOWROOM」。
(公式サイトより引用)
サイトには、「アーティストやアイドル、タレント等の配信が無料で視聴でき、さらに誰でもすぐに生配信が可能な双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間」と書かれています。
「双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間」。
なるほどなるほど……。
うん。全然分からない!
今年で26歳。アラサー世代に突入したものの、まだまだ気分は女子大生だったのに、あれ、ちょっと待って? なんか若者文化についていけてない……? ということで……。
実際にSHOWROOMで動画を配信、かつ2017年度SHOWROOM AWARDでイベント成績優秀賞を受賞したという、いわばSHOWROOMのプロともいえる、現役グラビアアイドルの陽菜 菜々羽(はるな ななは)さんに、SHOWROOMについて聞いてみました!
続ければファンはついてくる!
(元 病ンドル。現在はグラビアアイドルとして活動中の陽菜 菜々羽さん。以下、はるなさん)
――今日はSHOWROOMについて教えてください! はるなさんといえば、SHOWROOMイベント(※)一位の常連さんなんですよね?
(※)イベント:SHOWROOM内で定期的に開催されるもの。配信者は自分で選んだイベントに参加することで順位を競い合う。
はるなさん :ありがとうございます。11回連続でイベント1位を獲ったこともあるのですが、始めたころは当然ですけれど全然人が来なかったんです。毎日つらかった(笑)。
――そもそもどうしてSHOWROOMを始めようと思ったんですか?
はるなさん:きっかけは撮影会(※)の集客のためでした。
芸能界で活動するために少しでも名前を知ってほしくて撮影会モデルを始めたんです。そこで、「撮影会への集客のためにSHOWROOMをやってほしい」と撮影会の運営の人にお願いされて始めたのがキッカケ。
(※)撮影会:運営事務局に撮影料を支払うことで誰でも所属モデルを撮影することが出来る場。
はるなさん:ただ、SHOWROOMってお話をする場だから、お客さんが来ないと本当に独り言になるんです。だから最初はすごく嫌であまり配信していませんでした。でもその後に「病ンドル」(※)の新メンバー募集イベントがあって、1位をとるために頑張って毎日配信していたら段々と人が来るようになって。その時に、『あ、ちゃんと配信すればお客さんも来てくれるんだ』って感じました。
(※)「病ンドル」:メンバー全員が“病んでいる”アイドル。はるなさんは2017年に加入。その後2018年3月に脱退。
「ファンがファンを連れてくる」独自のルールが生む“横のつながり”
――配信を続けるとファンがつくんですね。(にしても毎日はキツイな……)。具体的に気をつけていることやお客さんを集める方法はあるんですか?
はるなさん:実は私は特に何もしていません。私のファンのことを「はるナー」と呼ばせていただいているんですが、はるナーのみんながファンを呼んできてくれています。SHOWROOMはとにかく“横のつながり”が大切なんです。
(実際の配信画面)
星を集めに他のルームへ「SHOWROOMならではの独特なルール」
――横のつながり……?
(なんか急にサラリーマンみたいなこと言いだしたぞ……)。
はるなさん:SHOWROOMでは独特のルールがあって、応援するための“星”(※)を集めるためには、他の人の“ルーム”(※)に行って一定時間視聴する必要があります。だからみんな星を集めるために他の人のルームに行くんです。逆に他のルームのファンの方が私の部屋に星集めに来てくれることもあって、そのおかげで撮影会や病ンドル時代のライブなどでは、ファン以外の方から「君、星集めの時によく見るよ。毎日配信してるよね」って言われたことも多かったです。
(※)星:ルーム内で応援する際に使うアイテム。他にも様々な方法で集めることが出来る。
(※) ルーム(ファンルーム):配信者とリスナーがチャットで交流できる場。配信者毎に個別のファンルームが存在している。
――推しメンの応援のために他の子の応援に行く、なかなか独特ですね。
はるなさん:そうですね。でもおかげで新しい方に知っていただけるきっかけにもなるんですよ。時には私が自分のルームで「友達(配信者)の応援のために星を投げてあげて!」とお願いすることもあります。SHOWROOMは横のつながりがとにかく大切になるので、自分がイベントで星が必要な時は友達の配信者のファンの方に応援として助けてもらうし、友達がイベントの時は私のファンにお願いして助けてもらったりしています。
たまに知らない配信者さんが「星投げました!」みたいな形で宣伝に来ることもあるんですが、イベントでいつも助けてくれる子って決まっているから、結局はその子たちと助け合っています。
はるなさん:だからファン集めのために私が何かを特別頑張っているというよりも、ファンの方がチームとなって頑張ってくれているんです。みんなで他のルームに応援に行って、代わりに応援を返してもらうみたいな。他にもファンの方が他のルームで私の宣伝をしてくれたり、色んなルームで星を投げてその御礼に他のルームのファンの方がお返しにきてくれたり……。今の私がSHOWROOMで活躍出来ているのは、本当に文字通りファンの皆さんのおかげです。
歌とダンス勢は強敵 勝つためには競合調査も
――「イベント1位の秘訣はファンにあり」ですね。イベントはどうやって選んでいるんですか?
はるなさん:やりたいイベントをとにかく探します。あとは参加するライバルの配信者さんも少し見て、あまりにも強敵揃いだったら辞めることもあります(笑)。もちろん本気で勝ちたいイベントであればどんなに強敵がいても頑張りますけどね。
――SHOWROOMではどんな人が強いんですか?
はるなさん:歌を歌ったり、楽器が弾けたりする人は強いですね。あとはお話が面白い人とか……。単純に顔が可愛いって言うよりも、SHOWROOMでは特技がある人が強いイメージがあります。
――はるなさんの中での強敵はいるんですか?
はるなさん:ゆあら(※)ちゃんかなあ。一回イベントで戦った時に、彼女、全く寝なくて(笑)。そうしたら私も寝るわけにはいかないってことで結局イベント期間中2徹しました。あれはさすがにしんどかった……。仲はいいんですが、強敵なのでもう戦うのは嫌ですね(笑)。
(公式サイトより引用)
(※)ゆあらさん:配信者。マルチシンガーソングライターアイドルとして活動。
「アイドルなのに素」ファンが陽菜菜々羽を応援する理由
――SHOWROOMで人気の配信者になる秘訣ってあるんですか?
はるなさん:いや~、正直ないです(笑)。特になにか意識していることもなく、とにかくいつも素でいます。配信中に普通にご飯を食べることもあるし、すっぴん部屋着の時もあるし、ごろごろしてる時もあります(笑)。もしかしたら「アイドルなのに素を出している」っていう部分に面白味を感じてくれる方が多いのではないかと思います。
(インタビュー中もフレンドリーなはるなさん)
はるなさん:でも中には「アイドルらしくしてよ」っていう方もいるので、配信者によっては「アイドル」としていつも完璧な姿で配信している子もたくさんいます。私、たまに撮影会で水着撮影をすることもあるんですが、いつも素でいすぎるからか、「女っぽい姿は見なれなくて恥ずかしい」って私のルームの方は来てくれないんです(笑)。本当は来てほしいのに!(笑)。
『SHOWROOM』は夢を叶える場所?
ファンがファンを連れてくる、ライバルでも助け合う、アイドルなのに素をさらけ出す……。
SHOWROOMの説明する「双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間」の意味が少し理解出来たような気がします。やったね!
ちなみにはるなさんいわく、「17Live(※)はとにかく可愛い子が多くて、ツイキャス(※)は言いたい放題」とのことでした(笑)。
配信ツールによって所属する人の雰囲気や特徴にも違いがあるようです。
(※)17Live:台湾発のLIVE配信&SNSアプリ。
(※)ツイキャス:無料ライブ配信サービス。
オーディションに通うもよし。路上ライブをするもよし。YouTubeに動画をあげたり、インスタグラムにキラキラとした写真をあげたり……。「これを使えば必ず自分の夢が叶う」なんてセオリー通りのものはない世の中で、自分の戦い方・場所、そして仲間を見つけることはとても重要。
そんな中でSHOWROOMもまた、彼女たちの夢を叶える新たな場であるようです。
今回インタビューに応じてくださった陽菜菜々羽さん。現在SHOWROOM内で開催されているミスヤングチャンピオン・オーディションイベントに挑戦中とのこと。
学びを早速活かして応援したいと思います!
(文:田中七海)