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中国でYouTubeはもう古い!?4億人が利用する「ライブ配信事情」を徹底解説!

黄 未来(こうみく)

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黄 未来(こうみく)

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日本でも徐々に広がりつつある、ライブ配信。
SHOWROOM、LINEライブ、最近ではFacebookやInstagramでのライブ配信も増えていますね。見たことありますでしょうか?

実は、お隣の中国では、YouTubeのような録画編集済みの動画よりも、リアルタイムのライブ配信が大人気! 2015年ごろからスタートし、20~30代の若者の間では、日常に欠かせない娯楽のひとつになっているのです。

この記事では、中国のライブ配信事情について、ご紹介したいと思います。

1.中国のライブ配信市場の状況

【1】歴史の変革 (2016年→2018年までの沿革)

ライブ配信業界が中国でブレークし始めたのは2015年。YYという企業が出したプラットフォームで、初期ではゲーム実況を中心に取り扱っていましたが、徐々にジャンルを拡大。このYYの成功を見て、われわれも!と、あれよあれよと、1年のうちに合計900社以上のライブ配信のプラットフォームを提供する企業が参入しました。

中国のインターネット業界の特徴として、とにかく動きが速いこと。そして、商機があると分かれば、様々なプレイヤーが一気に参入し、早々にレッドオーシャンになります。そこで激しい競争が起き、力が弱いプレイヤーが淘汰されるのですが、中国ライブ配信業界で言えば、それが2017年でした。スタートからまだ2年足らずで、既に過剰競争及び淘汰が始まったのです。この2017年末時点での視聴者は約4億人、市場規模は6300億円まで成長しました。

それでも、生き残った大手プレイヤーの牽引により、市場規模は伸び続け、来る2020年までには、視聴者5億人、市場規模は、1.6兆円になると予測されています。

【2】視聴者属性

視聴者の年代層は、おおよそこちらの分布となります。

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※参考文献:艾瑞咨询 2017-2018年 直播行业研究报告

30代前後のインターネット世代の男女が合計81.2%を占めるメイン層になっています。これは、ライブ配信自体が投げ銭形式のフリーミアム型のビジネスモデルであり、それ以上の世代(40代以上)には使いこなすことが難しいこと、そして、それ以下の世代(20代前半以下)では経済的余力が弱いことにも起因しています。余談ですが、中国では1980年以前とそれ以降生まれの世代では、インターネットを介した課金に対する精神的抵抗感に大きな隔たりがあると言われています。よって、ライブ配信のみならず、ECやフードデリバリー等、あらゆるWEBサービスは、1980年代生まれ以降の層をメインターゲットとして、デザインされています。

【3】特徴

日本でライブ配信というと、若い女性やタレントが画面越しにファンと交流する印象が強いのではないでしょうか。

中国では、いかんせん、市場が巨大なため、ありとあらゆるジャンルの配信があり、老若男女さまざまな配信主がいることが特徴的です。

その中でも、ライブ配信の主要ジャンルと言えば、エンターテインメント、ゲーム中継、ライブ配信販売、スポーツ中継、教育、経済チャンネルなどが挙げられます。

エンターテインメントひとつとっても、歌やダンス、トークをする配信者もいれば、お料理番組や大食い中継、屋台のお兄さんがひたすらじぶんの仕事風景を中継する等、さまざまな種類があります。

収益モデルとしては、日本と同様、視聴者から配信者への投げ銭形式がメインとなります。近年では、オフラインと融合したビジネスモデルを構築したいという業界の動きがあり、歌手やダンス、俳優等のオーディションイベントを兼ねた番組が人気です。

そして、中国のライブ配信では、知られざる舞台裏がありますため、次の章で解説していきたいと思います。

2.ライブ配信市場の裏話

【1】配信者とプラットフォーム側の契約とその内容

実は、多くの配信者は、ライブ配信プラットフォームとタレント契約を結んでいます。そして、会社が用意した設備の整った個室で、各々配信を行っているのです。契約内容は、会社や個人によってまちまちですが、代表的な契約内容が以下のような条約です。

・2年間自社プラットフォームで配信を行うこと(他社での配信はNG)。
・会社:配信者の取り分は、6:4~8:2。
・毎日3時間以上継続して配信を行う。月4日の休み(違反した場合は、罰金はないが、サイトでおススメ表示や上位表示されなくなる)。

近年、中国では、KOL(Key Opinion Leader)網紅(ネットアイドル)と呼ばれるインフルエンサーを目指す若者が急増しています。実際に、インフルエンサーを起用したWEBマーケティング市場も非常に大きく、トップクラスのファッション系インフルエンサーになれば、ライブ配信を通じた販売で日販数億円を叩き出すような規模感です。昨年、年間50億円を稼ぎ出す29歳のZhang Dayiさんの記事(※)が日本でも紹介され、大きな話題となりました。

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(c) Fairchild Fashion Media

画像引用:WWD

WWD「年収50億円の29歳、世界最強インフルエンサーの素顔」

このように、インフルエンサーを目指す若者、そして良質な配信者を大量に確保したいというプラットフォーム側のニーズが一致し、中国では年間6000億円の市場規模を持つライブ配信市場が誕生しました。

【2】実例(Yuanyuanちゃん)

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こちらは、筆者とライブ配信者のYuanyuanちゃん(右、21歳)です。彼女は、まだ駆け出しの歌い手の配信者であり、配信を始めてから1週間足らずだそうですが、既に3日間×3時間連続の配信で500元を稼いだとのこと。中国で最も物価が高いとされる上海市の平均月収が8000元であることに鑑みると、なかなかの収入水準と言わざるを得ません。

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Yuanyuanちゃんも、彼女の周りの友人も、皆ライブ配信に大変ハマっているそうで、最近では後輩の男性が、とある女性の配信主にあまりにものめり込んでしまったが故に、彼女から振られてしまったとか……!!

彼女に、なぜ中国では、日本型のYoutuberのような、コンテンツを、「一旦録画→ 加工 → 配信」とステップを踏んだ形式の配信はまったく人気がなく、リアルタイムのライブ配信のみが流行しているのか?と聞いたところ、驚くべき秘密を教えてくれました。

これは、配信主たちが配信時に使う専用アプリですが、御覧の通り、「美肌、目拡大、小顔」の3つの機能がついています(視聴者は、このアプリの構造を見ることができません)。

そして、この「美肌・目拡大・小顔」効果を、そのまま動画で、リアルタイムで再現することが出来るのです!!(笑)

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Yuanyuanちゃん

コンテンツの加工編集ってすごく手間でしょう? 中国では、配信を行いながら、同時に、動画の中で美顔修正ができるから、わざわざ録画してから顔を盛る加工をする必要がない。こまごまと加工編集する手間があったら、その分ファンと向き合って、お金を稼ぐ時間に当てるわ(笑)

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Yuanyuanちゃん

ご覧のとおり、配信主は皆、顔をすごく修正しているから、ライブ配信でみる美男美女の9割は現実世界にはいないと思ったほうが良いよ!

とのことでした。な……、なるほど。

なお、このことはライブ配信の配信主および女性は皆知っている公然の秘密だけれども、一部、インフルエンサーに非常に惚れこんでいる男の子は知らないとのこと。

みなさん、中国に行かれるときには、彼らの夢を壊さないように、くれぐれも秘密にしてくださいね~!

(文:黄未来)

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