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#ミライさん #デートまで #とけサマ ……注目のSNSドラマ、ヒットの裏側

あまの さき

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あまの さき

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新しいPR手法として注目を集める“SNSドラマ”

スマホの通信制限緩和なども手伝い視聴ハードルが下がったことで、動画をプロモーションに利用する企業が増えています。そんな中、コンテンツファーストな手法として注目を集めているのがInstagramのIGTVやTwitterで配信する“SNSドラマ”です。

では、実際にSNSドラマを使った事例にはどういったものがあるのでしょうか?
『SNSドラマを活用したマーケティング事例から見る、視聴者との情報接点』と題し、仕掛け人3人が登壇した10月18日のセミナーをレポートします!

“SNSドラマ”の仕掛け人たちに聞く最新事例

【登壇者】

■谷口マサト(@chakuriki
LINE株式会社チーフプロデューサー。
LINE NEWS初の連続ドラマ『ミライさん』のプロデューサー。マンガ原作者&プロデューサーとしてコンテンツ制作を専門とする。『広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門』など7冊を上梓。

■坂田文子さん(@ayac01226
株式会社アダストリアにて「Heather」「Me%」のプレスを務める。新卒からプレス・PR一筋! 10以上のブランドを渡り歩いた後、2015年より「Heather」を担当し、今年IGTVドラマ『デートまで』をプロデュースするなど手腕を振るう。

■戸高純さん(@junpo_po
株式会社N.D.Promotionにて、女性メディア『Nomedeplume』の立ち上げおよびマネタイズを担当。直近では胸キュンTwitterドラマ『とけないで、サマー』をプロデュースするなど、ミレニアルズに向けた広告商品の開発も行っている。

【ファシリテーター】

■長谷川颯也(@hase_mp4
トレンダーズ株式会社動画マーケティング戦略室室長。大学在学中からフリーランスとしてインターネット番組の企画編集や映像制作を手掛け、その実績は多数。現在はサービス開発や組織拡大に従事している。

仕掛け人が語る、SNSドラマ制作のきっかけ

――そもそもどうしてSNSドラマをはじめてみようと思ったのでしょうか?

戸高さん:新しい広告フォーマットに挑戦したかったからです。弊社で運営しているメディアが若年層向けなのですが、若い子は如実に広告に嫌悪感を示します。そこで、10代の子たちに受け入れてもらえる広告はなんだろう?と考えました。ドラマにしたのは、広告がコンテンツとして成り立っている状態が大事だと感じたからです

谷口さん:最近の子たちは1時間のドラマでは長すぎるんですよね。

戸高さん:みんな2,3分のコンテンツに慣れてしまっているみたいです

――ちなみに、それぞれの作品を見て気になったことはありますか?

谷口さん:『デートまで』は究極のコンテンツマーケティングだと感じました

坂田さん:ありがとうございます。IGTVを使った縦型の動画はドラマとしては制約も多いですが、スタイリングを見せるという点ですごく助かりました。

谷口さん:ちゃんと売り上げにもつながったんですよね? ファッションと合うんだなって、とても可能性を感じました

坂田さん:『ミライさん』『デートまで』『とけないで、サマー』は、三者三様、アウトプットの方法が全く違うことが興味深かったですね。
私自身のモノ作りのポイントは、見ている女の子をいらっとさせないこと。その結果、WiFi環境がなくても抵抗なく見られる尺にすること、通勤・通学中に音が出せない状況でも見られるよう字幕を付ける……といった点にこだわったんです。
でも、『とけないで、サマー』には字幕がなかったり、『ミライさん』はSNSドラマであることを忘れるくらいのハイクオリティだったり。逆に「SNSドラマだから」という常識を出たところで勝負しているように感じました。

――『とけないで、サマー』は、なぜ胸キュンをテーマにしようと思われたのでしょう?

戸高さん:10代の女の子たちの間でAbemaTVの恋愛リアリティーショーが流行っていて、女子中高生100万人が重複なしで見ているといわれています。単純計算で3人に1人。このデータを聞いて、胸キュン要素を入れようと決めました。

「態度変容こそコンテンツの価値」

――SNSドラマの反響や、KPIの設定方法について教えてください。

戸高さん:全4話配信したんですけど、オーガニックのみで約70万回再生。広告誘導していないわりにはかなり数字が伸びたなという感覚です。定性面でいうと、「#とけサマ」で感想をツイートしてくれた人が多く、すでに続編の要望などもいただいています。

谷口さん:『ミライさん』もお陰さまでかなり話題になり、ヤフトピにも2度掲載されました。Twitterの言及数も調べていたんですが、同時期に放送されていたTVドラマと遜色ない結果で、改めてSNSと相性が良かったということが明確になりました
効果検証の点からいくと、コンテンツである以上は態度変容が起きなければ本当の価値は出ないと考えています。今作は「明るい未来」がテーマだったので、「『ミライさん』を見て元気になったか?」といった様々なアンケートをLINE上で取り、ポジティブな結果が出ています。

坂田さん:弊社はアパレルブランドなので、最終的にはお洋服が売れないと意味がない。
『Heather』のターゲット層は、SNSで情報収集をしてweb上もしくはリアル店舗でお洋服を買ってくれるっていう流れができています。したがってInstagramを活発に運用しているのですが、結構マンネリになってしまう。このままだとエンゲージメントが下がるのではないかというところを危惧して、SNSドラマをはじめました。なので、当初は直接お洋服を売るというよりはSNSのエンゲージメントを担保し続けることで、そこからからの売れも保っていくことを考えていたんですけど、思っていた以上に反響があって、この施策自体からも売り上げに繋げることができたんです。これは正直、想定外でした。

SNSドラマに留まらない、+αの仕掛け

――SNSドラマを効果的に見せるために行ったプロモーションはありますか?

坂田さん:いわゆるジェネレーションZと呼ばれる世代の子たちは、自分が興味を持つとどんどん深掘りして情報を探す傾向が強いです。そこを利用して、何か情報を発信する時にはマスに届けるものと、深掘りしたい人用に2段階3段階詳しい情報を用意しておくようにしています
今回であれば、ドラマの中で主演の森川葵さんが着ている服は何だろう?ってなった時のために、Instagramのフィードに着用アイテムを載せて、オウンドメディアにコーディネートの深い内容や値段、森川さんのインタビュー記事を載せるなど、どんどん深掘りができるような形をとりました。

――『ミライさん』ではリアルイベントもやったそうですが、これはどういった狙いがあったのでしょうか?

谷口さん: TVドラマの課題と似ていますが、中だるみを減らし、最終輪を盛り上げるためです。最後の目玉としてリアルイベントを開催、映画の試写会のようにファンの皆さんと一緒に観賞する機会を設けました。我々は普段どういうふうに映像を見られているかっていうのを確認することができないので、目の前で反応を見られるのは面白かったですね。

――では最後に、SNSドラマの今後の展望についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか?

谷口さん:ドラマをやりたいという問い合わせは増えていますね。ドラマ以外でも、TV番組はすべてスマホ向けに変換できると思っているので、色々と番組企画を仕込んでいるところです。

坂田さん:ストーリーがあるのでお洋服以外のところにも絡むことが可能です。他の業界の企業さんとコラボしたドラマをやれたらと思っています。

戸高さん:SNSドラマは認知も取れて好感度も上がる、今までにはあまりなかった広告です。新しいプロモーション方法として、引き続き注力していきたいです。

“SNSドラマ”が注目される理由

この日ファシリテーターを務めた長谷川氏いわく、SNSドラマが注目を集める理由は以下の3点に集約されるそう。

点ではなく線で情報を伝える

一時期トレンドとなった動画にバズ動画がありますが、情緒に訴える側面が強かったため、瞬発力こそあれ一過性のもので終わってしまうという弱点がありました。ところがSNSドラマは、複数回に渡るストーリー構成、インフィードで能動的に視聴させることによる接点数の増加を見込むことが可能に。

ストーリーとキャラクターによる文脈の創出

動画をドラマの形にまで作り込むことで、ストーリーやキャラクターによる文脈が創出されます。これにより従来はメイクやレシピなどHOW TOに活用されることが多かったPR動画の可能性が一気に拡大。幅広い商材への活用が期待されます。

高いオリジナリティとクオリティ

最近ではTikTokをはじめ、一般ユーザーも動画を作成していくことが増えました。そういった背景があるからこそ、ドラマにすることで真似のできない高いオリジナリティとクオリティを消費者に提供することができる点が魅力です。

三者それぞれの効果が見られたSNSドラマ。まだまだ今後の動向にも期待が集まります。

(文:あまのさき)

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