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「遅刻~!」と食パンかじり走で衝突のシーン、なぜ出くわさない?調べてみた

まいしろ

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役に立つようでまったく立たない(!?)調査コラムをお届けする本連載。

今回のテーマは、学園モノのアニメを見たことがある人なら、誰もが一度は目にしたことがあるあのシーン、そう「食パンをかじりながら全力疾走する学生が『遅刻、遅刻〜』と叫びながら道端で誰かとぶつかるあのシーン」について調べたいと思います。

食パンをかじりながら全力疾走する学生は、90年代では『エヴァンゲリオン』から、最近では『ポプテピピック』まで、古今東西あらゆるアニメで楽しむことができる名シーンです。

しかし、ここで疑問に思うことが1つあります。それは、食パンをかじりながら全力疾走する学生というイメージがこんなにも普及しているにもかかわらず、なぜ我々の大半は実際に食パンをかじりながら全力疾走する学生とぶつかったことがないのかという疑問です。

もちろん、この広い世界において、実際に食パンをかじる学生とぶつかったことがある人がゼロであるとは思いません。しかし、少なくとも私に限って言えば、朝の学校や職場で「あ〜今日も食パンかじりながら全力疾走している学生と道端でぶつかっちゃったよ〜」「僕も!」「私も!」という会話を聞いたことはありませんし、そもそも身の回りでぶつかった話を聞いたこともありません。

「食パンをかじりながら全力疾走する学生」というイメージがこんなにも普及しているこの国で、なぜ我々はなかなか彼・彼女らに出会うことができないのでしょうか? 今回はそんな食パンをかじりながら全力疾走する学生にまつわる真実に迫っていきたいと思います。

なぜ我々は食パンをかじりながら全力疾走する学生と道端でぶつからないのか 〜仮説編〜

まずは、なぜ我々が食パンをかじりながら全力疾走する学生と道端でぶつからないのか、その仮説を立ててみましょう。なお、今回はテーマがあまりにも長すぎるため、これ以降は「食パン衝突」という略称を使います。

今回、私が立てた仮説は全部で5つ。

【1】そもそもそんなに遅刻しないのでは説
【2】遅刻したときそんなに必死で走らないのでは説
【3】朝が食パン派でないのでは説
【4】そんなに通学路で人とぶつからないのでは説
【5】路上でそんなに朝食を食べないのでは説

今回は、事前に予測したこの5つの仮説にしたがって、合計365名の方へのアンケート調査を行いました。その結果を上から順に見ていきましょう。

[調査概要]
調査対象:15~49歳の男女365名(均等割付)
調査期間:2019年6月25~26日
調査方法:インターネット調査

学生、そんなに朝から遅刻しないのではないか説

まず私が疑ったのは仮説【1】「学生、そもそも遅刻しないのではないか説」。学生時代は毎日のように遅刻スレスレの生活をしていた私ですが、そんな私だからこそ身にしみて実感していることがあります。そう、世の学生は(私のように)そこまでたくさん遅刻しないのだということです。

というわけで、学生の方には現在の生活を、卒業されている方には学生時代のことを思い出してもらいつつ、365名にご回答いただいた結果がこちら。

学生、わりと朝から遅刻してました。

毎日遅刻しかけている猛者は7.4%とかなり少数派だったものの、53.9%と実に半数以上が複数回、学校に遅刻しかけたことがあるとのこと。学生時代、「毎日遅刻しかけている」だった身としてはなんとも頼もしい数字ですが、食パン衝突の仮説としてはどうやら外れていそうです。

遅刻したときそんなに必死に走らないのでは説

続いて、仮説【2】「遅刻したときそんなに必死で走らないのでは説」を見てみましょう。

そう、世の学生が「遅刻したからといって急いで走る」とは限りません。むしろ開き直ってゆっくり牛歩で向かうのが学生のスタンダードだったりする可能性もあるのです。というわけで、同じくアンケートで聞いてみた結果がこちらです。

学生、けっこうちゃんと急いでいました。

学校に遅刻しかけた場合も、すぐに諦めたりするのではなく、7割以上の学生が諦めないという通学への熱いガッツを表明。「すぐにではないが全体的には諦める方向である」「すぐに諦める」といった思い切りの良さは、学生の中ではあまり一般的ではないということが明らかとなりました。

朝が食パン派でないのでは説

では、食パン衝突に必須のアイテム「朝食としての食パン」の方はどうでしょうか?

確かに、食パンは朝食として人気の食べ物ではありますが「朝は必ずご飯を食べる」という方も「そもそも朝食を食べない」という方も身の回りには多いです。ここはアンケートを通して、朝食についての真実を浮き彫りにしてみましょう。

学生、それなりに朝に食パンを食べていました。

さすが食パン、されど食パンというべきなのか、食パンは朝食として一定の人気があるようです。

具体的には、まず「パン派」と回答した方が34.8%、さらにその中でも最もよく食べるのが食パンと回答した方が66.1%。こちらの2問をあわせると、全体の約23.0%が食パン派ということになります。

さきほどの遅刻説に比べるとやや数字は低いものの「学生のほぼ4人に1人が食パン派」という結果を考えると、仮説【3】「朝が食パン派でないのでは説」もやや的を外した仮説であると言えそうです。

そんなに通学路で人とぶつからないのではないか説

そろそろ調査に暗雲が立ち込めてきましたが、続いて検証するのは仮説【4】「そんなに通学路で人とぶつからないのでは説」。

アニメや漫画では、角を曲がれば人や車や敵にぶつかりますが、実際の生活ではそんなに道端で運命の何かにぶつかることはありません。それはきっと学生だって同じはず。というわけでその調査結果がこちらです。

学生、まあまあ人とぶつかっています。

一応、「ぶつかったことはない」という回答が過半数を占めてこそいるものの、「頻繁にぶつかる」「そこそこぶつかる」「ときどきぶつかる」の回答を合わせるとその数字は25.7%。
これは先程の「朝食が食パン派」の学生よりも多い割合となっており「学生、それなりに通学路で人とぶつかっている」というのが実態だと言えそうです。

路上でそんなに朝食を食べないのでは説

それでは最後に、仮説【5】「路上でそんなに朝食を食べないのでは説」を見てみましょう。

ここまでことごとく仮説を覆されてきた本調査ですが、朝の路上で何かを食べている人はあまり多くない(はず)です。実際のところはどうなのか、アンケート結果がこちらです。

学生、あまり通学路で朝食を食べていません!

長きに渡ったこの調査ですが、ついに明らかになった驚愕の真実。そう、学生は通学路でそんなに朝食を食べないという厳然たる事実です。

結果を細かく見てみると、朝食を食べる場所として最も人気なのは圧倒的に「自宅」が多く、全体の92.3%を占めています。

そして、食パン衝突に必須の条件である「通学路で朝食を食べる」学生は全体の4.7%とごく少数。何度も言いますが、全体の4.7%とごく少数です。

またこれは裏を返すと、数々の名作アニメは、この5%弱しかいない「通学路でよく朝食を食べる学生」を大々的に取り上げることで、あの名シーン達を生み出してきたとも言えます。これはまさに名だたる監督の采配といえるところでしょう。

なぜ我々は食パンをかじりながら全力疾走する学生と道端でぶつからないのか 〜結果編〜

「なぜ我々は食パンをかじりながら全力疾走する学生と道端でぶつからないのか」という深淵な問い。その答えは「学生は通学路でそんなに朝食を食べないから」という身も蓋もないものでした。

しかし、この世に遅刻する学生がいる限り、朝食が食パン派の学生がいる限り、通学路で人とぶつかる学生がいる限り、そして何より通学路で朝食を食べる学生がいる限り、我々が彼らとぶつかる可能性がゼロになることはありません。

その期待と希望を失わないため、最後にここまでの数字と「我々が食パンをかじりながら全力疾走する学生と道端でぶつかる確率」をまとめてみましょう。

今回立てた5つの仮説をかけあわせ、導き出された数字は0.10%。これが、我々が食パン衝突と巡り合う暫定的な確率です。(※実際にはもっと緻密な計算が必要ですが、今回はスマートに諦めます)

この数字を低いと思うか、高いと思うかはきっと人それぞれでしょう。しかし、今日も朝の通学路で、食パンをかじりながら全力疾走する学生がきっとどこかにいるはずです。いつかぶつかるその時まで、皆様にはこの0.10%という数字を信じて道端を歩いて欲しいと思います。

(文:まいしろ)

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