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大人が楽しめるNARUTO映画ここにアリ!大ヒットの理由は「ダメなやつ」だから

佐藤由紀奈

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佐藤由紀奈

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特に大きな期待もせず、ふらりと立ち寄った会社帰りの映画館。
そこで思いがけず、今年一番とも言える作品に出会ってしまいました。

8月7日から全国公開されている『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』。漫画『NARUTO -ナルト-』の劇場版アニメ最新作です。原作は週刊少年ジャンプで2014年11月まで連載され、全世界での累計発行部数が2億部を突破しているという、言わずと知れた大人気漫画。テレビアニメは2002年から放送され、劇場版も過去10作公開されていますが、本作は漫画やアニメを含め、まさに「NARUTOワールドの集大成」といえる程の内容だったと思います。

こんなNARUTO映画が見たかった!

原作では全700話にも及ぶ長い戦いを経て、ナルトが七代目火影になったところまでが描かれていました。本作はその後生まれた息子・ボルトを中心とした新世代の物語。とはいえ、旧世代(ナルトやサスケ、サクラなどの主要キャラクター)の活躍も充分見応えがあり、もともとのファンも飽きさせない構成となっています。

それもそのはず。本作は原作者の岸本斉史氏が初めて脚本を書き、製作総指揮を務めているからです。映画公式サイトには岸本氏の「本当に僕が作りたかったNARUTO映画がここにあります」というコメントが載っていますが、観た側としても、こう言いたい。「わたし達も、こんなNARUTO映画が見たかった!」

とにかくかっこよすぎるバトルシーン

本作の見どころは、まずはなんといってもド迫力のバトルシーン。ナルトもサスケも超上級忍者になっているので、大技のオンパレードです。スピード感とスケール感を鮮やかな色彩や緻密なカメラワークで見事に表現し、そのクオリティは少年はもちろん、大人が見ても感動必至。大人になって、映画を観ても何かと深読みしてしまうようになった今。こんな風にただただ「かっこいい……!」という気持ちだけでスクリーンに向かえることもそうありません。これぞNARUTOの原点、といったこだわりを感じました。

大人になったナルトとサスケ

ストーリー部分では、大人になったナルトとサスケの変化が見もの。七代目火影となったナルトは、家にも帰らず火影室デスクのパソコンに向かい、書類の捺印といった業務をこなす多忙な毎日。あの「意外性忍者No.1」と言われた鉄砲玉のようなナルトが、もくもくとデスクワークをこなすようになるなんて!
対してサスケは、ナルトの息子・ボルトを訓練したり、新世代の忍に対して諦めまじりのナルトに、熱い信念を説いたり。ずいぶんと丸くなったなという印象です。原作でずいぶんとダークサイドに落ちていたことを思えば、「いい大人の男になったなあ」と、ファンとしては嬉しくもあります。

「できないこと」があってこそのナルト

そして最後に、わたしが最もグッときた見どころ。それは、デキる大人になったはずのナルトが、父親としては全くダメだというところです。今では里のみんなから慕われる立派な忍者になったわけですが、ナルトといえば、元々はできないことだらけの落ちこぼれ劣等生。ですが、そのがむしゃらさが彼の魅力でもあり、課題を克服していくサクセスストーリーこそが、NARUTOの根幹です。

本作ではその「できないこと」が“忍術”ではなく、“父親としての役目”に置き換えられているのです。ボルトとの関係を観ていると、じれったくて、やきもきさせられっぱなし。それでも最後には、ボルトが戦いを通じてナルトの偉大さを感じ取り、その瞬間、「ナルトはやっと、父親になったんだなあ」と、観ている者に温かい感情を与えてくれるのです。

ナルトの成長を観てきた大人たちにとっての共有の場所

ところで筆者は27歳のOL。いい年頃の女が会社帰りに1人でNARUTOの映画を見に行ったわけです。「劇場で浮いてしまうだろうか……」と内心少し怯えていましたが、意外と同世代くらいの1人で来ている人も多く見受けられました。他にはカップルなどもチラホラ。

思えば原作の連載が始まった当時、週刊少年ジャンプを弟と一緒に購読していたわたしは、毎週ナルトが成長していくのを楽しみしていました。いつの間にか話を必死で追いかけることはしなくなりましたが、それでも完結したと聞けば感慨深く、息子ができたと聞けば、お祝いがてら映画も観てみたくなるというものです。劇場に集まった大人たちには、少なからず、同じような気持ちを抱いている人もいたのではないでしょうか。

ナルトの成長を通して、自分も大人になったことを感じ、そしてそれを共有できる。本作はそんな楽しみ方もできる大人のための映画でもあり、ぜひとも劇場で見ることをおすすめしたい映画でもあります。

『BORTUO -NARUTO THE MOVIE-』は、公開19日目にして興行収入20.2億円を突破し、シリーズ最高成績を更新中。大ヒット上映中です。

(文:佐藤由紀奈)

映画 『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』8月7日(金)より全国東宝系にてロードショー。
(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ(C)劇場版BORUTO製作委員会 2015

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