「とりあえず3年は一つの職場で続けた方がいい」
誰が言ったのかわからない、けれど多くの人が耳にしているこの通説。しかしふと思いました。なぜ3年……? それ以前に辞めるとどうかなるんだっけ?
勤め人・卒業経験者に相談してみた
なんとなく、“それっぽい”と受け取ってしまっていたこの疑問に、ズバッと明快な解がほしい……!
そこで我々は、的確に、そしてスマートに答えてくれそうという理由で、いま注目の音声メディア「Voicy」の人気パーソナリティ・サウザーさんに取材を依頼。すぐに快諾していただけたのです!
“勤め人卒業”を一つのテーマに発信する彼ならば、何か我々(勤め人)とは違った角度でこのテーマに切りこんでくれるのではないか……! やや緊張しつつ取材日を待っていると、ちょっとした事件が。
Voicyで回答してくれちゃった、サウザーさん
Voicy『サウザーラジオ~青雲の誓い~』第七十六話 なぜ「辞めたくてもとりあえず3年続けろ」なのか?より
「とある事情で『なぜ勤め人を3年続けろなのか』という質問があったので、ここの場で喋っちゃいけないことかもしれないですけれど、もう喋りたくてしょうがないので、忘れないうちに喋っておこうということで。Voicyのネタになってしまいました。申し訳ありません」
サウザーさん、このテーマ、もう取材前に回答してくれちゃっているじゃないですか……!!(笑)
ということで、すでにサウザーラジオのリスナーの方々は既知の内容になってしまいますが、あらためて「とりあえず三年説」についてお聞きするとともに、サウザーさんの経歴や考え方を伺ってみることにしました!
高級二ート・サウザーさんが勤め人卒業に至るまで
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、勤め人卒業はそういった経験から考えたことだったんですか?
「勤め人として2社経験しましたけど、10代後半くらいから、サラリーマンは嫌だなっていうのはすでに思っていました。ただ、どうやって稼いでいったらいいか分からなかった。20代後半までは、ただ漠然と読書を通じて知識をつけ、それを活かすタイミングをうかがっているような感じでしたね。実践はできずにいました」
「とりあえず3年」論への3つの解
――では、この取材のもともとのテーマである「とりあえず3年説」について、Voicyでもすでに述べていただいておりましたが、あらためて聞かせてください!
「そうですね。申し訳ないと思いつつ、喋ってしまいました(笑)。Voicyでも喋った通りですけれど、まず1つが、3年働かさないとリクルート費用が回収できないから。次に、3年働かせることによって勤め人中毒にしてしまえるから。これはどちらも会社側の都合です。これ以上の答えはないですね!」
――これ以上なく明快は解を、ありがとうございます!!
「僕はこの説、正直よく分からないんですよね……。でももう1つの理由として、“とりあえず3年”が社会的なコンセンサスであるなら、勤め人としての適性がないわけではない、というアピールになるのかもしれませんね。例えば半年で退職するのを繰り返してしまったら、勤めるという能力がないとみなす企業もあるでしょう。だから数年間勤続するということで、勤め人としての客観的な適性をアピールすることになるのではないかな、と思います」
――そうですね。ある程度の我慢強さみたいなもののアピールにはあるかもしれません!
「ただ、僕個人の意見としては、次にやりたいことが明確に見つかっているのであれば、年数にかかわらずすぐに辞めたらいいのではないかと思いますけれどね」
“漠然とした不安”を解消するには?
――そういう通説がそれっぽく認知されるのも、きっとみんな“将来への漠然とした不安”があるからじゃないかと思うのですが、事前にお伺いしたところ、サウザーさんご自身はそういったものを感じたことがないと……。
「全くないんですよね。分からないんです。不安がないわけじゃなくて、あるのは明確な不安。これとこれを取り除けば大丈夫という状態です。万一不安があった時、“漠然と”という状態は自分の中で許さない。皆さんはあるんですか? “漠然とした不安”ってやつ」
――うっ……。そうですね、割とありますね……言葉にできないモヤモヤみたいなものが。でもお話を伺っていると、サウザーさんは何かを言語化したり整理したりといった能力が高い方なんだろうなと感じます。
「整理するために、僕は日記を書いています。言語化するといいですよ。不安なことがあれば書き出して、1回頭の中から出してしまう。そうすると忘れられるし、頭の中がクリアになります。不安なことを他人にいっても仕方ないですからね。いったところで愚痴でしかない。相手の時間を奪っているだけですから、1人で日記でも書いて自己処理するのがいいですよ」
――日記がなかなか続けられないという人もいるかと思うのですが……。
「うーん。申し訳ないですけど、それすら続かないという人はどうしようもないです。自分で決めたことを行動にも移せないんだとしたら、厳しいことをいうようですが、自分の人生をコントロールすることはもはやできないんじゃないでしょうか。資本主義の世の中なんて危ない人ばかりですから、流されて生きるのは危ないですよ」
――そうですよね、自分の決めごとくらい守れないとですよね!!(ちょっと胸がイタイ)
サウザー流・資本論「商品を作れ」
――Voicyなどでも度々語られているように、お金に関してかなり豊富な知識を持っていらっしゃるようですが、どのように勉強されたんでしょうか?
「ベースとなったのは、やはりロバート・キヨサキさんの著書『金持ち父さん 貧乏父さん』ではないでしょうか。ただ、あれでいただけないのは、ずっと“投資家になれ”と言い続けていること。ビジネスモデルが分からなかったら、投資家になりようがないので、僕は違うと思うんですよね。最初に読んだ時は、どこか腑に落ちなかった。お金に関する自己啓発本はよく読んでいましたけど……結局どれもあまり意味がなかったかもしれません」
――“投資家になれ”というメッセージは違うと?
「誰も“商品を作れ”と書いていないんです。そもそも商品作りが分からないと投資って無理なんですよ。唯一、マルクスの『資本論』だけ、“労働力は数ある商品の一つだ、労働者は労働力を売って生活に必要な物資を買う”という記述があります。ならば自分で労働力以外の商品を持てたら働かなくていいのではないか? 実際、お金持ちで働いてない人は労働力以外の商品を持ってるよな、と思いました。マルクスのゴールは『革命を起こして資本主義を打倒する』でしたが、別に革命なんか起こさなくていいんです。僕のゴールは『商品を持って勤め人を卒業してニートになる』としました」
――やはりサウザーさんとしては、今後は“勤め人”は減っていくべきと思いますか?
「かつての55歳で定年して100歳まで引退生活を送る人生モデルは、必ず崩壊すると思っているので、みんな早めに、一生ダラダラ続けられる仕事を見つけるのが良いと思いますよ。勤め人として仕事して、年金に期待していたらまずいでしょう」
――そうですね。勤め人だから安泰ということは全くないですもんね。
「でも、勤め人を辞めろということではないです。それもこれも明確なビジネスモデルが思い描けていてこそ。どちらにしても、最初は絶対失敗しますから早い方がいいと思いますよ。限度額を決めて、大きい勝負はせず、自分の売りたいものを早めに決めることです。僕の場合はそれがオーディオブックだったので、Voicyはまさに渡りに船でしたね」
分析力と言語化スキルがすごい
ということで、「とりあえず3年説」から、漠然とした不安への対処法、独自の資本論まで、様々な角度から切り込んでいただきました!
ちなみに、Voicyのランキング不動の1位の座をほしいままにしているサウザーさんですが、もともとオーディオブックを作っていたこともあり、音声での発信には並々ならぬこだわりと自信があったとのこと。他のパーソナリティの番組を聴いて、『負けるわけがない』と思ったそうです。そのような自信も、普段から冷静にファクトを分析し、言語化して思考を整理している賜物なのだろうなと感じさせられたインタビューでした。
(文:ソーシャルトレンドニュース編集部)