ワニくんの死から1ヵ月ほど経ちましたがいかがお過ごしでしょうか。
今回もそやの「今月のベストペア読書」をお届けします。
ちょうど行動経済学の本を読み漁っていたのですが、そんな折にこんなブログが流れてきました。
行動経済学の視点から見る、『100日後に死ぬワニ』の炎上の分析です。
今回はこちらのブログに触発されて行動経済学の名著「予想どおりに不合理」を選書しました。
ペア読書とは…
2人で同じ本をもちより、速読により30分で読破。その後ディスカッションをするという読書法。
制限時間があることや相手がいることによるプレッシャーで集中が高まり、また、直後にアウトプットがあることで記憶の定着もよくなるなど、多数のメリットがある。
『ペア読書』という最強の読書法を見つけたので図解します。より
今回のペア読書のお相手は、オンラインペア読書コミュニティの年上のお兄さんでした。コロナで外出しづらい昨今、ペア読書もオンラインがおすすめです。
今回紹介するのは、こちらの本↓↓
『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』
著者:ダン・アリエリー
出版社:早川書房
https://amzn.to/3dHdJXE
本のタイトル「予想どおりに不合理」の意味するところ
「予想どおりに不合理」、不思議なタイトルですよね。どういう意味なんでしょうか?
本書で一貫して言われているのが、人間の判断は合理的でない場合が多々ある、ということです。つまり人間は不合理的だということですね。そして、人間の不合理にはパターンがあります。これが「予想どおり」。
まとめると、「本書からは人間がついやってしまう不合理な判断のパターンを知ることができるよ」、ということになります。
不合理な判断をもたらす『社会規範と市場規範』
なぜ不合理的な判断をしてしまうんでしょうか?
その一つの理由は、人間が「社会規範」と「市場規範」という2つの判断軸を持つからだと言われています。
社会規範と市場規範がせめぎ合う例を見てみましょう。
たとえば友達に引越の手伝いを依頼したとします。
― ボランティアとして頼む場合
― 1000円(格安報酬)で頼む場合
― 1万円(見合った報酬)で頼む場合
この3パターンについて考えます。
すると、意欲的に手伝ってくれるのは「ボランティア」と「1万円」の2つなのです。これは直感的にそりゃそうだろ!と納得してもらえるかと思います。
しかし金銭面だけみると、1000円でもボランティアで手伝うよりは見返りがあるはず。なのになぜ意欲が下がるんでしょうか?合理的ではないですよね。
このとき何が起きているかというと、
ボランティアの場合は社会規範を使って「いつもお世話になってるし、手伝ってやろう」のように判断していて、金銭が支払われる場合は市場規範を使って「友達をこんな低賃金でこき使うのか!?」と判断しているんですね。
この例で、社会規範、市場規範がどういうものか、理解できたのではないかと思います。
このように私たちの脳は社会規範と市場規範をいったりきたりしてるんですね。
ディスカッショントーク
さてここからは、ペア読書の読後ディスカッションで話した内容に触れていきます。
1つめに僕がこれはそうかもなと思ったのが、「会社のビジョン」の必要性でした。
ビジョンってなんで要るんだっけ、というのが僕の中でこれまで腹落ちしていなかったのですが、本書を読んだことでストンと落ちるものがありました。
というのも、人間は社会規範に沿って動いているときは損得関係なく行動できるからです。
たとえば、本当に資金力がないベンチャー企業には、無給のインターン生がいたりしますよね。
僕自身もそれに近いことをやっていた経験として、意義のあることをやっているんだという充実感を持って働いていたなと思います。つまり社会規範に則っているわけです。
これが下手に超安い給料が払われていたら、判断基準が市場規範に移って「僕は搾取されている!」と思っていたと思うんですね。
もちろん、無賃労働は違法なので肯定するつもりはないですし、これはやりがい搾取といわれて問題になっていることです。
話をわかりやすくするための極端な例ですね。
同じように、そこそこ給料をもらっているけど、給料のためではなく、社会のために頑張っている状態だったらどうでしょうか?
給料以上の働きをしてくれる可能性が大きいですよね。
つまり何が言いたいかというと、社会規範に沿っているほうが、組織としてより大きなパワーを発揮しそうだということです。
そしてその社会規範を作り出すのが会社のビジョンなんだな、ということでした。
『100日後に死ぬワニ』はなぜ炎上したか
ペア読書のお相手が、冒頭でも紹介したブログのURLを送ってくれました。
ワニを見届けていた人たちは、社会規範に則っていたわけです。
金銭のやり取りは全くなくて、作者は毎日19時に更新する、読者は最後を見届ける、というただそれだけの関係でした。無償VS無償です。
にもかかわらず、一番最後に「はい、感動したよね!じゃあグッズ買ってね!3000円ね!安いよ安いよ!」という市場規範の世界がやってきました。無償の気持ちのやり取りをしていたのに、その感動に値段をつけられたような、騙されたような気持ちになり、人々は怒ったのだということみたいです。
社会規範の世界に市場規範を持ち込むと反発を受けるということを、ブログ内で上手い例えで表現されていたので、引用します。
※ブログからの引用
>結婚を考えている相手の家に食事に呼ばれたとしよう。料理は美味しく、相手の両親との会話も弾む。十分に楽しんだところでこう切り出す。「う〜ん、とても満足がいったので5,000円支払いますね」と。
これは逆もそうで、市場規範で考えている人に「友達だから無料でやってよ!」というのもダメですよね。同じ出来事でも社会規範と市場規範どちらで考えるかは人によって違います。相手や状況によって使い分けるのがよいなと思いました。
終わりに
今回は以上になります。
「社会規範と市場規範」にフォーカスしてお話ししましたが、人間が不合理な判断をする原因はそれ以外にもたくさんあります。
Kindle版なら700円しないくらいで購入できるので、お暇なときに読んでみて下さい。
こちらのリンクから購入できます。→ https://amzn.to/3dHdJXE
ではまた次回!そやでした!
(文:そや)