フジテレビ カトパンに代わる人気女子アナが生まれない理由

ここ数年、女子アナ界からスターが生まれにくくなっている。フジテレビのエースは相変わらず、カトパンこと加藤綾子アナだ。入社8年目を迎え、今年30歳になったカトパンに代わるスター候補を生み出そうと局側は必死だが、思うような人気者は出て来ない。

2012年入社の宮澤智、13年入社の内田嶺衣奈といったタレント経験のある女子アナも、14年入社の永島優美のように1年目から『めざましテレビ』を務める局期待の逸材も、カトパンに代わる存在にはなり得ていないのだ。
もちろん、カトパンが偉大過ぎて追い抜けないという理由もあるだろう。
だが、これまでの歴史を振り返ると、現状は人材不足という感が否めない。

フジテレビは80年代初頭に山村美智子アナ(表記は当時)が『オレたちひょうきん族』で、益田由美アナが『なるほど!ザ・ワールド』で売り出されて以降、寺田理恵子、八木亜希子、河野景子、中村江里子、小島奈津子、木佐彩子、内田恭子、高島彩、中野美奈子、生野陽子など、絶え間なく人気女子アナを生み出してきた。

それがここ数年、なかなか新たな芽が出てきていない。
フジテレビに限らず他局を見渡しても似たような状況で、一時期と比べると、女子アナブームは一段落したと言えるだろう。

どうして、女子アナのスターが出なくなっているのだろうか。

一言でいえば、就職活動をする際に女子アナ志望者はマーケティングをし過ぎになり、テレビ局側は過去の成功例に捉われ過ぎている。
要するに、ミスキャンパス出身者やタレント経験者の女子アナに、視聴者は飽きてしまっているのに、テレビ局はそのような人物ばかりを採用しているのだ。

そもそも、女子アナには“普通のOLがテレビでタレントのような活動をする”点に引きがあった。80年代初頭の山村アナや益田アナが代表例だろう。つまり、素人だからこその魅力が受けていたわけだ。この傾向は90年代頃まで続いた。当時の就職活動生は、「あまり色がついていないほうがいい」と教えられていたという。なかには、河野景子や永井美奈子のように、大学のミスキャンパスに輝いていた人もいたが、決して多数派ではなかった。90年代は手垢のついていない、つまりセミプロではないことが、女子アナ志望者に求められていたのだ。

その傾向は、00年代に入ると一変する。「ミス慶應」出場者から中野美奈子(フジテレビ)、鈴江奈々(日本テレビ)、青木裕子(TBS)など、「ミス青学」出場者から市川寛子(テレビ朝日)、森麻季(日本テレビ)、田中みな実(TBS)など、各大学のミスコンから続々と女子アナが生まれるようになり、「ミスキャンパスは女子アナの登竜門」と呼ばれるようになった。

期を同じくして、04年の脊山麻理子(日本テレビ)を発端として、05年の平井理央(フジテレビ)以降、“タレントが女子アナになる”傾向は顕著になり、11年にはトップアイドルだった「モーニング娘。」の紺野あさ美がテレビ東京に入社する事態にまで至った。

素人が売りだったはずの女子アナは、00年代にセミプロやプロ出身者ばかりになってしまったのだ。
最初はそれが新鮮だった。しかし、その傾向が10年以上も続いたことで、視聴者は飽きてきた。また、タレントが女子アナになる場合、視聴者の設定するハードルは上がる。「タレントだからかわいくて当たり前」「タレントだからバラエティ番組で上手く立ち回れて当然」と思われる。その時点で、意外性は消えている。

人気は意外なところから生まれ、“今ないポジション”を見つけた人が得たりするもの。

ここ数年で、人気になった代表的な女子アナは水卜麻美(日本テレビ)であり、高橋真麻(元フジテレビ)である。ミスキャン、タレント経験者全盛のかわいくて当たり前の女子アナ界において、水卜アナはぽっちゃりを売りに、高橋真麻はみずから不美人を全面に押し出し、視聴者の共感を得た。女子アナの“隙間産業”を見つけ出したのだ。

現在のフジテレビでいえば、岡山大学出身でダークホースだった山﨑夕貴アナ(2010年入社)が似たような例になっている。“ブサかわいい”と評される山﨑アナは倉敷小町に選ばれ、地元の親善大使を務めていた経験こそあるが、東京で大々的に活動していたわけではない。大学まで地方で過ごした朴訥さが視聴者に受けているのだ。

このような事例からわかるように、10年以上にわたった「セミプロを女子アナとして採用する」という方法は、既に時代錯誤になっている。
つまり、現在のフジテレビから人気アナが生まれない理由はそこにあるのだ。直近5年の採用を見ると、9人すべて大学時代にタレント経験があるか、ミスキャンパスに出場している。11年入社三田友梨佳の日本テレビイベントコンパニオンを、タレント経験と括っても差し支えはないだろう。
つまり、カトパンの後釜となる即戦力を求めるばかりに、どちらに転ぶかわからない素材を採用するという冒険をしてないのだ。

女子アナ志望者のほとんどが何らかの表舞台での経験をしている以上、そのなかから原石を見つけ出すことは至難の業だろう。それでも、1万人ほどの応募がある女子アナ採用試験であれば、必ずや“現在の隙間”を埋める原石はどこか光っているはずだ。

セミプロが人気女子アナになる時代は終わった。
フジテレビが女子アナブームを再燃させたければ、まずは「ミスキャンパス出場者やタレント経験者から採用しない」という方針を打ち出してみてはどうだろうか。

(文:シエ藤)

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シエ藤(ライター/芸能研究家)
時間
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場所
本屋B&B
世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
入場料
1500yen + 1 drink order

【出演者プロフィール】
◯霜田明寛(しもだ あきひろ)
1985年生まれ。23歳で出版した『パンチラ見せれば通るわよっ! テレビ局就活の極意』が今でもマスコミ就活生の間でバイブルとなっている。その他にも、FRIDAYデジタルでのミスキャン連載やAOLニュースでの「美女友達を作ろう」連載など“日本で最も研究対象に近い”女子大生研究家としても活躍中。9月17日に新刊『面接で泣いていた落ちこぼれ就活生が半年でテレビの女子アナに内定した理由』を発売

〇佐々木真奈美(ささき・まなみ)
早稲田大学卒業後、2010年に山形テレビにアナウンサーとして入社。2013年、フリーに転身し、「TBSニュースバード」キャスターに。近年では「アナウンサーマニアのアナウンサー」として、週刊誌などに登場している。

〇シエ藤(しえふじ)
職業・ライター、芸能研究家、選手名鑑研究家、視聴率研究家。ほかの研究分野・生島ヒロシ、松木安太郎、岡本夏生、田原俊彦。『なぜ、日本人は田原俊彦を評価しないのか?』出版画策中。三遊亭好楽が歌丸復帰の『笑点』で見せたドヤ顔には懐疑的

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