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今週末の羽生結弦に注目!GP初戦…「羽生SEIMEI」に見る彼が背負うものとは

佐藤由紀奈

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佐藤由紀奈

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いよいよフィギュアスケート・グランプリシリーズが開幕。スケオタのみなさんはこの時期、毎週末が待ち遠しくて仕方がないことでしょう! わたしも先週行われたアメリカ大会の録画リピートが止まりません。

そして31日から行われるカナダ大会には、いよいよ羽生結弦選手が登場! すでに13日に行われた彼の今季初戦、オータムクラシックでは優勝を飾ってはいるものの、いくつかのミスが見られ、早速ストイックに自分への課題を口にしていた羽生さん……。さすが、サムライスケーターです。
羽生選手がいかに“漢”かについては、こちらの記事をどうぞ!
【ときめきエクササイズvol.1】羽生結弦が誰よりも“漢”!プーさん大好きでもね

そんな羽生選手のグランプリシリーズ初戦に先駆けて、予習的に、今季プログラムの注目ポイントを紹介したいと思います!

ショパンの名曲『バラ1』をどこまで自分のものにできるか

苦手意識のあるクラシック曲

まずはショートプログラム。使用曲は昨シーズンに引き続き、ショパンの『バラード第1番ト短調』です。
このプログラム、すごく好きだったのですが、結局昨シーズンはノーミスの演技を見ることができませんでした。なので、ファンとしては嬉しい続投!
ところが本人としては、技術面だけではなく、表現面でも「まだまだ」という思いからの続投だったようです。

クラシック(特にピアノの曲)は型にはまった表現で、物語性の強い映画サウンドトラックなどと違い、これまであまり得意ではなかった。あまりにも素晴らしい曲と振付に、昨シーズンはまだ気持ちが追いついていなかったから……というようなことを語っています。(『フィギュアスケートLife Vol.3』(扶桑社)より)

物語のない曲でこそ問われる、表現力の真価

確かにこれまで彼の演技で強く印象に残るものといえば、『オペラ座の怪人』『ロミオとジュリエット』、あるいはソチ五輪で滑った『パリの散歩道』といった、情熱的でアクの強い曲が多いかもしれません。

しかしわたしは2010-2011シーズン演じていた『ホワイト・レジェンド』や『ツィゴイネルワイゼン』といったクラシック曲も大好きですし、「彼の繊細さは絶対にピアノの旋律を奏でるのにピッタリだ!」と思っていました。なので、この曲もぜひ彼の代表プログラムと呼ばれるくらいに洗練させていってほしい……いや、彼ならしてくれる!と、確信しています。

ただ、ひとつだけ。マイナーチェンジされた衣装については、昨年の方がよかったのでは……という思いが。

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しかし昨シーズンも、大会を重ねるごとにグラデーションが濃くなっていくなど、衣装も徐々に進化していました。もしかして今回のカナダ大会で、すでに手が加えられている可能性も? そこにも注目したいと思います。

すでにNO.1ハマりプロの呼び声も!世界に発信する「和の強さ」

自らが選んだ「僕だからできる曲」

続いてフリープログラムは『SEIMEI』。野村萬斎主演の映画『陰陽師』のサウンドトラックからのアレンジです。
フィギュアスケートの曲選びは、振付師が選ぶ場合と、本人が選ぶ場合、または共同で選ぶ場合とありますが、今回の『SEIMEI』は、羽生選手自身が見つけ、選んだそう。

この曲はサントラと言っても、「オペラ座」や「ロミジュリ」と違い、海外のスケートファンのほとんどが物語を知らないことでしょう。だからこそ、固定された物語のキャラクターではなく、自分なりの解釈を加えた世界を表現しやすいようにも思えます。
オータムクラシックで初披露されたこのプログラムは、すでに「ロミジュリを超えるハマりプロの予感」と専らのウワサ。

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羽生選手自身が「僕だからできる和の力強さを見せたい」と語るように、繊細……そして優雅でありながらも、蒼い炎のような闘争心を感じさせるこのプログラム。これは日本人スケーターの中でも、彼にしか滑れないのではと思います。
狩衣(かりぎぬ:平安時代の公家の服)をイメージした衣装も、夏のアイスショーで披露された時よりもさらに洗練されており、これは否応なしにパーフェクトな『SEIMEI』の演技に期待が高まってしまうというものです。

羽生結弦が「和の強さ」を演じることの意味

それにしても、羽生選手がこの曲を選んだ意味。「自分に合っている」というのが大きいとは思いますが、わたしはもう1つ、別の理由があるのではないかなと予想しています。

それは、「被災地への思い」。
2011年3月11日に起こった東日本大震災を、地元である仙台のホームリンクで経験している彼。ソチ五輪で金メダルを獲得した後も、「『被災地のことを忘れないでほしい』という思いを伝えるために、これからも滑り続ける」と語っています。
そんな彼が「日本人らしい力強さ」を表現すると言うなら、それは世界へ向けて「僕たちを忘れないでほしい」というメッセージであり、日本人へ向けて「僕たちは強い」というメッセージでもあるのではないかと。

もしそんな思いもあって選ばれた曲であるなら……何年も語り継がれるような、フィギュア界を代表する名プログラムになるのではないでしょうか。

(文・イラスト:佐藤由紀奈)

[テレビ放送日程]
フィギュアスケート グランプリシリーズ世界一決定戦2015
第2戦 カナダ大会は、テレビ朝日系にて放送予定。
男女ショート:10月31日(土) 18時56分~
男女フリー:11月1日(日) 18時57分~
http://www.tv-asahi.co.jp/figure-gp/2015/

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