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【最終回間近】ドラマ『地味スゴ』を、活字ヲクな「リアル校閲ガール」がぶった切り!

ソーシャルトレンドニュース編集部

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このコーナーでは、深く広がる愛でもって、“何か”にハマる女子を「オクウ(ヲク)」と名付け、紹介していきます。
*「オクウ(ヲク)」の意味についてはこちらから

2016年秋ドラマも佳境ですが、中でも好調な視聴率をキープし続けてきたのが、石原さとみ主演の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日テレ系)。
“校閲者”という、決して華やかではない職業がテーマでありながら、恋愛要素も程よく取り入れ、コミカルなタッチで描いているこのドラマ。
毎回、石原さとみ演じる河野悦子の派手でオシャレなファッションも話題になっています。

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(『地味にスゴイ!』第9話予告動画30秒)

このドラマをきっかけに、“校閲者”への世間の見方も変わっていくかもしれませんが……実際の“校閲ガール”って、どんな人たちなんでしょう?

ひたすらに文字と向き合う仕事……きっと、編集者以上に“活字ヲク”に違いない!!

文章が好きすぎる校閲ガールに、その理由を聞いてみた

今回、話を聞かせてくれたのは、PR会社で校閲者として働くSさん(40代・女性)。
普段は企業発信のリリースや、この記事も掲載されているソーシャルトレンドニュースのほとんどの記事の校閲を担当されています!

活字ヲクが、校閲ガールになったきっかけ

interviewer

――文章関係の職において編集者や作家は花形だと思いますが、「校閲者になりたい!」って、珍しいのでは?

oku01

「わたしの場合、校閲者になろうと思ったきっかけは、わりと後ろ向きの事情だったんですよね。
実はライターをしていた時期があるのですが、事情により辞めることになったので他の仕事を探していた時に出会った……という。文章を読むのは子どもの頃から大好きだったので、なんとか本の周辺で仕事したいな、と思って始めました」

interviewer

――実際になってみて、どうでしたか? 飽きっぽい人からすると、ひたすら他人の文章をチェックする仕事って、精神的にかなーりキツい気がしてしまうのですが……。

oku01

やってみたら……めちゃくちゃヘビーだった!! 今の仕事で読む文章はそんなに長いものはないので、感覚としては100m走のような感じですが、それを毎日10本くらいする体力的なつらさもあります。
あとは、“ここをどう言えば、この文章がもっと人に伝わる文章になるんだろうな”っていうのは、すごく悩みますね……。文章って正解がないから、こうも書けるし、こうも書けるっていう中で、どれを選ぶかなんです

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(Sさんのデスク周りには、たくさんの辞書が!)

interviewer

――たしかに。明らかな間違い以外は、書き手もこだわりがあるし、その人にとっては正解ってことも多々ありますよね。それこそドラマの河野悦子のように、バトルのようになることもあるかも……(この記事を書いている自分にも身に覚えが……)

“文章”というアイドルを世に送りだすプロデューサー!?

interviewer

――校閲者という存在って、書き手としてはセーフティーネットになってくれる有り難さもある反面、正直、目の上のタンコブ的に思われていることも少なからずあるのかもしれませんね。
……そんな中でも、校閲者としての楽しさって何でしょうか?

oku01

「一番の醍醐味といえば、 “この文章を、読者として世界で初めて目にするのはワタシ!”ということかもしれません。
“情報を正す”のが仕事ですが、わたしの場合、どうしても、このコをできるだけキレイに――お化粧して、オシャレさせて、ポーズをとらせて――みんなに愛されるコとして送り出したい!と思っちゃうんです。
新人アイドルをデビューさせるプロデューサーって、こんな気持ち?」

生理的に嫌いな文章も、受け止めます

interviewer

――体力的な大変さはあると思うんですけど、もともと読書家ということで、たくさんの文章を読むこと自体は、全面的に幸せなんですか?

oku01

「いや~……。わたしは特に文章のリズムに対してこだわりが強いので、気持ちいい流れで読める文章が好きなんですけど……“この人の話の流れは、生理的に合わない!”っていうのもすごくありますよ。文章が好きだからこそ、固執しちゃうし、好き嫌いも激しいというか……。
とはいえ、校閲では自分の生理と違うからなんて理由で赤ペン入れるわけにはいかないので、いったんは全部受け止めますけどね! ただ、やっぱり生理的に受け付けない文章を読まなきゃいけない時は、気持ち悪いっていうか、休憩が多くはなりますね(笑)

広がる愛……活字ヲクであり、文房具ヲクでもある!

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「ちなみに、文章が好きですが、文房具も大好きです! 校閲者の商売道具ですし、やっぱり使いやすいものを選びたいから。
石原さとみちゃんがドラマで使っていたのは、たぶん、『アクロボール』の赤ペンでしたよね。
わたしはさらさら書けてペン先が柔らかいものが好みなので、『フリクション』か『サラサ』を使うことが多いです」

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interviewer

――へ~~。全部ボールペンですよね? 書き味って、そんなに変わるものですかね……?

oku01

全然違いますよ!! 校閲者はみんなそれぞれにこだわりがあると思うんですけど、そんな中でも、“あ、石原さとみちゃんはアクロボール使うんだ~!へー!”と思いながらドラマを観ていました。だからどうというわけじゃないんですけど、なんとなく気になっちゃうのは、校閲者あるあるです(笑)」

「あとはドラマでも使われていましたけど、校閲者のテッパンアイテムといえば、『ダーマト』ですね! 要は鉛筆状になったクレヨンと思えばいいかな。芯がすごく柔らかいんです」

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interviewer

――わ! なんだか懐かしい! 小さい頃に使っていた気がします……! 削らなくても、ヒモを引っ張れば芯が出せるし、結構どこにでも書けるので、好きだった記憶が。

oku01

「そうそう。ゲラ(校正用に刷ったもの)って、画像が入ったページなんかは特にツルツルしてるんですよね。だから普通のペンだと目立たないし、はじいちゃうから、油性でインクがしっかり乗るダーマトのようなものを使ってチェックします」

ちなみに……

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「ペンの色ごとにチェックの意味があって、赤は“要修正”、青は“要確認”。これはたぶん業界では、ほぼ統一されているかと。
あと、わたしは黄色は一文字ずつ読んでいく時の“しるし”として使います。一番目立たない色なので。だから一番減るのも早いですね。
“事実チェックしました”のマークは緑で塗ります」

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oku01

「あと、こういう、ほぼ使い切った状態の色えんぴつは、校閲者は結構とっておいていると思います。今年一年頑張った証みたいな感じで、机に並べている人とかもいますね~。
わたしは3カ月くらいで捨てちゃいますけど、でもやっぱり自分が頑張っている結果っていう感じはあります!」

リアル校閲ガールからみて、ドラマ『校閲ガール』は?

interviewer

――ドラマ『校閲ガール』はどうでしたか? 実際、河野悦子みたいな校閲者っているんですかね?

oku01

残念ながら、あんなファッショナブルな校閲者は、現実にはほぼいないかな(笑)。少なくとも、わたしの周りは“最後に服買ったのなんて、いつだっけな……”という人たちばっかりですよ!」

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(『地味にスゴイ!』第9話予告動画30秒)

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「あと……実は『校閲ガール』を観ていると、つらくなっちゃうんです。
要は校正や校閲って、100パーセント達成して当たり前の仕事なんですよね。ミスが許されない仕事なんです。
だけど小説やドラマのような物語になると、どうしても“こういうミスがあったから、本当に校正って怖いよね”っていう部分が延々と描かれるので、観ていてつらいんですよ……“自分もやりそう”っていう感じが。本当にやっちゃったらどうしよう!って、怖くなっちゃいますね(苦笑)」

interviewer

――本来の仕事としては何事もないことが前提ですけど、物語としては、どうしても展開が必要ですもんね(笑)。じゃあ、「こんなこと、実際はありえねーよ!」と思うことの方が多いんですか……!?

oku01

「いえ。怖いなって思う一方で、スカッとしたり、共感したりする部分もあります。最初に言ったように、文章には正解がないし、それをわかっているのが校閲者。
でもドラマの石原さとみちゃんのように、あんなにキッパリ“違うだろ!ここ!”みたいに言えたら、気持ちいいだろうなって思う。校閲をしていると、どうしても赤を入れざるを得ないんだけど、それもありかもね、って思う部分はすごくあるんです。個人としては“いいんじゃない?”と思うこともよくありますから(ニッコリ)」

interviewer

――(ラ、ライターとしては、最後の笑顔がなんだか意味深で怖いです……!)

最後に……校閲者になるヒケツ

interviewer

――最後に、校閲ガールとしての心得をお聞きしたいのですが。やっぱり、編集者とかライターとかは校閲にはあまり向かないのですかね? 文章に対して自分のこだわりが強すぎる気がするので……(苦笑)。

oku01

「そう。校閲者に必要なのは“原稿をそのまま受け入れる”ってことなんです。自分の中の思い込みがあると、文章そのままには向き合えなくなっちゃいますからね。
だから文章をまるごと受け入れられる包容力というか、人生の経験知や心の余裕的なものが、校閲者には必要だと思うな」

文章に対して、誰よりも冷静に、誰よりも寄り添う。活字ヲクの本領発揮!

少女時代から文章が大好きで、自身もライターを経験されるなど、とにかく文章というものを愛しているSさん。
校閲の作業をしていると、「文章の中に著者の息遣いを感じることがある」とも言っていました。もちろん、校閲中は冷静に文字を追っているわけですが、著者の紡いだ文章の流れにピタリと乗って、寄り添えた時はすごく充実感があるとのこと。
ふと我に返った瞬間、その気持ちよさから、時には涙してしまうこともあるのだとか(自身では“校閲ハイ”と呼んでいるそうです)!

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そこまで文章が好きだと、どんな文章でもフラットに受け入れるというのは難しそうなものですが、そこはやはり、プロの校閲者たる所以ですね(いつもありがとうございます)。

Sさんいわく、河野悦子のような主張の強いオシャレ校閲者はなかなかお目にかかれないとのことでしたが、このドラマをきっかけに、人生経験を積み、知識と包容力を身につけ、かつ、オシャレにも関心の高い校閲ガールや活字ヲクが増えたら……。
うーん。(実はSさんと原稿の校閲についてバトッた経験のある筆者としては)ちょっと怖いような、張り合いがあるような……!

……とりあえず、今回のまとめ!です。

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女子の“好き”は果てしない――。
次はどんな○○ヲク女子の心の中が明らかになるのか!?
こうご期待!
(文・イラスト:佐藤由紀奈)

■関連情報
・日本テレビ系ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』
毎週水曜 よる10時放送

今ならこの記事でインタビューに答えてくれた活字ヲクSさん監修の「校閲ガールクイズ」が、日テレマーケットで体験できちゃいます!

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