ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

桜井ユキ「ピュアさを支えるのは“希望”」

桜井ユキさん・童貞映画を引っさげて、チェリー最多タイご登場女優に!

自分の言葉で人生のアドバイスをくれるような美人女優を追い続けてきた“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”
杉咲花さん(2回)森川葵さん(4回)と、複数回ご登場していただく方も多くいらっしゃる中……今回、桜井ユキさんが最多タイ・4回目のご登場!

しかも、今回桜井さんがヒロインとして出演する映画は『サクらんぼの恋』。45歳の童貞・山川則夫(宮川大輔)が、憧れのAV女優・恩田リナ/相馬美咲(桜井ユキ)と出会う……という童貞の憧れシチュエーションを、古厩智之監督がリアリティをもって描く小さな大傑作だ。

こんなにピッタリな作品があるとは……!
さらに、桜井ユキさんの演じるヒロインは、美しさ、可愛さ、エロスにピュアさ……相反しそうなものが全て詰め込まれ表現されていて、女優としての力量を感じさせられる、かつ全男子が好きになってしまいそうな名演技!

そんな作品を引っさげての最多タイのご登場ということで期待が高まるが……チェリーとしては、ひとつひっかかっていることが……!
前回『娼年』での女優鼎談取材の際に、ピュアな女子大生を演じるなんて意外、という失礼発言をしてしまっていたのだ……!
ピュア性を持つ『サクらんぼの恋』の登場人物2人を考察しながら、桜井ユキさんの中に眠るピュア性を探っていくインタビュー、開始!
もちろん、こんな題材の映画のときじゃないと聞きにくい“童貞に関して思うこと”も聞いてます!

「自分の中にないものを表現できる人なんていない」

桜井「私『娼年』のときに言われたのを忘れてませんよ……桜井にピュアな役は無理だろう、って(笑)」

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――申し訳ありませんっ……! もう今回、全力で謝罪したい、AV女優でありながら主人公の中にしっかりとあるピュア性が、目から滲み出ている感じがしました!

桜井「わっ、それは嬉しいです! ありがとうございます!」

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――名演技がすぎるな、と思ったんですが……やはりうまい女優さんというのは自分の中にない要素も演技で表現することができるんでしょうか?

桜井「それもまた失礼な感じですが(笑)。女優に限らずですが、自分の中にないものを表現できる人なんていないと思うんです。もしかしたら自分でも気づいていないかもしれないけれど、自分の中に確かに存在するもの。それを引っ張りだしてきたり、役によってはいい意味で誇張して見せたりするイメージですかね」

「童貞=ピュア」ではない

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――今回は、45歳のピュアな童貞、宮川大輔さん演じる則夫に恋をするという役どころでした。桜井さんは童貞はいかがですか?

桜井「『あっ、今までそういう機会がなかったんですねー』くらいの感じで、特にマイナスではないです。ただ、私は童貞がみんなピュアだとは思っていないんです。『どうせ俺は……』みたいな感じで、童貞であることに卑屈になってしまう人もいるじゃないですか。そういう人は魅力的ではないですよね。でも則夫は本当に内面もピュアなママで、すごく素敵だなと思いました」

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――設定を聞いたときには、ありえなそうに聞こえる45歳童貞とAV女優の恋も、お2人の演技を見ていると、実際に起こりうるピュアな恋に感じられました。

桜井「私、今回の撮影中すごく幸せだったんです。則夫に本当に恋をしている感じで。撮影が終わった後、宮川大輔さんと再会したときに思わずちょっと泣きそうになっちゃったくらいなんです。『あぁー則夫!』って感情が高ぶっちゃって。大好きでしたね」

男性の欲望はすべて女性にバレている…!?

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――宮川さんも美咲を好きになってしまったと会見でおっしゃってましたし、お互い役として本当に恋していた感じなんですね。2人のシーンで印象的だったシーンはありますか?

桜井「則夫と美咲が、一本道を自転車を押しながらゆっくり会話して歩いていくところをワンカットで撮ったシーンですね。1コ1コのセリフが読んだときから好きだったんですが、決して大げさな話をしているわけではなく、なんでもない会話なのに、2人が正直に気持ちのやりとりをしている感じなんです」

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――あそこは素晴らしいですよね! 則夫が童貞であることを告白し、きちんと美咲にやりたい気持ちがあることも出す。美咲は特に驚くわけでもないという(笑)。女性ってああいう自分に向けられた男性の性的な気持ちはわかるものなんでしょうか?

桜井「もう、丸わかりですね(笑)。男性はうまく隠してるつもりかもしれませんが……。会った瞬間から、何が目的で、いつどうしようとしてるかなんて丸わかりです(笑)」

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――ええっ、そうなんですか!

桜井「男性はやっぱり、女性に比べてそういう気持ちにカバーをかけるのが上手ではないと思うので。女性の方が、そういう気持ちをうまく隠せますよね。だから男性はどんなにうまいと自負してる方もバレていると思ってください(笑)」

童貞がイケメンに勝てるとしたら“持久力”

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――気をつけます!(笑) でもお話聞いていると、桜井さんは割と童貞にも優しい方な気がしてきました……。実際、映画のように、女性にとって、相手がイケメンであることよりも、ピュアさや優しさがあることのほうが重要になることってあるんでしょうか?

桜井「あると思います! たしかに、世間でイケメンと言われるような方が、スタートの地点ですでにリードしているのは事実だと思います。どうしてもビジュアルから入る女性が多いことは否定しません。でも、持久力があるのは内面が充実した人だと思うんです。根本からのピュアさや優しさを持っている人は、そこが強みだと思います」

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――そうなんですね! まずは、すぐに勝とうとするのやめます(笑)。どうやったらピュアさを感じてもらえるんですかね?

桜井「もうピュアさを出そうと意図してる時点でダメです(笑)。ピュアさって持とうとして持てるものじゃないと思いますしね。則夫の素晴らしいのは、自分の滑稽な部分を隠そうとしないところだと思うんです。そのままで一生懸命生きようとしてる。人間って人の滑稽な部分にも惹かれてしまったりするから、そこを隠さなかったことで、美咲はどんどんと則夫を好きになっていったんだと思うんですよね」

好きなものを貫く男性は、滑稽でも素敵

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――たしかに、アイドルやゲームといった、普通の男だったら隠すことも考える趣味も則夫は明らかにして、それに美咲はあたたかく反応しますね。

桜井「男性には、何歳になってもああいう、好きなものをきちんと好きでいる素敵さを持っていてほしいんです。私自身が同じものにハマれるかといったら全く別だし、むしろ『そんなの好きなんだ、ふふふ』って笑っちゃうかもしれない。でも、自分には面白さがわからなくても、それを面白がっている男性が、面白いんです」

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――全オトナ童貞にとっての女神ですね!! 素晴らしいです!

桜井「ありがとうございます(笑)。そういう関係って素敵だな、って思うし、面白い男性ってやっぱり無敵だなって思うんです」

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――なんだか、オトナ童貞のすべてを肯定していただいた感覚です! 今回の演技を通しても、このインタビューを通じても、桜井さんの中にピュア性を感じました! 今まですみませんでした!(笑)

幼少期に植えてもらった種は芯として残る

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――ということで、ここからは桜井さんがピュア前提で話を進めさせていただきます! 「ピュアさって持とうとして持てるものじゃない」ということですが、桜井さんの中にあるピュア性はいつ頃醸成されたものなのでしょうか?

桜井「それはもう両親のおかげですかね。小さい頃に、そういう感覚をちゃんと種みたいに植え付けてくれたというか。幼少期の5歳とか6歳くらいまでの、自分が意識して動いてるわけではない期間に培われたものって、すごく大きいと思うんですよね。そうして幼少期に植え付けてもらったものが、私の中に今も芯として残っているんだと思います」

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――生まれがピュアであっても、成長していく過程で色々な黒いものが襲ってくるというか、なかなか保つのが難しい環境の人もいますよね。美咲はそこに打ち勝とうとしている女のコな気がしました。

桜井「美咲は、自分の家のコタツじゃないと安心して寝られないという設定で、そこにはやはり過去を捨て去ることの難しさを感じますよね。過去から抜け出す勇気がないというか」

人生を進めてくれる“捨てる強さ”


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――過去から抜ける勇気がない人、なかなか多いと思うんですが、抜けるための桜井さん流のアドバイスはありますか?

桜井「私の場合は、そこを越えないと生きていけないと感じる瞬間があって。生きる力が年々強くなってるなあ、って自分でも感じるんですが(笑)。生命力として、断捨離じゃないですけど、置いていく強さ、捨てる強さみたいなものの必要性は感じます。自分がこうありたいという意思を強く持って、今の自分をかえりみてみると、意外と捨てられるものがあると思うんです。役者という仕事を始めて、色々なものを終わらせていくうちに身軽になっていった感覚は自分でもあるので、それが結果ピュアと形容していただけるように見えるのは、とても嬉しいです」

ピュアさの源泉は希望を捨てないこと

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――その桜井さんの“強さに支えられたピュアさ”を感じると、則夫のピュアさもまた強く感じられますね。

桜井「則夫は、希望を捨ててないんだと思います。実は自分はこうなりたいとか、こうなれるんじゃないか、っていう希望がちゃんとあるから、あんなにキラキラした目でいられる。美咲も同じかもしれません。私、人間の内面はすべて目に出ると思っていて。あの2人は、なかなか大変な状況ではありますが、それでもどこかに希望を持っていて、だから2人の目はピュアなんだし、美しいんだと思います」

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――そんな2人のキスシーンも、ピュアさが溢れていて泣けてきました。

桜井「あのシーン、撮影の初日だったんです(笑)。その前に自転車で2人乗りする練習をしたので、役としては近くなれたんですが、そこで初対面に近いような状態でのキスシーンって、なかなかないですから、本当にドキドキして。それがいい感じに作用すればな、と思いました」

忘れかけていたものを、取り戻す

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――初対面でキスに緊張……いいピュアエピソードをありがとうございます!(笑) そこに重なった上での、あのピュアなシーンが出来上がったんですね。

桜井「お芝居でああいう疑似体験をさせてもらうことで満たされている部分は大きいと思います。役の設定や物語の展開って、人生ではなかなか起きないようなことも多いと思うんですけど、それを体感させてもらうことで、忘れかけていたものを取り戻せたりするんですよね。だから、やっぱり私はお芝居に助けられて生きているのかもしれません」

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――ありがとうございます! 僕たちも『サクらんぼの恋』を見て、忘れかけたものを取り戻しにいきたいと思います!

(取材・文:霜田明寛 写真:中場敏博)


関連情報
映画『サクらんぼの恋』 10月27日(土)より新宿バルト9ほか全国順次公開中
キャスト:宮川大輔 桜井ユキ草川拓弥(超特急) 前田公輝 佐野ひなこ 明星真由美 菅原大吉 柄本時生
監督:古厩智之
脚本:古厩智之 正池洋佑
音楽:上田禎
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