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大根仁&三浦大輔も絶賛! 吉田大八監督『桐島~』に続き最新作『紙の月』でも描く“生々しい本音”

小峰克彦

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吉田大八監督の勢いが止まらない。2012年の映画界最大の衝撃と言ってもいい前作『桐島、部活やめるってよ』が公開された際も「誰もが口にしないけれど、うっすらと感じている違和感」を炙り出し、様々な議論を呼んだ。今回も相当、多くの方面に影響を与えたようだ。先日、本サイトでも紹介した中谷美紀さんらの他にも、演劇界・映像界のクリエイターが絶賛。(記事はこちら

三浦大輔さん(劇作家・演出家/映画監督)
梨花の生き様を否定も肯定もせず、
誰にでもある欲をありのままに虚飾なく描いていて、
とても感銘を受けました。
この映画のテーマの提示の仕方にとても真摯さを感じました。

大根仁さん(映像ディレクター)
この『紙の月』で【吉田大八映画】が、確立したように思えた。
と言うか吉田監督という監督そのものであるように感じた。
特に梨花を撮るショットのすべてが、『紙の月』をより「映画」にしている。
近年これほどまでに女優を上手く撮り、「女の業」を映像とともに描けた監督がいただろうか?

三浦大輔さんは劇団ポツドール主宰で、戯曲『愛の渦』を同劇団にて舞台化した。乱交パ―ティに集まる男女のむき出しの人間模様を描いたこの作品は今年3月に映画化。同作の脚本監督もつとめた。

大根仁さんは映画『モテキ』をヒットさせた直後、超低予算で三浦大輔脚本の『恋の渦』を映画化。部屋コンで知り合った若い男女の“ゲスい”本音が行き交う群像劇が話題になった。

“生々しい人間関係”を描く映画を作ってきた2人の監督の感想はか高評価だ。

原作を上手く昇華させ、体験させる映画・吉田大八作品になった『紙の月』

本作も吉田監督の前作『桐島、部活やめるってよ』でも描かれたような、さまざまな立場のキャラクターの存在が特徴的だ。無意識に感情移入できるほどに登場人物を生々しく、現実に存在する誰かのように描き、それを三浦監督も仰るように“否定も肯定も”しない残酷なほど平等な視点で撮る。

その“むき出し”のキャラクターが原作小説だと“文章”のみだが、今回は“映像”。画として目の前に現れる。池松壮亮と宮沢りえが結ばれる夜の駅でのシーンなど、劇的でありながらもさりげない演出が溶け込み、唯一無二の肌感ある映像世界を作り上げる。

カフェで流れているBGMのようにそこに鳴っていることが必然であるような劇伴。 “書かれた言葉”というより“口にした言葉”と表現するにふさわしいセリフ。胸が苦しくなるほどに、劇中のいずれかの人物に自身を無意識に投影してしまう。

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特に大根監督が取り上げた“女の業”。これが“映画の中”にのみ存在するフィクションではなく、世の中の女性誰もが根底に持つ“本能”を捉えているからこそ、ここまで多くの反響を得られたのではないかと思う。

体験型の【吉田大八映画】が映画館という逃れられない環境で迫り、“日常の違和感を見て見ぬふりをしていた自分”に問いかける。ぜひ体感してほしい傑作だ。

(文:小峰克彦)

 

『紙の月』作品情報

原作:「紙の月」(角田光代・角川春樹事務所刊/第25回柴田錬三郎賞受賞)

監督:吉田大八 脚本:早船歌江子/制作プロダクション:ROBOT/ 配給:松竹

出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美

主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ『Femme Fatale』(ユニバーサル ミュージック)

(C)2014「紙の月」製作委員会

 

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