「わたしのこと、紹介してください!」
ソーシャルとトレンドニュースの問い合わせメールに届いた一通のメール。なんと、自分でビジネスを展開する現役女子高生からの売り込みだったのです!
「ファッションを通して“異文化理解”を身近に」というテーマで今年、ファッションブランド『SETAKO』を立ち上げたという“せたこ”さん。
事務所に所属しモデルとして活動する傍ら、『SETAKO』についてはデザイン、モデル、宣伝まで1人で行っているのだといいます。17歳にして“多動力”を発揮するアクティブJK。一体どんな人物なのか?
Instagram:@setako
実際に会ってみると、天真爛漫でフラットで、それでいて広い世界を見ている懐の深い人柄。パワフルで向上心に溢れた話をたくさん聞くことができました。
向上心溢れるJKモデル「せたこ」とは
――本日はよろしくお願いします。それにしても……大人っぽいですね。高校生に見えない!
「(笑)。よく言われます!」
――早速ですが、ご自身のブランド『SETAKO』ではどんなことをやられているんですか?
「様々な地域の布を使用したオリジナルデザインの服を展開します。今回はアフリカの生地を使ったシャツを作りました。立ち上げから今に至るまで、すべて1人でやっています! もっと広げていきたいので、いろんな所にこうした持ち込みの活動もしていますね。すごく楽しいです!」
――現役女子高生ということですが、普段どのような生活をされているのでしょう?
「普通の高校生とは全然違う生活かもしれません。イランと日本のハーフなのですが、小さい頃からいろんな国に行っていて、今も1人でたくさんの国に行きます。学校は通信制に通っているので、登校するのは月に2回くらい。でも通信に入って、すごく世界が広がったんです! 普段年上の方と話す機会が多いので、色んな経験を聞けたりできて本当に楽しい。
高校生になってから自己分析をずっとしていたので、“自分”という柱ができすぎちゃって。いま関わっている人は自分の価値観を共有できる、信頼できる人たちばかりです」
――自己分析をしていた、というと?
「基本的に、自分が大好きなんです(笑)。人と一緒になっちゃダメという気がしていたのもあります。大学に行ってきちんと勉強したかったから、自分の本当にやりたいことに早く気がつかなきゃと思っていました。それで、高1からずっと自己分析をしていたんです」
幼少期に体験した「世界の広がり」をファッションで
――高校生ですでにそこまで自分と向き合えているのはすごいですね! ファッションは昔から興味があったのですか?
「そうですね。小さい頃から家族と様々な国を訪れていましたが、その土地の伝統的な洋服を着ると、すぐに現地の人と仲良くなれたんです! 幼いながらもファッションの力を感じていました。
あと、私は小1の時に日本に来たんですけれど、日本語は少ししか話せなかったし、ちょっと怖いなって緊張していたんです。そのせいで当時男の子によくからかわれて、殴り合いのケンカをしょっちゅうしていました(笑)」
「そんな中、ある日ペルシャ柄の洋服を着ていたら、友達に“かわいい!”って言われたんです。話が膨らんで、家に呼んでペルシャ料理をごちそうしたりなんかして。そこから仲良くなれた。その経験が私の中ですごく大きく影響しています。ファッションがお互いを見つめ合えるようにしてくれたし、ファッションなら人と人を繋げられると思う!」
――言葉ではない部分で繋がれた経験が、今の原動力になっているのですね。ご自身のブランドを立ち上げようと思ったのはいつ頃からでしょう?
「中1から芸能活動を始めて、その時からずっと自分のブランドをやりたいなと思っていました。なので、ついにという感じですね! それまでは準備期間ということで、ネパールに行って勉強をしたりしていました。布が大好きなので、布が出来るまでの工程や、生産管理方法を見学して……。この時はもう、とにかくネパールに行きたかったので、1人で行きました。どこに行くのもそうです! 行きたい時に行く。英語もあまり喋れないので言葉は通じないですが、全然怖くはないです! ノリでいけますね。どこでも、みんな優しいから大丈夫です」
――本当に1人でどこへでも行って、何でもやれてしまうんですね!
「実際にブランドを立ち上げる時も、全部1人でやりました。誰にも相談せず。よく『怖くないの?』と聞かれますが、私、すごくポジティブなんです! ちょっと頭おかしいくらい(笑)。やりたいことはすぐにやります! 人の意見を聞いちゃうと逆に不安になっちゃうこともあるから、あまり相談はしないですね」
(ネパールにて布の製造工程を体験した際)
「そうやって今は全部1人でやっていますが、もちろん今後は人と一緒にやりたいと思っています。いつかは会社も作りたいですし、今『SETAKO』ではアフリカの布を扱っているので、近いうちにアフリカに工場も作りたい。そのために一年くらいアフリカ留学したいなって思っているところです」
子どもたちに“自信”を与えたい
――すでにブランドの展望は描かれているんですね。その他にやりたいことや興味のあることはありますか?
「ファッションブランドは続けつつ、教育にも興味があります。いま多文化共生センターという、海外にルーツを持つ子どもたちをサポートするNPO法人で日本語を教えたりしているんです。子どもたちに自信を与えたい!
言葉がわからないから日本になじめない子って、結構いると思うんです。この前、バスケ中の試合中に審判を殴ってしまったアフリカ人高校生のニュースを見ました。『国に帰りたい』といったことを言っていたみたいで、こういう子たちにもっと自信を持たせてあげたい。だから教育関係ももっとやってみたいですね」
「『SETAKO』も、着ることで外国人にはもっと自信をもってもらって、日本人には異文化を理解してほしいというのがテーマなので、同じところに通じています。ファッションを介して違う人の個性も認められたら、自分自身も成長できるのかなって思うから」
――まだ高校生ですが、今後のイメージを教えてください。
「来年には高校卒業ですが、でも大学は必ずしも春から入らなくてもいいかなって思っています。アフリカへの留学も考えているので。大学では文化や宗教をより深く勉強したいですね。私がやっていることって異文化がテーマだから、宗教だったり言語だったりっていうのは切り離せません。特に宗教は人の心を和らげるものですし、傷つけるものでもあるから、その辺りをもっと学んでいきたい」
「いま本当に毎日が楽しいです! やりたいことが全部自分でできるし、いつも全く違う場所に行くから、毎回何か発見がある。繰り返しは苦手なので、毎日同じ学校に通う生活だと、途中で飽きちゃっていたかも(笑)。とにかく経験を大切にして生きていこうっていうのが人生テーマなので、これからもやりたいと思ったことは何でもやっていきたいですね!」
ファッションを通して“異文化理解”を身近に
実際に彼女と話をしてみてわかったこと。それは、本当に人と話すことを心から楽しいと思っているということです。違う価値観の人たちともっともっと理解し合いたいという、純粋で力強い願い。それがストレートに伝わってくるから、こちらまで自然とポジティブな気持ちになってしまう、不思議な魅力をもった女性でした。
せたこさんのファッションブランド『SETAKO』は、生地代や制作費の資金集めをクラウドファンディング「CAMPFIRE」で行っています。
(文:佐藤由紀奈)