人気TikToker莉子さんにインタビュー
2018年に一気に日本のユーザー数を増やし、若い世代を中心に流行となった「TikTok」。もはやマーケターとしては今後見過ごすことのできないプラットフォームに成長していますが、あらためて、なぜここまで人気に火がついたのか。今なおユーザー数を拡大し続けられる理由とは?
女子高生モデルとして活躍し、フォロワー数50万超えの人気TikTokerとしても知られる、リコリコこと莉子さんに聞いてみました!
『いい波のってんね』で爆発的に浸透
――2018年はTikTokが若い方の間で一気に来ましたね。
莉子:「私が高校生になった昨年の4月頃、ちょうど周りで流行りだしたように思います。でもやっぱり一番キテるな!となったのは、『いい波のってんね』(※)の時ですね。街でもテレビでも、本当にいろんなところでそのフレーズを耳にしました」
※2018年、TikTok内で大流行した音源。
莉子:「夏だったし、波っていうキーワードと相性よかったんでしょうね。春くらいから徐々に浸透しはじめていたのが、『いい波のってんね』でワーッとなった感じ。あれ以来、私のアカウントでもいいね数がめっちゃ伸びたなと感じます」
2018年莉子のTikTokを振り返ろう〜✌︎ pic.twitter.com/0PUgQtiCF1
— 莉子 👧🏼 🌷 (@riko_riko1204) 2018年12月29日
TikTokで大事なのは、とにかく「音源」
――TikTokで何を投稿するかって、悩まないのでしょうか?
莉子:「悩みますね! 私は毎日投稿するようにしているんですけれど、撮影内容に悩むというより、『どの音源を使うか』にすごく悩みます。TikTokでまず重要なのは、とにかく音源なんですよね」
莉子:「“フォロー中”という欄と“おすすめ”という欄があるんですが、“おすすめ”は自分がフォローしていない方の投稿もどんどん出てくるんですよ。中でもプチバズっている音源なんかが表示されやすくなっていて。なので、とりあえず“おすすめ”から見に行って、気になった曲をお気に入りに入れておくんです。自分が撮る時にはそこから音源を選びます。とにかく、まずは音源! それがないと始まらないんで」
――何を披露するか決めてから、BGM的に音源を選ぶのかと思ってました。逆なんですね……!
誰でもバズが狙える、“おすすめ”の仕組み
――莉子さんから見て、TikTokがここまで流行った理由はずばり何だと思いますか?
莉子:「何だろうな。でも、私もそうなんですけれど、若い子たちにとってはやっぱり『TikTokで有名になれる』というのが大きいんじゃないでしょうか。私が小学校の頃はモデルのような仕事に興味があっても、まだ自分でオーディションに応募したりするしかなかった。今は家で撮った動画をTikTokにあげたら、たまたまバズって、それきっかけで業界に入った、という子もすでに何人かいます」
――TikTokは、他のSNSよりも「有名になりやすい」?
莉子:「そうですね、バズりやすいです。SNSの中でも、一番たくさんの方に見てもらいやすい仕組みになっているんじゃないでしょうか」
――やっぱりそれは、“おすすめ”欄の威力でしょうか?
莉子:「そうです。おすすめ欄、強いです。マジで! いま高校生の間では、『テスト期間なのにおすすめ欄2時間観ちゃった』っていうのが、あるあるになってますね。あれ、本当に終わりがないというか、抜けられないんですよね。みんな口を揃えて『止まらない』って言います。『通信速度ヤバイ』って思いながら(笑)」
――ちなみに、TikTokで人気になりやすいポイントなどはあるのでしょうか?
莉子:「私はTikTokを始めた頃は中学生だったんですけど、その時はめっちゃ化粧して、自分なりに超お洒落して、頑張って撮影していたんです。でも結局、初めてバズったのは制服ですっぴんの動画でした。それ以来、制服&すっぴんをメインに続けていたら、フォロワーがみるみる増えていったんです。私の場合は素を見せた方がウケたんですね。そういう自分らしさや、『これだ!』という一つの方向で続けていくのは大事だと思います」
莉子:「とはいえ、私もそこにたどり着くまでは、バズりたい一心で必死にメイクやお洒落をして、試行錯誤しながら地道に続けていました。はじめから上手くいかなくても、粘り続けることも必要ですよね」
「変な投稿があがらない」のがTikTokの良さ
――最近はTikTokのユーザー層も学生に限らず、年齢層が広がってきていますが、高校生からすると自分たちと違う世代の投稿が増えるのはどう思われますか?
莉子:「あ、でも本当に、今TikTokってめっちゃ年齢層が幅広いと思うんですよ。おじいさん・おばあさんも結構使っていたりします。別に年齢制限とかはないし、どんな方が使おうとそれは自由だなって。逆に、面白いおじさんの投稿が時々話題になることとかだってありますよ!」
――おもしろければウェルカム、という感じなんですね。
莉子:「自分が興味ない投稿はサッとスクロールできますし、それに最近のTikTokってかなり投稿内容の規制を厳しくやっている気がします。それもあってか、全然気になったことはないですね」
――変な投稿はあがらないように、TikTokがチェックしている?
莉子:「あがらないですね。速攻で消されます。Twitterで『削除されたー』って言っている方とか、結構見かけますよ。例えば露出が多い姿で撮ったものとか……。そういうのはすぐに規制されてしまうんじゃないかな」
――それは以前からなのでしょうか?
莉子:「前より厳しくなっている感じはしますね。やっぱり使う方が多くなればなるほど、誰かのマネや、危ない行為を投稿している方も増えてくるので……。なので、そういった投稿を規制する動きはすごくいいと思います。さっきも言ったように、実はかなりいろんな方が見ていますし、小さい子も割と見ているんです。これからもいろんな世代の人が楽しめる場であってほしいし、TikTok側はかなりそれを頑張っているのではないでしょうか」
人気の理由は「バズりやすさ」と「良質なコンテンツ空間」
莉子さんにお話しを聞いた中で、TikTokの人気の理由として、大きなポイントになっていたのがこの2つ。
【1】誰でもバズるチャンスがある“おすすめ欄”の仕組み
【2】良質なコンテンツ維持をチェックする仕組み
TikTokが掲げるミッションは、誰もがクリエイターになることを可能にし、自分たちでつくったショートムービーを通じてクリエイティブな表現と情熱をシェアできる環境を作る、ということ。
撮影機能の充実はもちろん、おすすめ欄表示の高度なアルゴリズムによってクリエイターのチャンスを創出し、しっかりとチェック体制を敷くことでクリエイターの情熱やモチベーションを維持する工夫をしているようです。動画コンテンツのチェックについては、AI技術だけでなく、人の目にもかなりリソースを割いているという情報も。
テクノロジーを駆使しながらミッションに対するブレない改善をし続けていることが、TikTokの人気が拡大し続けている秘訣と言えそうです。
(文・佐藤由紀奈)